十九時十分をお知らせいたします

遊んだゲームの感想なんかを書き残していこうかと思っています

「ゲームでらくらく脳トレー簡単ひらめきクイズやりこみ暇つぶしパズルー」紹介

遊ぶだけでかんたん脳トレ
めざせハイスコア!

 

レビュー書くのもらくらくで助かる。

「ゲームでらくらく脳トレー簡単ひらめきクイズやりこみ暇つぶしパズルー」とは、無である。無とは、なにもないことである。東京通信作品の一つ。

 

所謂「脳トレ」的頭の体操ができる5本のミニゲームを収録。

人生は短いが一日というのは妙に長い。これで頑張って暇をつぶそう。

ハイスコアが記録されるけど、ランクとか評価とかそういうものは一切ない!昨日の自分に挑むんだ。それ以外にできることがないともいう。

一応全体的にレスポンスが良好なのは良い感じ。

 

1作目、「ハノイの塔」!伝統的なパズルで、リングでできた塔を移し替えるゲームだ!ゲームかな?詳しくはウィキペディアとか読むといいとおもうよ。

同じ処理を再帰的に繰り返すことで解くタイプのパズルなのでまあ作業感は強い。でも個人的には好きな作業だ。

ゲーム的には作業時間と手数の少なさがスコアになる。…のはいいんだけど、初期配置がぐちゃぐちゃかつリングの数も5個しかないのがちょっと不満なとこ。

解法がメルセンヌ数の形をとるのが美しいとこなのに!かつリングが多ければ長時間楽しめるのに!

ともあれ収録作品の中では一番複雑なのでこの楽しさを噛みしめておくように。

 

ja.wikipedia.org

 

2作目、「矢印フリック」!矢印の方向にフリックするゲームだ!ゲームかな?キーでも遊べるのがいいね。

右矢印が出たら右入力、左矢印が出たら左入力。勘のいい人はもう気づいたかもしれないけど、上なら上、下なら下なのだ。

たまにでる赤矢印は逆方向に入力しよう。ずっと動作チェックしてるみたいな気持ちが若干和らぐので嬉しい。

 

3作目、「穴埋め計算」!計算式を完成させるゲームだ!ゲームかな?

いろんな足し算が楽しめる。残念ながら引き算はできない。たぶん次回作ではできるかもしれない。

 

4作目「後出しジャンケン」!後出しでわざと勝ったり負けたりするゲームだ!ゲームかな?

グーはチョキに強くてチョキはパーに強くてパーはグーに強いぞ!

 

5作目「仲間外れ」!仲間外れを見つけるゲームだ!ゲームかな?

図形が5つ表示され、その形と色がそれぞれ3種ずつ。どれにも属さない仲間外れが一つあるのでそれを選ぼう。

5つしか出ないので「1:2:2」の形にしかならない。つまり形なんか見なくても色だけ見て反射的に選んでいけばよいのだ。

頭を使わなくてよい場面では頭を使わない、ということを教えてくれる脳トレですね。人間力を鍛えるゲームだ。

 

僕の結果はこうでした。みんなはこの記録に挑んでみてくれ!僕はもう挑まないぜ!

…タイトルに「やりこみ」「暇つぶし」とあるけれど、正直なところ、日常に飽和している数多の(それでいてこのゲームよりは幾分か楽しい、)娯楽を貪り生きる現代人が、この作品を延々飽きずに遊び続けられるかというとちょっと微妙なのではないか?と思われてならない。縄文時代にリリースしたほうが良かったんじゃないかな。

このゲームを作ることこそがらくらくだったんじゃないかと思われてならない。でも久々にやる気が出て、ブログを更新できたのは間違いなくこの作品のおかげである。ありがとう東京通信。頑張っていつか全作遊び尽くします。

 

最後に一言

ブログ書くほうが脳使った。

 

980円、プレイ時間約15分

プレイした日2023/06/20

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「デビラビローグ」紹介

デッキ構築型のダンジョン攻略カードバトルRPGで知略を見せつけろ!

 

魔族×迷宮×ローグライク

デビラビローグとは、ケムコが贈るローグライク要素のある一人用デッキ構築型カードゲームである。…んだけど、ちょっとそれだけでは語り尽くせないぞ!ちょっと話だけでも聞いてってください。

 

ローグライク系カードゲームといえば割と「Slay the Spire」が代表的で有名だと思うし、この作品も言っちゃうとそのフォロワーみたいなもんで、システム的に概ねそんな感じである。パーティ制を採用しているとかの細かい違いはあるけども。

でもね…

 

実はこの「デビラビローグ」、RPGに定評のあるエグゼクリエイト製なんですね!!触ったら判るけどめちゃくちゃケムコRPGしてるんです!なんかマップチップの感じとかにめちゃくちゃ既視感がある!!

「めちゃくちゃ話の面白いカードゲーム」であり、尚且つ「めちゃくちゃ戦略性のあるRPGでもあるという、あまりにも強欲がすぎるブツ、それがデビラビローグの実態である。

 

舞台は魔界!魔力に満たされ、魔族が暮らす、魔の領域である。

魔力がいっぱいあるので魔族は死んでも即復活できて寿命を全うできるし、その寿命も人間の10倍くらいある。なにそれめっちゃ羨ましい!いっぱいゲームできるじゃん!

また、人間界に続く大穴があって、そこから漂流物「ギフト」が流れ着いてくることもある。

 

そんな魔界では第444代魔王「ザガン」が「魔界法」を制定して300年の統治を為し、やや窮屈ながらも平和が保たれていた。

そんな折、現魔王により「次期魔王選定戦」の開催が宣言される。魔界中のダンジョンを巡り力を示した者だけが得られる「6つのザガンクリスタル」。それを全て集めた者だけが現魔王への挑戦権を得られるのだ。

 

武を掲げる者、欲望を満たしたい者、どうしても叶えたい夢がある者…。挑戦者それぞれの思惑が錯綜する中、魔王ザガンの息子である誠実で温厚な主人公「セイル」は、ちょっとお節介だけどめちゃくちゃ慕ってくれてる使い魔「アモン」に推されつつもあんまり乗り気ではなかった。

しかし野望を持つ暴走娘「エリゴール」となんやかんやありセイル自身も選定戦に本格参戦することに。お金大好き陽気なオオカミ娘「ナーベルス」の協力もありザガンクリスタルを順調に集める中、セイルは仲間達の「夢」、徐々に集っていく支援者達の「夢」、刃を交えるライバル達の「夢」、そして忘れていた「いつかの自分自身の夢」と正面から向き合っていく。という感じのストーリー。

このストーリーがほんとにバチクソ面白くて、舞台設定である「魔界」「魔族」の使い方が抜群に上手い。

基本魔力で即復活だから実質人死にが使えないのに、シリアスな場面ではうまいこと緊迫感とかリスクを演出できてるのがまじですごい。それでいてギャグ的な場面では雑に殴られて死ぬけど即復活みたいな感じでキレキレのスラップスティックをやるので最高だった。

登場人物の大部分を構成する魔族も、だいたいろくでもないけどなんか憎めないという絶妙の塩梅で、コッチにはコッチの常識があるんだなぁという何かよくわからない納得を得られる感じでだいぶ良かった。

そんな一筋縄ではいかない魔族連中で主人公のセイルくんだけはえらく温厚であり、一番感覚が人間に近い感じがある。甘ちゃんがフワッと描いていた野放図が、地道に人助けを続けることで徐々に支援者が増えて、だんだん形になっていく感じが、非常に丁寧で納得できる展開で良かった。夢があっていいんですよこういうの。

 

ナーベはかわいい。あ、名前は変更可です。

ホワホワしてるように見えてしっかりちゃっかりしてる子です。好き。

「めちゃくちゃ強気だけど時折しおらしさも見え隠れするエリゴール」と「めちゃくちゃ弱気だけど芯となる優しさを持ってるセイル」をうまいこと取り持って前に進めてくれる最強ムードメーカーである。一部署に一人は欲しい人材だ。

 

僕が一番好きなキャラは魔王選定戦参加者にして最大のライバルのバルバスさん!おっさん!

