「ラッキーハプニング ーどきどき胸キュンちょっぴりオトナなラブコメイラストクイズー」紹介
ドキドキな日常は突然に…
アナタに起こるとびっきりのラブハプニング!
誰かにとっての幸運は誰かにとっての不幸だよ。
「ラッキーハプニング ーどきどき胸キュンちょっぴりオトナなラブコメイラストクイズー」とは、タイトルの通りである。
この作品はみんな大好き、みんなが好きじゃなくても僕が好き、「東京通信」が贈るイラストクイズゲームシリーズが一柱、色欲を司るお色気ゲームであり、「ラッキースケベ」を神髄としている。
「ラッキースケベ」とは、予期せぬ事態によってサービスシーンが生じる現象のことであり、突発的にお色気を捻出できることから、創作作品において古くより用いられてきた手法である。
例としては「パンツ見える」「乳揉む」「裸見られる」等の事象が本人らの意志と関係なく発生し、対象が恥ずかしがるところまでがお約束であり風情である。
棚ぼた的でどこか健全にも思えるエロスを生み出すある種のこの予定調和は、各方面にニッチな需要を形成していると言える。僕も好きです。特にギャグ系の漫画で女の子が裸見られたのに次の回で何事もなかったかのようにケロッとしてるとめちゃくちゃ興奮します。
この作品はゲーム史において度々見られるノンR-18のお色気作品の類型であるが、そう、所謂その「ラッキースケベ」に着目しているという点が最大の特徴なのである!
さあこの、なんかこの、激烈に見覚えがあるUIだがこれがこの作品のメインコンテンツだ!ここのゲームは全部このUIだ!慣れていけ!
イラストをよく見て、クイズの答えに当てはまる部分を虫メガネで選択すれば正解、一つのステージにクイズは4問あり、全て正解すれば次のステージへ。ステージは全部で60個!まあ悪くないボリュームである。
ちゃんと正解感のある正解だ!
正解感のない正解の例。
そして便利なヒント機能を搭載!小さなお子様にも安心だ。安心か?
でもこれ…ヒントっていうか…
…
答えでは…?
根本的に東京通信はヒントというものが何か理解できていないのでは…?
というか問題からしてそう難しいものは出ないし、「答えから逆算してヒントを予測する遊び」のほうがよっぽどクイズとしていい塩梅になってしまっている感がある。
しかしステージによっては「日本語が怪しい、あるいは疑問形になっていないため問題文の意図するところが意味不明なもの」が一部存在し、そういった場面ではこのド直球ヒントくんが役に立ってくれる。「ヒント=答えなので、答えから問題文を予測する遊び」が始まるのだ。斬新すぎる。
そんな本作の最大の長所、それは「差分絵」の存在である。ステージ1つにつき絵が2つ用意されており、要所で絵が切り替わるのだ!「ラッキースケベ」のビフォーアフターを目で楽しむことができ、マンネリも感じにくくなるという画期的なシステムである。画期的か?
しかしこれを有効活用できているとは言い難い。というのも序盤を除いた大半のステージでは、4問ある内の最初の1問目の時点で絵が切り替わってしまうため、結局最初からオチが見えちゃってることが大半なのである!だめじゃん。序盤で力尽きたのかな…。
ともあれ、これにより収録イラスト数は120に増加。なんだかんだ見た目に楽しいのはやはり良いことだ。
なんともいえない香ばしい解説文も見どころの一つだ。性欲以外の感情を失ってる感じがたまらない。吾峠呼世晴先生絶対認知してないだろ!
「ビンタされる」「憐れまれる」「二度と話すことはなかった」「卒業まであだ名が変態になる」「左遷される」「ヤンキーにボコボコにされる」等、何故かビターなエンドが多いのも特徴。
特にビンタは定番であり頻繁に目にすることになる。具体的に言うと「意味怖」におけるカニバリズムくらいの頻度で見る。
でも何故かその、「ラッキースケベには代償として相応のアンラッキーが伴う」という不文律が妙に心地よい。痛い目見るとこまでもお約束なんだよね。ある意味。
…
いやこれはアンラッキー過ぎるだろ!
「ラッキー」でも「ハプニング」でもないだろ!アンラッキーアクシデントだろ!
東京通信さんにはこの作品のタイトルを今一度思い出してもらいたいところである。
ある者の不幸は、またある者を幸福にする…。
全てを捻じ曲げてでも「ラッキースケベ」が発生するこの狂った世界を、ユートピアと感じるかはあなた次第である。
世界観に関しては本当にいい加減というか、なんでもありだ。なんで道にコロコロコミックみたいなウンコ落ちてるんだよ!
基本的には高校(?)が舞台だが、オフィスにレジャーにとシチュエーションはなんでもござれで飽きさせない。性欲の存在する場所ならば何処でも参上仕るのがラッキーハプニングである。
…
本当に高校かなここ…。
でもね、こういうゲームって前提として「女の子がかわいい」っていうのがあるんじゃないんですか…?
…可愛いとか可愛くないとか以前にコイツは前世ディディーコングでしょ間違いなく!絶対バナナの皮投げて攻撃してくるでしょ。
描写が普通に軽く引くとこまで行くと情欲もクソもなくなるんだなという気付きを得ました、はい…。
このゲームには参加してる絵師さんが複数(3~4人?)いて、ブロックごとに明らかに作風が変わるのも好みが分かれるところだ。画風はもちろんのこと、ヒントも含めた文体までも丸っきり変わるので味付けがまるで別モン。たぶん複数班に分かれて作ったものを最後にがっちゃんこしたんだろうなって感じの出来栄えだ。
特に最終盤は攻守が完全に入れ替わり、女キャラが男の裸見て喜ぶゲームになってる。悪くないな…。とは思うけど、どうにも迷走してる感じはするね。結局どういう層をターゲットにしてるんだこのゲームは。でも絵柄は一番好みなんだよな…。
まあなんだかんだ突っ込みつつも60問、楽しく遊べたので良かった。お色気ゲーなのに頑なにパンツを見せない、と思わせといて急に見せるようになるルールのなさも東京通信らしさを感じて安心しましたよ。
少なくとも僕にとっては、この作品に出会えたことは思いもかけない幸運…間違いなくラッキーハプニングだったと言えるね。…ただ客観的に見てこのゲームが発売されたのはハプニングじゃなくてアクシデントだよ。
面白いのは確かなので、興味のある人はこっそり遊んでみるのも良いでしょう…。
では最後に…。
貞子さん!このゲームを買うのは正解ですか!
えっ、あの、それは…、正解ってことでいいんですか…?
はい…。
980円、プレイ時間約5時間
プレイした日2022/09/29~2022/11/20