十九時十分をお知らせいたします

遊んだゲームの感想なんかを書き残していこうかと思っています

「デビラビローグ」紹介

デッキ構築型のダンジョン攻略カードバトルRPGで知略を見せつけろ!

 

魔族×迷宮×ローグライク

デビラビローグとは、ケムコが贈るローグライク要素のある一人用デッキ構築型カードゲームである。…んだけど、ちょっとそれだけでは語り尽くせないぞ!ちょっと話だけでも聞いてってください。

 

ローグライク系カードゲームといえば割と「Slay the Spire」が代表的で有名だと思うし、この作品も言っちゃうとそのフォロワーみたいなもんで、システム的に概ねそんな感じである。パーティ制を採用しているとかの細かい違いはあるけども。

でもね…

 

実はこの「デビラビローグ」、RPGに定評のあるエグゼクリエイト製なんですね!!触ったら判るけどめちゃくちゃケムコRPGしてるんです!なんかマップチップの感じとかにめちゃくちゃ既視感がある!!

「めちゃくちゃ話の面白いカードゲーム」であり、尚且つ「めちゃくちゃ戦略性のあるRPGでもあるという、あまりにも強欲がすぎるブツ、それがデビラビローグの実態である。

 

舞台は魔界!魔力に満たされ、魔族が暮らす、魔の領域である。

魔力がいっぱいあるので魔族は死んでも即復活できて寿命を全うできるし、その寿命も人間の10倍くらいある。なにそれめっちゃ羨ましい!いっぱいゲームできるじゃん!

また、人間界に続く大穴があって、そこから漂流物「ギフト」が流れ着いてくることもある。

 

そんな魔界では第444代魔王「ザガン」が「魔界法」を制定して300年の統治を為し、やや窮屈ながらも平和が保たれていた。

そんな折、現魔王により「次期魔王選定戦」の開催が宣言される。魔界中のダンジョンを巡り力を示した者だけが得られる「6つのザガンクリスタル」。それを全て集めた者だけが現魔王への挑戦権を得られるのだ。

 

武を掲げる者、欲望を満たしたい者、どうしても叶えたい夢がある者…。挑戦者それぞれの思惑が錯綜する中、魔王ザガンの息子である誠実で温厚な主人公「セイル」は、ちょっとお節介だけどめちゃくちゃ慕ってくれてる使い魔「アモン」に推されつつもあんまり乗り気ではなかった。

しかし野望を持つ暴走娘「エリゴール」となんやかんやありセイル自身も選定戦に本格参戦することに。お金大好き陽気なオオカミ娘「ナーベルス」の協力もありザガンクリスタルを順調に集める中、セイルは仲間達の「夢」、徐々に集っていく支援者達の「夢」、刃を交えるライバル達の「夢」、そして忘れていた「いつかの自分自身の夢」と正面から向き合っていく。という感じのストーリー。

このストーリーがほんとにバチクソ面白くて、舞台設定である「魔界」「魔族」の使い方が抜群に上手い。

基本魔力で即復活だから実質人死にが使えないのに、シリアスな場面ではうまいこと緊迫感とかリスクを演出できてるのがまじですごい。それでいてギャグ的な場面では雑に殴られて死ぬけど即復活みたいな感じでキレキレのスラップスティックをやるので最高だった。

登場人物の大部分を構成する魔族も、だいたいろくでもないけどなんか憎めないという絶妙の塩梅で、コッチにはコッチの常識があるんだなぁという何かよくわからない納得を得られる感じでだいぶ良かった。

そんな一筋縄ではいかない魔族連中で主人公のセイルくんだけはえらく温厚であり、一番感覚が人間に近い感じがある。甘ちゃんがフワッと描いていた野放図が、地道に人助けを続けることで徐々に支援者が増えて、だんだん形になっていく感じが、非常に丁寧で納得できる展開で良かった。夢があっていいんですよこういうの。

 

ナーベはかわいい。あ、名前は変更可です。

ホワホワしてるように見えてしっかりちゃっかりしてる子です。好き。

「めちゃくちゃ強気だけど時折しおらしさも見え隠れするエリゴール」と「めちゃくちゃ弱気だけど芯となる優しさを持ってるセイル」をうまいこと取り持って前に進めてくれる最強ムードメーカーである。一部署に一人は欲しい人材だ。

 

僕が一番好きなキャラは魔王選定戦参加者にして最大のライバルのバルバスさん!おっさん!