現魔王の布く「魔界法」によって、平和ではあるけれども窮屈になってしまった今の魔界を良しとせず、最高に野蛮で自由な魔界を取り戻そうぜ!という人。ある意味一番魔族らしいキャラですね。

確かに野蛮だけど野蛮仲間からの信頼も厚く、義理堅いやつである。野蛮仲間ってなんだよ。

見た目は完全におっさんなんだけど、信念とカリスマと男気のあるめっちゃ正統派のライバルなんですよ!ろくでもないんだけれども確かに一つの正義だし、誰かのヒーローになり得る存在だ。

そして主人公が次期魔王になるということはこいつの夢を潰すということであり、成り行きで魔王を目指すことになったセイルの成長を促す上でコイツほど最適なキャラもいないと思いますね。でもセイルくんは甘ちゃんなので、バルバスも含めてみんなが楽しく暮らせるような、そんな魔界が一番理想なんですね!「敵」じゃなくて「ライバル」なんですよ!そんな二人が死線を潜り抜ける中で、同じ舞台に立つ対等な存在として互いを認め合っていくんですよ!熱い!あまりにも熱い!

 

あっミイラ忍者少女だ!!ニッチだぜ!

このフールフールちゃんも選定戦参加者で、魔界で異端とされる「ジャポーン文化」を強制的に定着させる目的で参戦している。セイルくんもジャポーンマニアなので、この二人の会話はなんだかほっこりしますね。でもやっぱりマニア故にその在り方で対立するライバルでもある。

ただそれは異文化に理解があるのがこいつらしかいないせいでもあり…「理解を得られぬ寂しさ」と「それに寄り添う優しさ」の両方がしっかり描かれてるのがこのゲームすごくいいとこですね。

 

受付嬢妹!受付嬢妹じゃないか!

「亡失のイストリア」のキャラですね…。

 

…まあそんなこんなでクリスタルをゲットするためダンジョンに挑むセイル一行。(話題を変えていく)

戦闘の基本はカード!攻撃、回復、補助などだいたいはカードで行う。ローグライクなので毎回レベル1&初期デッキからやり直しの感じである。わかりやすく言うと「Slay the Spire」をRPGっぽくアレンジしたようなシステムですね。

敵を倒して経験値とランダムな新しいカードをゲット!お宝を入手したり、祭壇でパワーアップしたり、商人とカードを取引したりしながらパーティを強化しダンジョンのボスを倒す!よしボスを倒したな!次のダンジョンが待ってるぜ!という気持ちがいいループができるタイプのゲームだ。

死んでも特にデメリットはない。魔族だから生き返るんですね!何気に設定が活きてるとこである。

 

三人パーティなのがカードゲーだと珍しい特徴な気がする。デッキは共有ね。

前・中・後衛の概念があり、前衛は敵の攻撃を食らい、後衛は僅かにHPが回復する。「チェンジ」コマンドを実行することでポジションをグルグル回すことが可能なので、前衛で傷を負ったキャラを引かせるなどしてうまいことダメージコントロールしよう。

スピードと行動順の概念があり、敵味方問わず速いキャラほど先に動けるしターンが回ってくるペースも早い。ただやっぱりこの辺の調整は味方が三人生き残ってる前提なので、味方が死ねば死ぬほど敵のターンばっか回ってくることになって無理ゲー化する。

戦闘終了すればHP1で復活するものの、戦闘中の復活手段は限られているのでなるべく死なないように頑張ろう。

 

「Slay the Spire」におけるレリックの役割である「秘宝」は持ってるだけで効果を発揮する便利アイテムなんだけど、人間界からの漂流物である「ギフト」が主にこれを担当している。で、単純な効果の説明に加えてフレーバーテキストが挿入されているんだけど、これがめちゃくちゃ面白い。

基本的にアイテムの使用方法は正確に伝わっていないので、魔族なりに解釈してみた結果はちゃめちゃな使い方をしている。釘バットで肩たたきするし、石鹸は食いもんだし、かき氷食べてキーンとなる現象は攻撃だと思ってるし、なんなら使い方わからん道具は全部拷問器具だと思ってる節がある。こいつら。蛮族がよ!

 

ダンジョン内のイベントマスを踏むことで発生するイベントがやたらと豊富なのも特徴。数百種類あります。やばい。

基本的に選択肢が存在し、選ぶとどうなるか最初はわからない。ただ、次回以降の同イベント発生時に以、前選んだ選択の結果が表示されるから徐々に有利になっていく…ってバランス。故に上位互換の選択肢が存在する場合もある。

基本的には得するイベントが多いけど、損か無かのイベントやそもそも何も起こらないフレーバー的なものもあってピンキリ。キャラクター同士の掛け合い自体は楽しいけれども、「重たい選択を楽しむ」感じではないかな。

180時間以上遊んだけどこれ全部埋めるのはできんかった…!ランダム発生の上に、特定のイベントの後に特定の選択肢を選ばないと発生しないイベントもあるんで大変すぎた。選択肢埋めも考えだすと、選択肢の数分遭遇しないといけないので余計やばい。逆に言えば何回やってもどこかで新しい出会いが発生するのでいいですね。ただコンプリート目指すと発狂する。

 

お金にはダンジョン内のものとダンジョン外のものがあって、ダンジョンをクリアすると、ダンジョン外のお金がたくさんもらえる。それを「ザガンガチャ」なる邪悪な装置に注ぎこむと、新しいカードやレリックが登場するようになる。

新カードは得てして癖が強かったり単純に強力だったり、唐突に新ギミックが登場したりと、まあなんであれ遊びの幅が増して楽しいのでまたダンジョンに潜りたくなってくるという仕組み。なんて邪悪なんだ…。

邪悪とは言ったけどボックス式なので最終的には全部引き切れる安心設計。なんて良心的なんだ…。

また、カードやレリック以外のハズレも初期HPや初期ゴールドとして還元されるので、難しいけどいつかはクリアできるバランスだ。この辺はRPGしてる。逆にこれら強化要素をOFF設定で遊ぶことも可能なので硬派な人も安心だ。(ただまじで無理ゲーになると思います…。)

ストーリーを進行すると第二弾第三弾とガチャの新弾が順次稼働していく。デッキタイプが5種類あってそれぞれにプレイ感覚が全く異なるのでやりたいこととか作ってみたいデッキがもりもり増えて、ダンジョンゴリゴリ回したくなるので中毒性がすごい。

ひたすらこの中毒性を楽しみたい人向けに、ストーリーを完全スキップしてダンジョンだけ遊びまくれる設定にもできるぞ!ただ、ストーリーもこの作品の素晴らしいとこだと思うので、これはちょっと悩ましいぞ…!ただ、そういったいろんな遊び方、作品との付き合い方を許容してくれることは作り手の懐の深さだしいいとこだね。

 

「カルマ」というダンジョンの難易度を上げられるアセンション的なシステムもあり、単純に歯ごたえを求めてカルマを上げるもよし。報酬が増えるので、詰まったときに前ダンジョンのカルマ上げを兼ねて稼ぎをするもよし。となかなか融通が利く。

