十九時十分をお知らせいたします

遊んだゲームの感想なんかを書き残していこうかと思っています

無料アップデート!「ファフニル」紹介

捨てねば得られぬ

 

2022年9月22日、「レッツプレイ!オインクゲームズ」に無料アップデート第三弾が着弾!第七のゲーム「ファフニル」が追加された!冬には初の有料追加コンテンツ「SCOUT」も追加されることだし、夢が広がるぜ!

ということで早速「ファフニル」を遊んでみたんだけど、これがまあ面白い!

プレイヤーのアウトプットは極力シンプルでありながら、ジレンマを伴う純度の高い駆け引きを楽しめる非常に完成度の高い対戦ゲームに感じた。運の要素もちょうどよい塩梅で、何回でも遊んでみたくなる作りになっててこれも良い感じ。総じてオインクゲームズらしい優れたバランス感覚で構築された職人的な完成度を持つゲームになっている。

てことで今回は追加作品の「ファフニル」を紹介していく!

既存の六作は以前に紹介文を書いてるのでよかったらそちらもどうぞ。

 

gogo7ji.hateblo.jp

 

gogo7ji.hateblo.jp

 

gogo7ji.hateblo.jp

 

「宝石や金塊を産むファフニルと名付けられたニワトリ。

ファフニルを受け継いだ兄弟たちは

よりたくさん手持ちの宝石や金塊を捨てた者

その日の産みたての宝石や金塊を手にすることにした。」

「ファフニル」は2~4人用の対戦ゲーム。プレイヤーはファフニルを受け継ぎし兄弟の一人となって、誰よりも多くの富を得るために今日も宝石を捨てる。

リソースを得るためにリソースを捨てる、そのジレンマ、矛盾がこのゲームの鍵だ。

 

ファフニルは毎日2個の宝石を産む。(たまに4個、珍しい日にはそれ以上産むこともあるけど…基本的には2個。)

兄弟たちはその日産んだ宝石を、挙って競り落とす。より多くの財産を捨てることを宣言した者が、その代償を伴って新しい財産を得るのだ。宝石を捨てなければ、宝石は得られない。

ちなみに先攻後攻の概念があって、捨てる宝石の数が同じ場合は後攻の人が優先される。必然的に、先攻で勝つには宝石を多めに賭ける必要が出てくるので、自分が先攻のターンはあえて見送る選択肢も重要になってくる。

ただし後攻側が、先攻側の見送りを読んでチョビっとだけ賭けてくる場合もあるのでやはりここは読み合い。

また、自分が競り勝った次の日の競りは確実に先手となるため、同じ人が連続して競り勝ちにくい設計になっていると言える。

 

捨てられた宝石の数は種類別にカウント、蓄積されていき、既定の数(これは参加人数によって変動する。)が捨てられることでラウンドが終了、得点清算に移る。

得点清算時、あらかじめ設定された得点(デフォルトでは30点)に達する人が出た時点でゲーム終了、その時点で最も得点の多い人の勝利となる。

 

ファフニルが産み落とす「石」は6種類。その内「金塊」は常に価値が変わらないが、それ以外の5種は価値が変動する。

具体的には、「全プレイヤーの所持宝石」を全部足して、全体数が多い順に価値が高くなる。

一番多い宝石は+3点、二番は+2点とまあここまでは良いんだけど、問題は三番以降の不人気宝石で、これらは一律で-1点となるため終了時に持ってると逆に損する。

「人気の宝石」「不人気の宝石」を見極めるのが重要なゲームなんだな。

金塊は宝石の順位に干渉せず常に+1点なので安定した収入になるけど、逆に言えば持ち札に金塊の比率が増せば増すほどに自分が場に干渉する力が弱まっていくので、ときにはこれを切って宝石を得る判断も必要になってくる。

 

この「宝石の人気」を推測するのに重要なのが「捨てられた宝石」。誰も捨ててない宝石ほど人気があるし、よく捨てられてる宝石ほど人気がない。

捨てられれば捨てられるほどその宝石では勝ち目がなくなっていくため、プレイヤーはその宝石をより捨てたくなっていき、一定数の破棄によりゲームを終わらせようとする傾向が加速度的に広がっていく。この辺の「流れ」を読める、作れる目ざといプレイヤーがやはり強い。

人気の宝石をあえて捨てることで、それを集めてる人にはこの上ない嫌がらせになるし、皆がこぞって捨てる流れを作ることができたならばしめたもの。相手をグズグズにしてる瞬間が一番変な脳内麻薬が出る。