現魔王の布く「魔界法」によって、平和ではあるけれども窮屈になってしまった今の魔界を良しとせず、最高に野蛮で自由な魔界を取り戻そうぜ!という人。ある意味一番魔族らしいキャラですね。

確かに野蛮だけど野蛮仲間からの信頼も厚く、義理堅いやつである。野蛮仲間ってなんだよ。

見た目は完全におっさんなんだけど、信念とカリスマと男気のあるめっちゃ正統派のライバルなんですよ!ろくでもないんだけれども確かに一つの正義だし、誰かのヒーローになり得る存在だ。

そして主人公が次期魔王になるということはこいつの夢を潰すということであり、成り行きで魔王を目指すことになったセイルの成長を促す上でコイツほど最適なキャラもいないと思いますね。でもセイルくんは甘ちゃんなので、バルバスも含めてみんなが楽しく暮らせるような、そんな魔界が一番理想なんですね!「敵」じゃなくて「ライバル」なんですよ!そんな二人が死線を潜り抜ける中で、同じ舞台に立つ対等な存在として互いを認め合っていくんですよ!熱い!あまりにも熱い!

 

あっミイラ忍者少女だ!!ニッチだぜ!

このフールフールちゃんも選定戦参加者で、魔界で異端とされる「ジャポーン文化」を強制的に定着させる目的で参戦している。セイルくんもジャポーンマニアなので、この二人の会話はなんだかほっこりしますね。でもやっぱりマニア故にその在り方で対立するライバルでもある。

ただそれは異文化に理解があるのがこいつらしかいないせいでもあり…「理解を得られぬ寂しさ」と「それに寄り添う優しさ」の両方がしっかり描かれてるのがこのゲームすごくいいとこですね。

 

受付嬢妹!受付嬢妹じゃないか!

「亡失のイストリア」のキャラですね…。

 

…まあそんなこんなでクリスタルをゲットするためダンジョンに挑むセイル一行。(話題を変えていく)

戦闘の基本はカード!攻撃、回復、補助などだいたいはカードで行う。ローグライクなので毎回レベル1&初期デッキからやり直しの感じである。わかりやすく言うと「Slay the Spire」をRPGっぽくアレンジしたようなシステムですね。

敵を倒して経験値とランダムな新しいカードをゲット!お宝を入手したり、祭壇でパワーアップしたり、商人とカードを取引したりしながらパーティを強化しダンジョンのボスを倒す!よしボスを倒したな!次のダンジョンが待ってるぜ!という気持ちがいいループができるタイプのゲームだ。

死んでも特にデメリットはない。魔族だから生き返るんですね!何気に設定が活きてるとこである。

 

三人パーティなのがカードゲーだと珍しい特徴な気がする。デッキは共有ね。

前・中・後衛の概念があり、前衛は敵の攻撃を食らい、後衛は僅かにHPが回復する。「チェンジ」コマンドを実行することでポジションをグルグル回すことが可能なので、前衛で傷を負ったキャラを引かせるなどしてうまいことダメージコントロールしよう。

スピードと行動順の概念があり、敵味方問わず速いキャラほど先に動けるしターンが回ってくるペースも早い。ただやっぱりこの辺の調整は味方が三人生き残ってる前提なので、味方が死ねば死ぬほど敵のターンばっか回ってくることになって無理ゲー化する。

戦闘終了すればHP1で復活するものの、戦闘中の復活手段は限られているのでなるべく死なないように頑張ろう。

 

「Slay the Spire」におけるレリックの役割である「秘宝」は持ってるだけで効果を発揮する便利アイテムなんだけど、人間界からの漂流物である「ギフト」が主にこれを担当している。で、単純な効果の説明に加えてフレーバーテキストが挿入されているんだけど、これがめちゃくちゃ面白い。

基本的にアイテムの使用方法は正確に伝わっていないので、魔族なりに解釈してみた結果はちゃめちゃな使い方をしている。釘バットで肩たたきするし、石鹸は食いもんだし、かき氷食べてキーンとなる現象は攻撃だと思ってるし、なんなら使い方わからん道具は全部拷問器具だと思ってる節がある。こいつら。蛮族がよ!