全ダンジョン最大カルマを目指すと中々のボリュームで、達成感があってよかった。

 

ゲームバランス的にやや残念なところを挙げるとすれば、所謂「無限コンボ」の成立がめちゃくちゃ容易でかつ敵側にその対策がないことかなぁ…。
使用に一切のリスクがない0コスドローが大量にあって、それにダメージソース噛ませればもう完成でそれ以降は消化試合。ダメージソースも、0コス使用で発生とかドローで発生とか、一定回数カード使用ごとにマナ発生でそれ使って殴れるとかでお手軽に発生させられる。面白いのだと無限ループで筋力を無限に発生させられるのでカンスト筋力でワンパンするなんてのもできる。

特にやばいのがテーマ5のカード「リメイク」で、説明では「使用不可カードを廃棄し2ドロー」となってるのに、「手札に使用不可カードがあれば、使用不可でないカードも廃棄でき2ドロー」とかいうぶっ壊れカード。多分バグ。当然0コス。

リメイクがあるだけで戦闘中に不要カードを全部廃棄して0コスドローだけにできるし、なんならカード生成手段があるならこいつを0コスドロー枠にしていいのでこれゲットしたら勝ち。仕様上使用不可カードは用意しないといけないんだけど、テーマ5は初期デッキに使用不可が1枚確定で入ってるのでそれでいい。ほんとにこれ引いた時点でゲームが終わる。

無限デッキ完成した瞬間の恍惚は筆舌に尽くしがたいがそれ以降のゲームプレイは虚無が約束される。極まると「無限デッキになるまでの過程」を楽しむゲームになるかなぁ。タイムイーターさんは必要悪だったんやなって…。

ただこれはある程度カードやレリックが出そろってきてからの話なので、序盤中盤は問題なくカードバトルを楽しめるかと思います。

 

実績全解除はできなかったけど、ほぼ極めたと言っていいんじゃなかろうか!面白かった!コレクション埋めは無理!思えば昔から図鑑要素は諦めてばっかりだ…ゴローニャ見つからんし…。

ゲーム性良しシナリオ良しボリュームも文句なし。超良かったので遊んでみてください。おすすめ!

 

1320円、プレイ時間約185時間

プレイした日2022/09/04~2022/12/07

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「ロジカル真王(シンキング)」紹介

『ロジカル真王』がNintendo Switch™で登場!!
究極の頭脳戦 × 心理戦を楽しもう!!

 

イッツ・ア・ブリーズ。

(たいしたことないね)

「ロジカル真王(シンキング)」とは、論理的思考力・知略・心理戦、全てを駆使して戦う最高のゲームである。真王と書いてシンキングと読ませるセンスすこ

元はアナログの2人対戦カードゲームで、今回はそのデジタル化作品ね。

紙版も持ってるけど、比べた感じ、効果発動を忘れるとか隠しカードを倒しちゃうとかの事故がないからめちゃくちゃ遊びやすいね!デジタル化の恩恵を最大限に受けてると言える。

ただし紙版は面と向かっての相手の表情や手癖で読む面白さがあり、紙版には紙版の魅力がある!どっちも面白いのでお好みで気になるほうを遊ぼう。

メディアミックス的に週コロでも連載されているのでこちらにも注目。今後に期待大である。面白いしルールもわかりやすいので、よかったら読んでみてね。↓

ちなみに冒頭の「イッツ・ア・ブリーズ」は主人公の決め台詞であり煽り文句である。ひでえ奴だな!

 

www.corocoro.jp

 

このカードゲームは1VS1の限界ガチンコタイマンバトルだ!知力を尽くし、己のプライドを賭けて戦い、一瞬の選択が運命を分ける!めっちゃ頭が疲れるので糖分補給しておこう。

このゲーム、簡単に言えば「相手の隠しカードの数字を全部当てたら勝ち」!数字の当てっこゲームだね。

使用するのは0~9までの数字が書かれた10枚のカード。これが1セットずつ、両プレイヤーに公平に与えられる。このうち2枚を隠しカードとして左右に配置し、残りの8枚を手札とする。

最初にやるのは先攻後攻を決める運命のコイントス。乱数で決まるのはここだけなので、こればっかりはロジック神に祈るしかない。

自分の番になったプレイヤーは、「1.手札のカードを1枚使用して効果を発動」し、「2.相手の隠しカードを1枚選択し攻撃」する。

「攻撃」というのは、カードのナンバーを当てることだ。例えば「8!」って宣言して隠しカードがほんとに「8のカード」だったら攻撃成功(ロジカル!)。その「8」は相手の手札に戻るぞ。攻撃失敗(ノーロジカル!)なら、それはそれで「8じゃない」ということがわかるので貴重な情報だ。ちなみに攻撃されたら嘘はつけないので安心してほしい。

そうして手番を交互に繰り返して、相手の隠しカードを当てて先に0枚にしたほうの勝ち!なんてシンプルなゲームなんだ!

ちなみに、「1.手札のカードを1枚使用して効果を発動」が実行できない、つまり手札が0枚の状態で自分のターンが来た場合は強制敗北になるので覚えておこう。

 

そんなシンプルなルールで、誰でも簡単に楽しめる本作。しかしこのゲームの奥深さはカード使用時に発動する「特殊効果」にこそある。カードを使いこなした者こそが勝利を掴むのだ!

「なぜそのカードを使ったか」、あるいは「なぜあのカードを使わなかった(使えなかった?)のか」、このゲームの読み合いは「特殊効果」を前提として成り立っていると言って良いだろう。

ということで、このゲームで使う10枚のカードをさらっと紹介していこう。お気に入りのカードや戦法が見つけられたら幸いである。

 

「0.守護の盾」。効果は「相手は次ターン攻撃できない」!

これを使われると、単純に相手は1ターン攻撃の権利を失う。「次のターンが確実に回ってくる」という行動保証はありがたく、手札にあるだけで安心感が違う。

まさに「守護の盾」の名に相応しいお守りカードと言えるだろう。

「守護の盾」に「守護の盾」で対抗されるのはお約束。

次死ぬかもしれない場面で相手が、「守護の盾」を使ってこない、ということは隠しカードなのか…?あるいは、そう読むことを見越してあえて手札に保持しているのか…?という読み合いを、使わなくても発生させることができる、ある意味このゲームのセオリーに忠実なカードと言える。存在することが価値なのだ!

 

「1.破壊の剣」。効果は「相手の手札を1枚破壊する」!

みんな大好き手札破壊効果である。このゲームにおいて「手札の枚数=隠しカードの可能性の広さ」である。それを削ることは、勝利に一手近づくことと同義である。

まさに「破壊の剣」の名に相応しい攻めのカードと言えるだろう。相手の作戦のキーカードを潰し、計画を狂わせることができたなら、その恩恵はさらに大きい。

ちなみに、手札残り1枚の相手にこれを使うと、手札0枚状態の相手にターンを回せるので、ライブラリアウト勝利が確定する。その際は、相手の手札を増やさないために「攻撃をわざと外す」ことも立派な作戦である。

 

「2.連撃の銃砲」。効果は「このターンは2回攻撃できる」!