じゃあ自前で集めまくればいいじゃん!って思うかもしれないけど、しかし「持ってたら持ってるだけボロ勝ち」というわけにもいかない。一種類の宝石を5個以上持ってると勝ってもプラス点が貰えなくなる「勇み足」ルールがあるので、自分一人で情勢を作ることは難しいバランスになっているのだ。

自分と同じ宝石を集めてる人がいたならばその宝石の勝率はグッと増す。しかしその人は協力者であると同時に最大のライバルになるし、その人が裏切ってその宝石を捨てないとも限らない。この辺の人読みもまたたまらなく面白い。

最小のコストで最大のリターンを得るパワーコントロール、宝石の価値が変動することによる情勢のコントロール、そして人読みと政治によって生まれる心理戦。「宝石捨てるだけ」のシンプルなゲームなのに、奥深い駆け引きが詰まってる作品なのだ。

 

シンプルながらも熱い読みゲー!程よいランダム性で色んな展開が楽しめるし、十数分でサクサク遊べちゃうからリプレイ性も高い。

ゲーム性は理解しやすく、奥深く。またそれらにキャッチーな世界観とストーリーを与えて小さな箱に詰め込む。この作品もまた「オインクゲームズ」のいいトコが詰まってて大好きだ。「ファフニル」おすすめですよ!

 

プレイ時間約80時間

プレイした日2021/12/17~2022/10/08

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「勇気の推理 海苔」紹介

異色の【短編推理ノベル】
読みやすい文章で初心者にも安心の設計

(※公式による主張)

 

あなたは少年、勇気となり宿敵である詐欺師を捕まえることができるのでしょうか?
文章を読むことが苦手なユーザー様にも遊んで頂きたいです。

(※公式による主張)

 

プレイヤーは一人ですが
みんなで遊ぶと楽しいです。
お気軽にどうぞ!

(※公式による主張)

 

「勇気の推理 海苔」とは異色の短編推理(?)ノベル(?)ゲーム(?)である。構成要素全てにクエスチョンがつくんだけど大丈夫かこのゲーム。

安心してください、大丈夫ではありません。このゲームは狂ってる。

お値段はなんと150円!安い!自販機でジュース買うくらいのノリで海苔を買えるってわけよ。…大爆笑ギャグはこの辺にしておいて紹介していこうと思います。

 

まずこのゲームを購入して目に付くのがこのクソコラみたいなアイコンだ!

フリー素材みたいな画像にテキストを張り付けただけのあまりにも簡素すぎるデザインがそそる。僕でも作れる!僕でも作れるぞ!なんか謎に自信湧いてきた!

購入画面では「勇気の推理 海苔」、購入後は「勇気の推理」、アイコン内のタイトルは「勇気の推理 ~美味しい海苔の食べ方~」、とタイトル表記が全部食い違ってるのも意味不明すぎる。結局僕は何を購入したんだ。

(暫定的に当記事ではeShopの表記「勇気の推理 海苔」を採用したいと思います。)

 

そして「フリー素材みたいだなー」って思ったらほんとにフリー素材だった。うまそう。

この写真撮った人もまさかゲームのアイコンにされるとは思ってなかっただろうよ!

たぶん海苔自身もゲームのアイコンになるとは思ってなかったと思う。

 

free-materials.com

 

 

ちなみに「呼び込み君オンライン」は僕がふざけて作っただけのほんとのクソコラです。こんなゲーム存在しないので探さないように。

 

満を持して起動!これまたフリー素材みたいな音楽を伴って、さながら海苔のように真っ黒な画面が現れる。

そしてその音楽がハチャメチャにうるさい!老人がショック死しかねない大音量を伴ってこのゲームは始まる。

無論このゲームにオプションなどという軟弱なものはないので、各自いい感じに環境を調整しよう。

 

……。

何分待ってもなかなかゲームが始まらない。

……。

そう、この状態で何分待ってもゲームは始まらないのだ。

…あるいは既にゲームは始まっているとも言える。要はこの暗黒画面もこのゲームのページの一つであり、ページ送りをすることで次のページに進むことができる。

ページ送りの方法は簡単!「A、B、X、Y、L、R、十字、その他何かしらのボタンを押す」、これだけ!

逆に言えば、全ての入力が「ページ送り」に割り振られている。プレイヤーは「ページを送る」以外の一切の行動を行えないという潔い作りだ。

 

つまりこのゲーム、実質1ボタン式なのだ。へぇボタンでも遊べそうですね!

