異色の【短編推理ノベル】
読みやすい文章で初心者にも安心の設計
(※公式による主張)
あなたは少年、勇気となり宿敵である詐欺師を捕まえることができるのでしょうか?
文章を読むことが苦手なユーザー様にも遊んで頂きたいです。
(※公式による主張)
プレイヤーは一人ですが
みんなで遊ぶと楽しいです。
お気軽にどうぞ!
(※公式による主張)
「勇気の推理 海苔」とは異色の短編推理(?)ノベル(?)ゲーム(?)である。構成要素全てにクエスチョンがつくんだけど大丈夫かこのゲーム。
安心してください、大丈夫ではありません。このゲームは狂ってる。
お値段はなんと150円!安い!自販機でジュース買うくらいのノリで海苔を買えるってわけよ。…大爆笑ギャグはこの辺にしておいて紹介していこうと思います。
まずこのゲームを購入して目に付くのがこのクソコラみたいなアイコンだ!
フリー素材みたいな画像にテキストを張り付けただけのあまりにも簡素すぎるデザインがそそる。僕でも作れる!僕でも作れるぞ!なんか謎に自信湧いてきた!
購入画面では「勇気の推理 海苔」、購入後は「勇気の推理」、アイコン内のタイトルは「勇気の推理 ~美味しい海苔の食べ方~」、とタイトル表記が全部食い違ってるのも意味不明すぎる。結局僕は何を購入したんだ。
(暫定的に当記事ではeShopの表記「勇気の推理 海苔」を採用したいと思います。)
そして「フリー素材みたいだなー」って思ったらほんとにフリー素材だった。うまそう。
この写真撮った人もまさかゲームのアイコンにされるとは思ってなかっただろうよ!
たぶん海苔自身もゲームのアイコンになるとは思ってなかったと思う。
ちなみに「呼び込み君オンライン」は僕がふざけて作っただけのほんとのクソコラです。こんなゲーム存在しないので探さないように。
満を持して起動!これまたフリー素材みたいな音楽を伴って、さながら海苔のように真っ黒な画面が現れる。
そしてその音楽がハチャメチャにうるさい!老人がショック死しかねない大音量を伴ってこのゲームは始まる。
無論このゲームにオプションなどという軟弱なものはないので、各自いい感じに環境を調整しよう。
……。
何分待ってもなかなかゲームが始まらない。
……。
そう、この状態で何分待ってもゲームは始まらないのだ。
…あるいは既にゲームは始まっているとも言える。要はこの暗黒画面もこのゲームのページの一つであり、ページ送りをすることで次のページに進むことができる。
ページ送りの方法は簡単!「A、B、X、Y、L、R、十字、その他何かしらのボタンを押す」、これだけ!
逆に言えば、全ての入力が「ページ送り」に割り振られている。プレイヤーは「ページを送る」以外の一切の行動を行えないという潔い作りだ。
つまりこのゲーム、実質1ボタン式なのだ。へぇボタンでも遊べそうですね!
暗黒画面から1ページ送るとタイトル画面。なんか画面比率がおかしいしガビガビしてるのが気になるが、うまそうな海苔だ。
便宜上タイトル画面と言ったがこれも一つのページに過ぎないし、そもそもプレイヤーは「ページ送り」しかできないんだから「ページ送り」以外のその他一切の行動は存在しない。
「オプション」「ログ」「タイトルに戻る」「セーブ」「ロード」とかいった軟弱な機能は一切搭載していないのだ。オートセーブがあるとかいったこともないので、読むなら毎回最初から。
SwitchOnlineのセーブデータお預かりにも当然非対応。まあ無いもんは預かりようがないもんな。
このゲームのボリュームは時間かかっても一時間程度のものなのが救いっちゃ救い。一気に読み切っちゃうくらいの気持ちでいこう。
時代は現代!舞台は架空の街「渡海街(とかいがい)」!名産品は海苔だ。
主人公「勇気」は渡海街に住む普通の高校生。好物はのり弁だ。
ていうか海苔料理ってカテゴリ何??自己紹介の第一声それでいいの??のり弁ってどちらかというと白身のフライがメインじゃない??
僕の疑問を一切合切無視して話は進む。
勇気が謎のヒロイン「茜」に出会うところから物語は動き出し、共に数々の事件に立ち向かっていくこととなる。この辺の関係性はちょっとバディっぽくていい感じ。
当然昼食はのり弁。
晩飯ものり弁。
このゲーム頭大丈夫か?
そんなにのり弁をプッシュするならタイトル画像ものり弁にしたほうが良かったんじゃないか?
ちなみにグラフィックは滅多に切り替わらないので状況と噛み合わないことが多々。基本的に信用しないほうがいいぞ。
この絵は教室、兼通学路、兼住宅街だね。意味がわからないね!