理論上、このカードで左右2枚の隠しカードを一度に当ててしまえば、どこからでも勝利可能。最悪1ターン目に即死攻撃を放つことも可能…かもしれないというロマンカードである。

しかし、このカードの本質はそこではない。手が進み、相手カードの特定が十分に完了し、相手の隠しカードの中身を確信できたとき…「連撃の銃砲」は効果を最大限に発揮する。「2択」ならローラー作戦で確実に始末することができるのでより良い。

「博打カード」ではない。「確実に当てる」ためのカードなのだ。ロジックを突き詰めた者が勝つ、このゲームの魅力を凝縮したようなカードであると言える。

 

「3.循環の首飾り」。効果は「場のカードを1枚手札に戻す」!

自分の場のカード、つまり自分の既に使用したカード群から、一枚選んで手札に戻せるテクニカルなカード。このカードの使用にターンを使うぶんやや手が遅い弱点はあるが、強力な効果のカードを回収し、再使用できる効果は強力。「1.破壊の剣」で破壊されたカードも回収できるので、不測の事態にも対応できる。

「使用しても手札が減らない」という特性も非常に強力。「循環の首飾りで循環の首飾りを回収」を繰り返すことで相手に情報を与えない作戦や、「1.破壊の剣」によるライブラリアウト戦術に対する対策としても機能する。じわじわ効いてくる防御的な一枚といえる。

 

「4.真実の杖」。効果は「隠しカードが4以下か分かる」!

情報アドバンテージを得るカード。指定した隠しカード1枚が、「01234」と「56789」どちらに属するか判定することができる。

このゲームにおいて「可能性」とは即ち「防御力」であり、「手札を使うこと」は「隠しカードの隠れ蓑を一つ失うこと」である。相手の防御を削ぐ基本的な運用は勿論のこと、可能性を削れば削るほど相手は手札の自由が効かなくなってくる。

例えばこのカードの効果で「0か4の二択」となった場合、相手は0か4を使用した時点で隠しカードを確定させてしまうために、おいそれとは撃てなくなるだろう。「実力行使」と「脅し」の二面性を持つカードと言える。

 

「5.比較の指輪」。効果は「左右の隠しカードの大小がわかる」!

こちらも情報アドバンテージを得るカード。ただし「左右を比べる」という特性上、相手の隠しが2枚ある状態でしか効果を発揮できない。序盤にこそ力を発揮するカードと言える。

「左右の大小がわかるだけ?」と思うかもしれないが、その実得られる情報はかなり多い。仮に、初手に使っただけでも「大きいほうは0でないことが確定」「小さいほうは9でないことが確定」する。

しかも、例えば小さいほうに0で攻撃宣言してハズレだった場合、「小さいほうは1以上」という情報に加えて「大きいほうは当然2以上」という情報も得られる。つまり、使っただけで倍のペースで特定作業を進められる上に、この情報が終盤にまでずるずる尾を引くことになる。

「初手5」はこのゲームにおける一つのセオリーだが、あえて温めておき相手が「7.交換の外套」や「9.復活の玉座」で情報をリセットしてくる瞬間を狙うのも手である。

また、なまじ序盤で強いが故に、相手が使ってこない場合「隠しカードか?」「それとも手札で腐らせたか?」という読み合いが発生しこれもかなり熱い。

 

「6.予知の冠」。効果は「相手の手札を2枚公開する」!

ピーピング効果を持つカード。「手札2枚」の情報アドバンテージはいつ得てもおいしいが、手札が減り「2枚の価値」が相対的に上がってくる終盤でこそ真価を発揮する。

極端な話、相手の残り手札が2枚なら「予知の冠」を使うだけで相手の隠しカードが確定してしまう。

仮に残り隠しカード2枚の場合、左右でどっちがどっちかはまだ確定しないが、終盤ならだいぶ情報も集まってるだろうし、外したら外したでその情報も確定してしまうので、次のターン「2.連撃の銃砲」で仕留めることだってできる。

このカードの一撃圏内に入るかどうか、はバトルの分水嶺になり得るだろう。

 

「7.交換の外套」。効果は「隠しカードを手札と交換する」!

情報リセットを行う防御的な一枚。ちなみに、使用した場合手札と隠しカードの交換は必ず行わなければならない。

「4.真実の杖」「5.比較の指輪」によって絞り込みが進んでいる隠しカードを、このカードでリセットできるとおいしい。また、「手札に戻させないために、確定している隠しカードをあえて攻撃指定しない」という作戦に対する明確なリスクにもなっている。

単純に、「使いたいけど隠しカードになってるせいで使えないカード」を手札に戻す用途にも使える。情報リセットのついでにできるとなお良い。

 

「8.回避の鎧」。効果は「次の相手カード効果を無くす」!

効果無効効果である。相手はカードを出しても効果を発揮できないが、「カードを出す義務」はちゃっかり発生するので、実質「手札を捨てさせる」効果でもあると言えるかもしれない。

ちなみに、回避の鎧を使われた後に回避の鎧を使うと、回避の鎧(先)の効果により回避の鎧(後)の効果が発動しない。つまり無効で無効が無効になる。なんのこっちゃ。

「0.守護の盾」による行動保証、「2.連撃の銃砲」によるワンチャン、「9.復活の玉座」による回復等、状況不利を打開するための行動を軒並み無効化することができる強力な効果。性質上、「自分隠し2-相手隠し1」の有利状況を勝ちに持ってくのが得意で、「自分の生存が確定」&「1回攻撃できる」&「相手は1枚カードを捨てさせられる」というガン有利状態からまた自分のターンを始められる。

友達をなくすこと以外デメリットがない強カードである。

 

「9.復活の玉座」。効果は「場にない数字を隠しカードにできる」!

「場にない数字」とは、「自分も相手も捨ててないカード」のことである。自分の捨てたカードは当然手札に存在しないので、実質相手の捨てたカードだけ気にすれば良い。

実質的な「第三のライフ」。強いとか弱いとかじゃなくてもはやシステム。このカード+新しく隠しにするカードを使うので手札が2枚減るのが難点だが、ライフが増えるのは単純に強いし、寿命が延びれば相手を殴れる回数も増える!

難点としては、カードが大方出尽くした終盤では腐ること。往々にして発生する「序盤でたまたま当たっちゃった」に対する保険、バランサー的存在と言える。ナイス調整だ。

強力故にこのカードを隠しにするのはややリスキー。「9」指定で手札に戻ってくるならまだ良いが、もう一つを狙われて「9」だけポツンと隠しになると最悪。「9」が使えない上に、「使ってこないということは…?」という重大な情報を相手に与えてしまう。「7.交換の外套」なりで回収するのも手。

逆に、「9隠し」はそういうリスキーな択であるが故に裏択として機能するという面もある。同じ相手と連戦すれば「癖読み」されるのが勝負の常。可能性を広く持ち、択を散らせるプレイヤーがやはり強い。

 

ちなみにこれら10種のカードは、漫画版のキャラクターバージョンに切り替えることも可能!(何回か遊んでると徐々に解放)

オリジナルバージョンも美麗でいいんだけど、たまには雰囲気変えて遊びたいよね。ちなみに僕が好きなキャラクターはマッシュルーム野郎です。

 

総じて「情報の価値」が非常に高いゲームであり、基本的に手札が多ければ多いほど有利。それ故互いにカードを吐きあった終盤は、必然的に壮絶なインファイトになる。一手の差で勝敗が決する、ひりつくようなギリギリのバトルを毎回楽しめるのだ。頭痛くなってくる。まじで。

論理的思考能力は勿論なんだけど、「左に何番と何番を指定した」「右は何番と何番」「手札には何番と何番が確定」とかいった情報を覚えておく記憶力も重要で、結構脳のリソースを割く。慣れないうちは特に大変だ。まじで。なので初心者VS熟練者なら初心者側のみメモ可とかで丁度良いハンデにできそうですね。