 

暗黒画面から1ページ送るとタイトル画面。なんか画面比率がおかしいしガビガビしてるのが気になるが、うまそうな海苔だ。

便宜上タイトル画面と言ったがこれも一つのページに過ぎないし、そもそもプレイヤーは「ページ送り」しかできないんだから「ページ送り」以外のその他一切の行動は存在しない。

「オプション」「ログ」「タイトルに戻る」「セーブ」「ロード」とかいった軟弱な機能は一切搭載していないのだ。オートセーブがあるとかいったこともないので、読むなら毎回最初から。

SwitchOnlineのセーブデータお預かりにも当然非対応。まあ無いもんは預かりようがないもんな。

このゲームのボリュームは時間かかっても一時間程度のものなのが救いっちゃ救い。一気に読み切っちゃうくらいの気持ちでいこう。

 

時代は現代!舞台は架空の街「渡海街(とかいがい)」!名産品は海苔だ。

 

主人公「勇気」は渡海街に住む普通の高校生。好物はのり弁だ。

ていうか海苔料理ってカテゴリ何??自己紹介の第一声それでいいの??のり弁ってどちらかというと白身のフライがメインじゃない??

僕の疑問を一切合切無視して話は進む。

勇気が謎のヒロイン「茜」に出会うところから物語は動き出し、共に数々の事件に立ち向かっていくこととなる。この辺の関係性はちょっとバディっぽくていい感じ。

 

当然昼食はのり弁。

 

晩飯ものり弁。

このゲーム頭大丈夫か?

そんなにのり弁をプッシュするならタイトル画像ものり弁にしたほうが良かったんじゃないか?

 

ちなみにグラフィックは滅多に切り替わらないので状況と噛み合わないことが多々。基本的に信用しないほうがいいぞ。

この絵は教室、兼通学路、兼住宅街だね。意味がわからないね!

 

テキストによると「ゴーラのペットボトルだらけの部屋」なんだけど、それらしいものは見当たらない。
「そもそもゴーラって何?」って話なんだけど、それは僕にもわからないです。このゲーム、わかることのほうが少ないので気にしちゃだめです。

 

これは一見選択肢に思える場面。

しかし先述のようにこのゲームは実質1ボタンしかないへぇボタン式なのでA押そうがB押そうが十字キー押そうが結果は全部同じで分岐もしない。

要はこれ、

「A.飲める

 B.飲めない」

ってテキストで書いてあるだけです。惑わされるな。常識に。

 

この珍妙なゲームの珍妙な仕様に惑わされっぱなしで全く話が頭に入ってこないが、そんなことはお構いなしに珍妙なシナリオが爆速で進行していく。

最初の死体からし「ゴーラの飲みすぎで死亡」だし、ゴーラが何なのかは結局一切説明されないし、それはそれとして主人公の勇気はどんどん論理を飛躍させて意味わからんこと言い始めるし、それに対して周りは拍手喝采だし、プレイヤーを置き去りにして狂気のパレードはどこまでも続く。

普通、話から置き去りにされると「は?」ってなるけど、このゲームに関してはだんだん気持ちよくなってくるのがすごい。電子ドラッグのようにトリップ感を楽しむタイプの作品だ。

 

中学二年生みたいな独特の言語感覚も魅力の一つ。狙ってやってんのか天然なのか区別がつかない。「中学生っぽい文章」の解像度が高すぎる。

「ギロチンという名の手錠」ってなんだよ!ギロチンなのか!?手錠なのか!?どっち!?

 

(2022/09/19追記)

9月18日、Twitterにて「勇気の推理」作者「ヒーロー」さんによる公式スペースを拝聴しました。

そこで得られた情報によりますと、この台詞の意図は、

「罪人にとって手錠をかけられるという行為は死刑宣告にも等しい(つまりギロチンにかけられるも同じ)」

といった意味合いらしいです。

でもそれを言うなら「手錠という名のギロチン」じゃねーかな!?逆じゃん!

「ギロチンという名の手錠」だと、モノホンのギロチンを見て「うわっ手錠みたいだな…」って言ってることになるでしょ!!逆じゃん!

 

わかりづらいので図にしました。

実態としては手錠だけど認識としてはギロチン、なので「手錠という名のギロチン」が正しいですね!!ありがとうございました!!

 

(2022/09/19追記終了)

 

「逃げるように家に逃げ込み」ってなんだよ!逃げるようにっていうか逃げてるだろ!エスケープライクエスケープだろ!!