テキストによると「ゴーラのペットボトルだらけの部屋」なんだけど、それらしいものは見当たらない。
「そもそもゴーラって何?」って話なんだけど、それは僕にもわからないです。このゲーム、わかることのほうが少ないので気にしちゃだめです。
これは一見選択肢に思える場面。
しかし先述のようにこのゲームは実質1ボタンしかないへぇボタン式なのでA押そうがB押そうが十字キー押そうが結果は全部同じで分岐もしない。
要はこれ、
「A.飲める
B.飲めない」
ってテキストで書いてあるだけです。惑わされるな。常識に。
この珍妙なゲームの珍妙な仕様に惑わされっぱなしで全く話が頭に入ってこないが、そんなことはお構いなしに珍妙なシナリオが爆速で進行していく。
最初の死体からして「ゴーラの飲みすぎで死亡」だし、ゴーラが何なのかは結局一切説明されないし、それはそれとして主人公の勇気はどんどん論理を飛躍させて意味わからんこと言い始めるし、それに対して周りは拍手喝采だし、プレイヤーを置き去りにして狂気のパレードはどこまでも続く。
普通、話から置き去りにされると「は?」ってなるけど、このゲームに関してはだんだん気持ちよくなってくるのがすごい。電子ドラッグのようにトリップ感を楽しむタイプの作品だ。
中学二年生みたいな独特の言語感覚も魅力の一つ。狙ってやってんのか天然なのか区別がつかない。「中学生っぽい文章」の解像度が高すぎる。
「ギロチンという名の手錠」ってなんだよ!ギロチンなのか!?手錠なのか!?どっち!?
(2022/09/19追記)
9月18日、Twitterにて「勇気の推理」作者「ヒーロー」さんによる公式スペースを拝聴しました。
そこで得られた情報によりますと、この台詞の意図は、
「罪人にとって手錠をかけられるという行為は死刑宣告にも等しい(つまりギロチンにかけられるも同じ)」
といった意味合いらしいです。
でもそれを言うなら「手錠という名のギロチン」じゃねーかな!?逆じゃん!
「ギロチンという名の手錠」だと、モノホンのギロチンを見て「うわっ手錠みたいだな…」って言ってることになるでしょ!!逆じゃん!
わかりづらいので図にしました。
実態としては手錠だけど認識としてはギロチン、なので「手錠という名のギロチン」が正しいですね!!ありがとうございました!!
(2022/09/19追記終了)
「逃げるように家に逃げ込み」ってなんだよ!逃げるようにっていうか逃げてるだろ!エスケープライクエスケープだろ!!
もちもち~。
この文体の中学生っぽさ、尖りは間違いなくこのゲームの魅力なんだけど、反面周囲への無遠慮さみたいな形でも表出してしまっているように思う。
この問題発言は「もちもち~。」しか言えない子に対する発言なので一応筋は通ってるんだけど、悪気なくそういったデリケートなところにズケズケ踏み込んでしまうような感じもまた、「っぽい」雰囲気を感じるんだよな。
正直このゲーム、ガチ中学生が作ってたとしても僕は驚かないぞ。
ただその「無遠慮さ」は言い換えれば「恐れ知らず」な面白さに繋がってる面でもあり、見かたによっては美点にもなり得る。
カ○ビーとかMicr○s○ftとか、もじってはいるけど明らかにそれとわかる企業に喧嘩を売ってるようなシナリオは、酷いっちゃ酷いんだけどそれ以上に腹が捩れた。頼むから見つからずに逃げ切ってくれ。
ラストも衝撃的だった。何とは言わんけどやばかった。ネタバレかもしれんので白文字にしておくぞ。
「このゲームにタイトル画面なんかないので、終わると同時にノーモーションでまた最初から始まる。終わりがないのが終わりだよ!!」
当然エンディングとかスタッフロールとかいった軟弱なものはない。
「なんだか、おかしい。」
このゲーム遊んでてずっと思ってたことを代弁してくれたような台詞である。
狂ってる。狂ってるんだけど、なんか一応物語にはなってる絶妙なバランスの上に成り立っている奇妙なおかしみを持つ作品である。
どちらかというと「高橋邦子」系が好きな人だったらなかなかにエンジョイできそうな作風だ。僕は面白かった!
「高橋邦子がガチ中二時代に制作したゲーム」が発掘されたみたいな謎の興奮があった。個人的には遊ぶと謎に生きる自信が湧いてきた。
よくわかんないゲームが好きなあなたにおすすめ。…これゲームって言っていいのかな?まあ面白いからよし!
150円、プレイ時間約1時間
プレイした日2022/09/15