まあ、そうやって何度も何度も戦って考察が深まるにつれて、このゲーム、単純な「当てっこ」ではなくなってくる。

「相手が隠しカードにしているカード」=「使えない」なので、「隠しカードにしていてほしいナンバーは攻撃指定しない」

「相手が指定してきたナンバーから優先的に使用して分母を減らさない」

片方の隠しカードだけを狙っていると「7.交換の外套」でリセットされるので、「左右に攻撃を分散する」

左右に同じ数字でローラーするとそのナンバーは手札確定、発動してもフリーな手札を与えてしまうので、「左右で指定する数字を散らす」

とかいったセオリーがだんだん見えてくる。でもそのセオリーは絶対じゃない。人間が相手で、読み合いのゲームである以上、表の択だけだと必ず裏をかかれる。ロジックは、元を辿れば損をしたくないという感情、人間の心理だ。「人間の心理」には、必ず「キズ」がある。そしてそれは、いつか必ず読まれる。そういうゲームである。

ロジックだけでは直感の瞬間最大風速に勝てない。直感だけではロジックによる確実な追い込みから逃れられない。外したら負けの極限状態で自分は何を信じるのか。「確率的な正解」か?「相手が心理的に選びそうな択」か?あるいは「直感」を信じるか?正解はある。でも、そこに至るまでの途中式は全くの自由なのである。

 

シンプル故に凄まじい緊張感を味わえる本作。心臓バクバクするわ頭パンクしそうだわでどっと疲れる!BGMが状況に合わせて変化する演出もこの緊張に拍車をかける。

攻撃時に光弾をぶつける演出もまじで緊迫感あって「当たってくれぇぇ…」ってなるし、自分が攻撃されてるときの相手のダイヤルが視認できるのも怖すぎて「外してくれぇぇ…」ってなる。まじで心臓がもたない。

「連戦」が超楽しくて飽きないのも良い。「前回の試合での相手の行動」が推理の材料になるし、逆に自分の行動も相手に見られてる。癖読みしあう感じが面白いし、「読み合い」に常に次の段階があって永遠に続く。(故にめっちゃ疲れる)

新しい相手とやると、それはそれで新鮮な感覚を得られてエキサイトできるし、そんな相手とも連戦してると徐々にドロドロした読み合いに発展していく。

やってると、ほんとに純粋な「勝ちたい!!」っていう気持ちが湧いてくる。そしてその「熱」は、きっと相手とも共有している。負けたら悔しくてまたやりたくなる。闘争という人間の本能の、源流にすごく近いところに存在しているゲームのように思う。

 

長くなりましたが、「ロジカル真王」、超おもろいのでおすすめです。

追加コンテンツも配信予定!…っぽい!今後にも期待したいですね!

 

1540円、プレイ時間約5時間

プレイした日2022/12/15~2022/12/31

store-jp.nintendo.com

有料DLC!「SCOUT」紹介

ひきぬけ!最高のショーのために。

 

やっぱり同業者は潰すに限るぜ!

2022年12月1日、「レッツプレイ!オインクゲームズ」冬のアップデートにて、初の有料DLCとして第八のゲーム「SCOUT」が追加された!650円!

ドイツ年間ゲーム大賞にもノミネートされた作品が鳴り物入りでの参戦である。2021年発売のゲームなので、収録作品の中でもかなり新しい作品ですね。

有料DLCの告知は前々からされてたんだけど、価格は公開されてなかったのでどんなもんかと思っていたら、えらい良心的な価格設定で安心しましたね。今の8作で大満足なんだけど、これからもこんな感じで少しずつゲームが増えてくと嬉しいな!!

この作品は大まかに言えば「大富豪を捻った感じ」のゲーム!みんなで手札を出してくシンプルな遊びなのに、この捻りが絶妙で、一筋縄ではいかないここだけの駆け引きが味わえる。

 

本編の紹介はこちら↓からどうぞ!

無料追加アップデートされた作品はオインクゲームズのタグから辿れるよ!

 

gogo7ji.hateblo.jp

 

ルールはシンプル!一番稼いだ人の勝ちだ。

プレイヤーはサーカス団の団長となり、ライバルサーカス団とショー合戦をしたり人材の引き抜き合戦をしたりしてお金を稼ぐのだ!相手のショーを潰せ!人材を奪え!

オインクゲームズ、「藪の中」といい同業者と潰し合いをするゲーム多くない?!

 

この作品は45枚のカードを使って遊ぶ3~5人用ゲームだ。これを9枚ずつみんなに配って遊ぶ。

このカードは言わば「人間」。サーカス団員である。つまり自分の手札の数はサーカス団の人数だと思っておけばよい。

そしてこのカードには数字が刻まれている。これは「芸の強さ」だ。つまり1は芸が弱くて10は芸が強いのだ。たぶん1は小梅太夫くらいの強さだと思う。

あとこれも重要なんだけど、一つのカードには二つの数字がある。タロットカードの正位置と逆位置の意味が違うように、上と下で数字が違うのだ。つまり同じ人間でも、芸風が変わる場合があるんだね。小梅太夫ダウンタウンの浜田くらいの強さになる場合もあるのだ。

つまり1~10の全ての組み合わせがカードになってるので、(n^2-n)/2のnに10を代入して45枚ってことね。カード構成に被りがないということが計算上重要になってくる場面もあるので覚えておこう。

 

みんなに手札を配ったら、ショーの始まりだ!

基本は大富豪のように手札を全て吐いて「上がり」を目指す。

1つ注意しておきたいのが、「手札は並び替えができない」ということ。与えられた手札このままの並びで戦わねばならないのだ。「手札が強いか」だけじゃなく、「いい感じに並んでるか」も超重要。浜田と松本の間に小梅太夫が挟まってるとダウンタウンが出せなくなるわけね。

ただし、最初に手札が配られたタイミングに限り、「手札を全て丸々ひっくり返す」ことが可能。要は手札を全て逆位置の数字に変更することができる。TCGでいうマリガンの代わりだね。

 

自分のターンにプレイヤーが取れる行動は3種類。

「スカウト」「ショー」、それと「スカウト&ショー」だ。これらの内1つだけ選んで実行することができ、どれも選ばず何も実行しないというのは不可。スカウトとショーを同時に発動できる「スカウト&ショー」は必殺技みたいなもんで、1ラウンドにつき1回しか発動できない虎の子だから使いどきが重要だ。

「ショー」は上がるために必須の最重要コマンド。手札を場に出すことである。最悪1枚でも場に出すことは可能だが、「同じ数字組み」「階段組み」で出せると強い役になり、複数枚同時にカードを消化することができる。

大前提だが、場に出ているショーよりも役の強いショーしか場には出せない。役の強さとしては単純に数字の大きいほうが強く、また階段組みよりも同じ数字組みのほうが強く、そして枚数の多いほうが絶対的に強い。

お金を稼ぐのに重要なのは「相手のショーを潰す」こと。単に強いショーを出すだけでは儲けにならないのだ。場のショーをより強いショーで潰すと、場に出ているカードの枚数がそのまま自分のお金になる。相手が勝負に出てくるタイミングをキッチリ読んで力を蓄え、叩きのめす!これが気持ち良い!