 

ダンジョン内のイベントマスを踏むことで発生するイベントがやたらと豊富なのも特徴。数百種類あります。やばい。

基本的に選択肢が存在し、選ぶとどうなるか最初はわからない。ただ、次回以降の同イベント発生時に以、前選んだ選択の結果が表示されるから徐々に有利になっていく…ってバランス。故に上位互換の選択肢が存在する場合もある。

基本的には得するイベントが多いけど、損か無かのイベントやそもそも何も起こらないフレーバー的なものもあってピンキリ。キャラクター同士の掛け合い自体は楽しいけれども、「重たい選択を楽しむ」感じではないかな。

180時間以上遊んだけどこれ全部埋めるのはできんかった…!ランダム発生の上に、特定のイベントの後に特定の選択肢を選ばないと発生しないイベントもあるんで大変すぎた。選択肢埋めも考えだすと、選択肢の数分遭遇しないといけないので余計やばい。逆に言えば何回やってもどこかで新しい出会いが発生するのでいいですね。ただコンプリート目指すと発狂する。

 

お金にはダンジョン内のものとダンジョン外のものがあって、ダンジョンをクリアすると、ダンジョン外のお金がたくさんもらえる。それを「ザガンガチャ」なる邪悪な装置に注ぎこむと、新しいカードやレリックが登場するようになる。

新カードは得てして癖が強かったり単純に強力だったり、唐突に新ギミックが登場したりと、まあなんであれ遊びの幅が増して楽しいのでまたダンジョンに潜りたくなってくるという仕組み。なんて邪悪なんだ…。

邪悪とは言ったけどボックス式なので最終的には全部引き切れる安心設計。なんて良心的なんだ…。

また、カードやレリック以外のハズレも初期HPや初期ゴールドとして還元されるので、難しいけどいつかはクリアできるバランスだ。この辺はRPGしてる。逆にこれら強化要素をOFF設定で遊ぶことも可能なので硬派な人も安心だ。(ただまじで無理ゲーになると思います…。)

ストーリーを進行すると第二弾第三弾とガチャの新弾が順次稼働していく。デッキタイプが5種類あってそれぞれにプレイ感覚が全く異なるのでやりたいこととか作ってみたいデッキがもりもり増えて、ダンジョンゴリゴリ回したくなるので中毒性がすごい。

ひたすらこの中毒性を楽しみたい人向けに、ストーリーを完全スキップしてダンジョンだけ遊びまくれる設定にもできるぞ!ただ、ストーリーもこの作品の素晴らしいとこだと思うので、これはちょっと悩ましいぞ…!ただ、そういったいろんな遊び方、作品との付き合い方を許容してくれることは作り手の懐の深さだしいいとこだね。

 

「カルマ」というダンジョンの難易度を上げられるアセンション的なシステムもあり、単純に歯ごたえを求めてカルマを上げるもよし。報酬が増えるので、詰まったときに前ダンジョンのカルマ上げを兼ねて稼ぎをするもよし。となかなか融通が利く。

全ダンジョン最大カルマを目指すと中々のボリュームで、達成感があってよかった。

 

ゲームバランス的にやや残念なところを挙げるとすれば、所謂「無限コンボ」の成立がめちゃくちゃ容易でかつ敵側にその対策がないことかなぁ…。
使用に一切のリスクがない0コスドローが大量にあって、それにダメージソース噛ませればもう完成でそれ以降は消化試合。ダメージソースも、0コス使用で発生とかドローで発生とか、一定回数カード使用ごとにマナ発生でそれ使って殴れるとかでお手軽に発生させられる。面白いのだと無限ループで筋力を無限に発生させられるのでカンスト筋力でワンパンするなんてのもできる。

特にやばいのがテーマ5のカード「リメイク」で、説明では「使用不可カードを廃棄し2ドロー」となってるのに、「手札に使用不可カードがあれば、使用不可でないカードも廃棄でき2ドロー」とかいうぶっ壊れカード。多分バグ。当然0コス。

リメイクがあるだけで戦闘中に不要カードを全部廃棄して0コスドローだけにできるし、なんならカード生成手段があるならこいつを0コスドロー枠にしていいのでこれゲットしたら勝ち。仕様上使用不可カードは用意しないといけないんだけど、テーマ5は初期デッキに使用不可が1枚確定で入ってるのでそれでいい。ほんとにこれ引いた時点でゲームが終わる。

無限デッキ完成した瞬間の恍惚は筆舌に尽くしがたいがそれ以降のゲームプレイは虚無が約束される。極まると「無限デッキになるまでの過程」を楽しむゲームになるかなぁ。タイムイーターさんは必要悪だったんやなって…。

ただこれはある程度カードやレリックが出そろってきてからの話なので、序盤中盤は問題なくカードバトルを楽しめるかと思います。

 

実績全解除はできなかったけど、ほぼ極めたと言っていいんじゃなかろうか!面白かった!コレクション埋めは無理!思えば昔から図鑑要素は諦めてばっかりだ…ゴローニャ見つからんし…。

ゲーム性良しシナリオ良しボリュームも文句なし。超良かったので遊んでみてください。おすすめ!

 

1320円、プレイ時間約185時間

プレイした日2022/09/04~2022/12/07

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