 

ショーで勝つには強い役を揃えなきゃいけない。そんなときには「スカウト」が役立つ。スカウトを宣言すると、場に出ているカードを一枚、選んで拾うことができる。(ただし、並んでいるうちの右端か左端しか取れないという制約がある。)

スカウトでカードを得るとき、「手札のどの位置にでも」「正位置逆位置を選んで」カードを配置できるという強力な特性がある。手札の制約が多いこのゲームでこれは重要だ。ただし手札のどの位置に、何番のカードを入れたのか、目ざとい相手はしっかりきっちり覚えている。やはりこのゲームでも「情報」の価値はでかい。

デカイ役を作ってドヤ顔でドンと出す瞬間の快感は何物にも代えがたいものがある。スカウトで手をじっくり育てる浪漫あるプレイも一興だね。

「スカウトする」=「カードが一枚減って場のショーが弱体化する」なので、次の番の人のサポートという面もある。誰もショー出来ずに場が一周すると、最後にショーした人の上がりでラウンドが終わってしまう。利害が一致するならば、サポートに回ることもあるだろう。

ただしスカウトをすると、ショーの主催者にお捻りが入ってしまう。また、「ショー」ができないなら強制的に「スカウト」をさせられるという面もあるので、余計な人員がサーカスに加入してしまうことも。お前サーカス抜けろ。

「相手にスカウトさせる」こともプレイヤーの貴重な収入源であるわけだ。相手が潰せないほどのドデカイショーをぶち上げるととっても気持ちが良い!「潰してくるか?」「諦めてスカウトしてくるか?」この辺の読み合いも熱い。

 

「相手のショーを潰せるか」「潰せないか」、それが我らがサーカス団の命運を握っていることはお分かりいただけたかと思うが、そこで悩ましくなってくるのが最強のコマンド「スカウト&ショー」をいつ切るか問題である。我らの明日を分ける究極の選択である。

「スカウト&ショー」。その名の通り、スカウトしてからショーができるだけの単純明快なコマンドである。デメリットは「1ラウンドに1度しか使えないため、一回切ったらもう切れなくなる」これだけ。

しかしそのデメリット故に使いどころが難しい。「スカウト」だけでも、「ショー」だけでも勝てない、そんな瞬間が切りどきであると言える。

「スカウトで相手のショーを弱体化し自分の手札を強化する」そして「ショーをぶつけて相手を潰す」、この2つの行動を1ターンに実行できるのはあまりに強力で、試合への影響力は非常に大きい。故に「相手がスカウト&ショーを吐いたかどうか」は判断材料としてかなり重要であると言える。

…でも、冷静に考えてぶっこ抜いた人材を即登用してライバルの興行を潰すの、めちゃくちゃ外道ムーブのような…?

 

そんなこんなで手札を全て使い切った人は「上がり」。「自分のショーに誰も勝てなかったとき」も上がれるね。

上がったからといってお金が貰えるわけじゃない。でも、忘れてはいないだろうか。団員に払うお給料のことを。

誰かが上がった時点で、上がれなかった人の持っている手札は全て「負債」になる。雇っといてショーに出せなかったんだから当然だよな!具体的には手札1枚につき1失点。

なのでスカウトを利用した「溜めて溜めてドン!」を狙いすぎると失敗したときのダメージはよりでかくなる。かといって手札を上手く育てないと勝てる戦いも勝てなくなる…と、いった具合に、オインクゲームズお得意のジレンマを生むゲーム性を実現している。

公平に全員が親をやるフルラウンド制だと、このペナルティによって生まれる駆け引きをより濃く感じられるだろう。

「このラウンドはいつ終わるのか?」

「この手札で勝てるか?」

「もう少し粘って手を育てるべきか?」

「上がることを諦めて、手札を減らしたほうが良いのか?」

そういったプレイヤー達の思惑が重なり合って、予想もつかない展開を生み出す。人間という存在がこのゲームの最大のエッセンスですよ。

 

かなりカジュアルなゲーム性で、体感、運7:経験3くらいの印象。運は最初の手札もそうだけど、場の流れとかも含めてね!ツキが乗らないときは大抵とことんだめである。

でもだからこそ、良い手札のときはこれをどう爆発させてやろうかとか、悪い手札のときはこの局面をどう凌ぐかとか、ランダム性が強い故の駆け引きと中毒性がやっぱりあって、この手のゲームの醍醐味だね。

いつ仕掛けるのか。いつ仕掛けられるのか。タイミングが重要なゲーム性が「興行」という題材とがっちり噛み合ってるのも好きポイント。オインクはそういうとこほんと上手い。

良い芸も、時期を逃せば実らないことがある。華々しさの裏にはほろ苦い失敗の物語がある。成功する保証など決してない世界だ。それでも芸人たちは爪を研ぐ、牙を磨く!誰よりも輝くため、誰かの心を奪うため!

サーカス団は東へ西へ、今日もゆく!

 

追加コンテンツ「SCOUT」:650円

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ソフト本体:2500円、プレイ時間約90時間

プレイした日2021/12/17~2022/12/24

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「勇気の推理123」紹介

「勇気の推理 海苔」の元になった
初期の短編作品を3つ収録!

少年、勇気君が活躍する日常の謎
テーマとする異色短編ノベルゲームです。

(※公式による主張)

 

日常を疑え。

「勇気の推理123」とは、一部でカルト的人気を持つ推理ノベルゲーム「勇気の推理」初期三部作をまとめて一本にしたお得なソフトである。150円だよ。安いよ。

先に発売された「勇気の推理 海苔」のリメイク前にあたり、世界観や登場キャラクターを同じくするが展開はパラレル。連載漫画の読み切り版、あるいはアニメのパイロットフィルムとかいったものに近く、勇気の推理オリジンとでもいった風情だ。

三部作とは言うが、ボリューム的には全部読むのに一時間かかるかどうかってところだし、順番を選べるわけでもなく全部垂れ流しで1から3までノンストップで続く。感覚的には3つの小ストーリーをオムニバス風に楽しめる作品といった印象である。

 

「海苔」と共通するプロットとしては、「海苔の名産地「渡海街」で事件が発生し、天才少年探偵「勇気」がそれを解決する。」というもの。

…要約するとシンプルになってしまうね。そんな生易しいもんじゃないんだけどね。金田一少年を洗脳して一か月海苔だけ食わせて高橋邦子世界に解き放ったようなゲームなんだけどね。不思議だね。

「123」の特色としては、日常の謎をテーマとしていることが挙げられる。

日常の謎」とは本格推理小説におけるジャンルの一つであり、日常生活の中にあるふとした謎、そしてそれが解明される過程を扱った作品を指す。詳しくはウィキペディアを参照されたいが、「死」「殺人」「犯罪」が絡まずとも緻密で繊細なロジックでもって読者を惹きつけ続けなければならない、ある意味難しいジャンルであると言える。

 

ja.wikipedia.org

 

人間が日々を生きる中で取り零していく情報は、自分達が想像するよりも遥かに多い。「日常の謎」はそういった人々を取り巻く関係性や心理の「穴」、光の当たらない暗がりをフォーカスし、些細な気付きを得るとともに、心境の変化であるとか、過ぎ去っていく情景であるとか、忘れさられていく何かに思いを馳せることができる。光を照らすのは必ずしも正義の庭じゃなくたっていい。人間一人の心が晴れるだけだっていいじゃないかと。個人的にはそういうジャンルに思えるのだ。

 

まあ、人が死ぬところから始まるんだけどね。

 

渡海街は治安悪いからね。仕方ないね。

これが日常だよ。

 

何がやばいってね。アイコンからまずやばい。海苔だもん。ラッキーハプニングインパクトで負けてる時点でなんかやばい。普通「勇気」か「推理」っぽいアイコンにするでしょ。でも海苔だもん。

 

開始時点でもうやばい。どのボタン押しても全部同じ反応で実質1ボタン制。ページ送る以外の一切の行動はできないしセーブもロードもない。読みたいなら最初から読んでね!三部作だから1からだよ!というシステム。システムか?

途中選択肢が出るけど選びようがないので実質ないのと同じ。「選択肢がありますが」じゃないんだよそれは「ない」なんだよ日本語的には!

 

気軽ではあるな!確かにな!不正解でもやり直すだけだしな!

ある意味ADVのアタリマエを見直した一つの形なのかもしれない…。

 

ともあれこの作品はノベルゲーム!話が面白きゃいいんだよ!

ということで、123のストーリーを軽く紹介していこう。

 

「1」はまさに勇気の推理オリジンと呼べるストーリーで、後の「海苔」もこれをなぞったお話だと言えるかもしれない。

ごく普通の天才推理少年「勇気」はとある殺人事件に巻き込まれ、息つく間もなく爆弾の解体をさせられる。真相解明のため警察官であるヒロイン「茜」とタッグを組んだ勇気は、一連の事件の中に自分自身のルーツを見出す。勇気は因縁を断ち切るため、謎の存在「詐欺師」との闘いに身を投じていく…。といったストーリー。

「殺人事件」「爆弾処理」「詐欺師との闘い」など日常的なトピックがてんこ盛りなのが魅力ですね。これらのストーリーが爆速で進行してくのが本当に最高で、読んでるとだんだんハイになってくること請け合いである。

個人的には、ヒロインの茜さんが普通に魅力的なのがなんか腹立つね。身長180cmのフィジカル強い年上のお姉さんがグイグイ迫ってくるのめちゃくちゃえっちだと思います。フェチを感じる。

 

「2」は遊園地回!茜さんと遊園地でデートだ。羨ましい!しかし名探偵が遊園地、何も起きないはずがなく…。

見どころとしてはやっぱりヒーローショーかなぁ…。「自己防衛戦隊マモルンジャー」のショーは必見だ!自分の身は自分で守れという新時代のヒーローである。武器は護身用スタンガン。幼稚園で護身用スタンガンが流行ったらどうすんだよ。

そしてやはりというか茜さんがかわいい。年下の少年を遊園地に連れまわす大人のお姉さんですよ。好きでしょこんなの。こんな掃き溜めみたいな街で君と出会いたくはなかったよ。ただ世界観が狂ってるので、冷静に考えてボーボボでビュティが妙にかわいく見えてくるのと同じようなもんですよ。

「1」と比べるとあっさり終わっちゃう印象だけど、勇気の推理節は健在だし面白いから良しだ。

 

「3」はリゾート回!離島というクローズドサークルが舞台だが特に活用されることはないぞ!切り替えていけ!

なんとこの回では勇気のライバル的キャラである陽気が登場!服部みたいなポジションやね。「海苔」では唐突に登場してなんだこいつってなった陽気だけど、ちゃんとルーツがあったんだね!ルーツでも唐突に登場するんだね。なんだこいつ。

見どころはやっぱり勇気と陽気の推理対決かなぁ。基本的にどっちも同じくらい頭がおかしいのでどっちが勝つか全く読めない。あと、よくよく考えると別に推理してない。

これもやっぱり「1」と比べるとあっさりめ。「2」と「3」足したら「1」ってくらいのボリューム感だね。

 

「爆速テンポ」で「超展開」。鑢をかけてない木材みたいな荒さは感じさせつつも面白い短編ノベルの要所はきっちり抑えてる攻めのノベルだ。カイリキーのばくれつパンチみたいな存在。無粋なつのドリルをしてはいけない。

日常の謎じゃねーじゃん!というのは確かに、至極真っ当な突っ込みだ。でもちょっと考えてみてほしい。日常は人の数だけ存在するのだ。あの時、あの瞬間、確かに彼らは渡海街にいて、確かに日常は存在していたのだ。

このゲームは面白い。でも同時に僕は怖い。猛り狂う名のない土着の神に対する畏れのような感情を、僕はこの作品に対して確かに持っている。これが目覚めさせて良い神だったのかは、もはやわからない。一個の生命として、ある種のこの信仰を、心に住まわせて生きるだけのことなのかもしれない。

それこそが僕の日常で、そして解決不能の謎なのだ。

あ、参拝は150円でできるのでおすすめですよ。

 

150円、プレイ時間約1時間

プレイした日2022/11/17

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「一般人格付けチェック ー全国一斉教養雑学常識バラエティークイズー」紹介

アナタは一流?
教養クイズで格付けチェック!

 

あけましておめでとうございます!

東京通信の時間だぞ!

「一般人格付けチェック ー全国一斉教養雑学常識バラエティークイズー」とは、名前の通りである。お正月恒例の例の番組をパロった作品となっている。

 

例の番組のパロディなので、今回は2択ないし4択のクイズに挑む構成となっている。

とはいっても、UIはいつもの東京通信作品の使いまわしであるし、音とか出るわけでもないから視覚情報のみが頼りだ。「ウナギじゃないのはどれ?」じゃねえよウナギ食わせろ!

 

煌びやかな正解画面。

正解すれば次の問題へ進め、不正解ならもう一回。この時点で格付けの体を成してない気がするがまあ一旦良しとしよう。煌びやかだからね。

 

煌びやかでない正解画面。

 

問題の質はピンキリ。比較的ちゃんとした雑学クイズから、問題の形を成していないクソ問題、ただの四則演算、クソマナー講師の頭の中に正解があるクソマナー問題など様々で、玉石混交と言える。どちらかといえば石寄り。

 

そんなもんプライスレスだろ!ふざけてんのか!

 

安心のヒントシステムも搭載してるけど正直あんまり機能しているとは言い難い。ていうかヒント出したらだめだろ!

ヒントの質もピンキリで、何の役にも立たないテキトーなヒントから、そのものずばりの答えみたいなヒントまで様々。加減効かんのか?フィンクスの念能力かよ。

 

形が違うのはわかってるんだよ!違わなかったら問題にならないだろ!

 

耳が特徴的ですよじゃないんだよ!ゴッホ煽って何になるんだよ!

 

見りゃわかるんだよ!Dがウニだと思ってる人間いないだろ!舐めてんのか!

一周回ってGACKTにやらせてみたいですねこのゲーム。

 

問題数は120問ありまあまあ満足感はあるが、コンテンツとしてはそれだけでありひたすら淡々と進む。間違えても正解するまで進めないだけだし、そっくりさんとか映す価値なしとかそういう概念が存在するでもない。これでは正直格付けの名前負けではないかな…?

 

ということで実行しました。格付けを。

東京通信がやらないなら自分でやるしかねぇ!

Excelで作ったスコアボードをスプレッドシートにインポートして公開&共有すればみんなで格付けできるって寸法よ。ゲーム性がないなら自分で作ればいいんだよ!

 

ということで友人数名を集めて一般人格付けチェック会を開催!正直これはかなり盛り上がった!

問題数が120と多いので、格付け要素に加えて正解ポイントでも競えるシステムにした。格付けを維持しつつ正解を続ければ付与ポイントでがっつり稼げる!

途中参加者が出たりして参加問題数もまちまちであるので、その辺も加味した救済システムである。ずっと参加してる人は格付けがグズグズになるから、途中参加でも十分捲れるチャンスがあるってことね!

付与ポイントや不正解許容値などの係数はお好みで調整してみよう。実際やってみた感じでは10問不正解で格落ちくらいのバランスでちょうどだった。

あと、ヒント機能は丸々答えが書いてあることが多いので、全員が答えを決めてから確認すると良いだろう。

 

てことでクイズ大会としては非常に楽しめたんだけど、そういうお膳立てがなければゲーム性としては非常に薄いと言わざるを得ない。一人で遊ぶのは正直つらいだろうなぁ…。

でも、中にはちゃんとタメになる雑学もあったし、そういった話題を提供してくれるから会話が盛り上がる。ある意味、正しくパーティゲームしてると言えるだろう。ちゃんとしてない問題も多いけど、それはそれでツッコミ所として楽しめるしね。

てことで、うまいこと付き合っていけばまあまあ楽しめる作品と言えますね。僕は楽しかったよ。

 

では最後に…。

貞子さん!このゲームを買うのは正解ですか!

 

まあ一流怨霊の貞子さんが言うなら…。

 

980円、プレイ時間約5時間

プレイした日2022/12/17~2022/12/21

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「ラッキーハプニング ーどきどき胸キュンちょっぴりオトナなラブコメイラストクイズー」紹介

ドキドキな日常は突然に…
アナタに起こるとびっきりのラブハプニング!

 

誰かにとっての幸運は誰かにとっての不幸だよ。

「ラッキーハプニング ーどきどき胸キュンちょっぴりオトナなラブコメイラストクイズー」とは、タイトルの通りである。

この作品はみんな大好き、みんなが好きじゃなくても僕が好き、「東京通信」が贈るイラストクイズゲームシリーズが一柱、色欲を司るお色気ゲームであり、「ラッキースケベ」を神髄としている。
ラッキースケベ」とは、予期せぬ事態によってサービスシーンが生じる現象のことであり、突発的にお色気を捻出できることから、創作作品において古くより用いられてきた手法である。

例としては「パンツ見える」「乳揉む」「裸見られる」等の事象が本人らの意志と関係なく発生し、対象が恥ずかしがるところまでがお約束であり風情である。

棚ぼた的でどこか健全にも思えるエロスを生み出すある種のこの予定調和は、各方面にニッチな需要を形成していると言える。僕も好きです。特にギャグ系の漫画で女の子が裸見られたのに次の回で何事もなかったかのようにケロッとしてるとめちゃくちゃ興奮します。

この作品はゲーム史において度々見られるノンR-18のお色気作品の類型であるが、そう、所謂そのラッキースケベ」に着目しているという点が最大の特徴なのである!

 

さあこの、なんかこの、激烈に見覚えがあるUIだがこれがこの作品のメインコンテンツだ!ここのゲームは全部このUIだ!慣れていけ!

イラストをよく見て、クイズの答えに当てはまる部分を虫メガネで選択すれば正解、一つのステージにクイズは4問あり、全て正解すれば次のステージへ。ステージは全部で60個!まあ悪くないボリュームである。

 

ちゃんと正解感のある正解だ!

 

正解感のない正解の例。

 

そして便利なヒント機能を搭載!小さなお子様にも安心だ。安心か?

でもこれ…ヒントっていうか…

答えでは…?

根本的に東京通信はヒントというものが何か理解できていないのでは…?

 

というか問題からしてそう難しいものは出ないし、「答えから逆算してヒントを予測する遊び」のほうがよっぽどクイズとしていい塩梅になってしまっている感がある。

 

しかしステージによっては「日本語が怪しい、あるいは疑問形になっていないため問題文の意図するところが意味不明なもの」が一部存在し、そういった場面ではこのド直球ヒントくんが役に立ってくれる。「ヒント=答えなので、答えから問題文を予測する遊び」が始まるのだ。斬新すぎる。

 

そんな本作の最大の長所、それは「差分絵」の存在である。ステージ1つにつき絵が2つ用意されており、要所で絵が切り替わるのだ!「ラッキースケベ」のビフォーアフターを目で楽しむことができ、マンネリも感じにくくなるという画期的なシステムである。画期的か?

 

しかしこれを有効活用できているとは言い難い。というのも序盤を除いた大半のステージでは、4問ある内の最初の1問目の時点で絵が切り替わってしまうため、結局最初からオチが見えちゃってることが大半なのである!だめじゃん。序盤で力尽きたのかな…。

ともあれ、これにより収録イラスト数は120に増加。なんだかんだ見た目に楽しいのはやはり良いことだ。

 

なんともいえない香ばしい解説文も見どころの一つだ。性欲以外の感情を失ってる感じがたまらない。吾峠呼世晴先生絶対認知してないだろ!

「ビンタされる」「憐れまれる」「二度と話すことはなかった」「卒業まであだ名が変態になる」「左遷される」「ヤンキーにボコボコにされる」等、何故かビターなエンドが多いのも特徴。

特にビンタは定番であり頻繁に目にすることになる。具体的に言うと「意味怖」におけるカニバリズムくらいの頻度で見る。

でも何故かその、ラッキースケベには代償として相応のアンラッキーが伴う」という不文律が妙に心地よい。痛い目見るとこまでもお約束なんだよね。ある意味。

 

いやこれはアンラッキー過ぎるだろ!

「ラッキー」でも「ハプニング」でもないだろ!アンラッキーアクシデントだろ!

東京通信さんにはこの作品のタイトルを今一度思い出してもらいたいところである。

 

ある者の不幸は、またある者を幸福にする…。

全てを捻じ曲げてでも「ラッキースケベ」が発生するこの狂った世界を、ユートピアと感じるかはあなた次第である。

 

世界観に関しては本当にいい加減というか、なんでもありだ。なんで道にコロコロコミックみたいなウンコ落ちてるんだよ!

基本的には高校(?)が舞台だが、オフィスにレジャーにとシチュエーションはなんでもござれで飽きさせない。性欲の存在する場所ならば何処でも参上仕るのがラッキーハプニングである。

 

本当に高校かなここ…。

 

でもね、こういうゲームって前提として「女の子がかわいい」っていうのがあるんじゃないんですか…?

…可愛いとか可愛くないとか以前にコイツは前世ディディーコングでしょ間違いなく!絶対バナナの皮投げて攻撃してくるでしょ。

描写が普通に軽く引くとこまで行くと情欲もクソもなくなるんだなという気付きを得ました、はい…。

 

このゲームには参加してる絵師さんが複数(3~4人?)いて、ブロックごとに明らかに作風が変わるのも好みが分かれるところだ。画風はもちろんのこと、ヒントも含めた文体までも丸っきり変わるので味付けがまるで別モン。たぶん複数班に分かれて作ったものを最後にがっちゃんこしたんだろうなって感じの出来栄えだ。

 

特に最終盤は攻守が完全に入れ替わり、女キャラが男の裸見て喜ぶゲームになってる。悪くないな…。とは思うけど、どうにも迷走してる感じはするね。結局どういう層をターゲットにしてるんだこのゲームは。でも絵柄は一番好みなんだよな…。

 

まあなんだかんだ突っ込みつつも60問、楽しく遊べたので良かった。お色気ゲーなのに頑なにパンツを見せない、と思わせといて急に見せるようになるルールのなさも東京通信らしさを感じて安心しましたよ。

少なくとも僕にとっては、この作品に出会えたことは思いもかけない幸運…間違いなくラッキーハプニングだったと言えるね。…ただ客観的に見てこのゲームが発売されたのはハプニングじゃなくてアクシデントだよ。

面白いのは確かなので、興味のある人はこっそり遊んでみるのも良いでしょう…。

 

では最後に…。

貞子さん!このゲームを買うのは正解ですか!

 

えっ、あの、それは…、正解ってことでいいんですか…?

 

はい…。

 

980円、プレイ時間約5時間

プレイした日2022/09/29~2022/11/20

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