 

もちもち~。

 

この文体の中学生っぽさ、尖りは間違いなくこのゲームの魅力なんだけど、反面周囲への無遠慮さみたいな形でも表出してしまっているように思う。

この問題発言は「もちもち~。」しか言えない子に対する発言なので一応筋は通ってるんだけど、悪気なくそういったデリケートなところにズケズケ踏み込んでしまうような感じもまた、「っぽい」雰囲気を感じるんだよな。

正直このゲーム、ガチ中学生が作ってたとしても僕は驚かないぞ。

 

ただその「無遠慮さ」は言い換えれば「恐れ知らず」な面白さに繋がってる面でもあり、見かたによっては美点にもなり得る。

カ○ビーとかMicr○s○ftとか、もじってはいるけど明らかにそれとわかる企業に喧嘩を売ってるようなシナリオは、酷いっちゃ酷いんだけどそれ以上に腹が捩れた。頼むから見つからずに逃げ切ってくれ。

 

ラストも衝撃的だった。何とは言わんけどやばかった。ネタバレかもしれんので白文字にしておくぞ。

このゲームにタイトル画面なんかないので、終わると同時にノーモーションでまた最初から始まる。終わりがないのが終わりだよ!!

当然エンディングとかスタッフロールとかいった軟弱なものはない。

 

「なんだか、おかしい。」

このゲーム遊んでてずっと思ってたことを代弁してくれたような台詞である。

狂ってる。狂ってるんだけど、なんか一応物語にはなってる絶妙なバランスの上に成り立っている奇妙なおかしみを持つ作品である。

どちらかというと「高橋邦子」系が好きな人だったらなかなかにエンジョイできそうな作風だ。僕は面白かった!

「高橋邦子がガチ中二時代に制作したゲーム」が発掘されたみたいな謎の興奮があった。個人的には遊ぶと謎に生きる自信が湧いてきた。

よくわかんないゲームが好きなあなたにおすすめ。…これゲームって言っていいのかな?まあ面白いからよし!

 

150円、プレイ時間約1時間

プレイした日2022/09/15

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「スーパーバレットブレイク」紹介

かわいいキャラクターが多数登場する
唯一無二のデッキ構築型ターン制ローグライクストラテジー

 

ローグライクの時間だああ!

「スーパーバレットブレイク」とは、可愛いキャラを相手にぶつけてダンジョンを突き進む、デッキ構築型ターン性ローグライク美少女ゲームである。

早い話が「Slay The Spire」みたいなもんだ!ゲームの構成的にも明らかに意識しているものと思われる。あっちよりはだいぶ難易度低めでより爽快感重視の構成ね。

元々はスマホで出てた基本無料作品「バレットブレイク」が元になってて、サービス終了後に素材を流用して作られたスーパーな新作が「スーパーバレットブレイク」というわけである。キャラが同じだけでゲームとしては全然別モン。マリオブラザーズスーパーマリオブラザーズくらい違う。

元が「引っ張りアクション系タワーディフェンスなのに対して「デッキ構築ローグライクに化けてるのは流石にやばすぎる。大学デビューした大学生でもこんなに変わらないぞ。

 

ストーリー的には今よりそれなりに未来のお話で、ゲームの開発や運営をAIもやってる世界が舞台。
そんな未来世界でとある問題が発生。あらゆるゲームサービスがプレイ不可能状態に陥ってしまったのだ!(怖すぎる…。スタンドアローンなやつはどうなるのかとか疑問はあるけど…。)

この問題を解決すべく、ゲーム大好き少女三人に白羽の矢が立った。

 

「AIがゲームの世界観やキャラの設定を学習して、自動的にストーリーやイベントを生成してくれる」というSF設定。時勢を鑑みるとかなり現実的な未来に思えるね。何気に最近のトピックをモロに抉ってきてる世界観だ。

 

元気いっぱいで格闘ゲーム「とっくみアニマル」のファンアカリ

眼鏡っ娘RPGモノクロームタクティクス」のファンヒカル

お金持ちでFPS「フェニックスの機銃」のファンスミレ

この三人は謎の少女「ナユタ」からミッションを与えられ、NPCのマスコットキャラクター「黒ネコ」と共にバグってしまったゲーム世界に侵入、元凶である「シンギュラレディ」の討伐を目指す。

ただ、ゲームを遊ぶとは言っても内容はバグによって書き換えられており、全て「バレットブレイク」というゲームがベースの別ゲーになっている。

なのであえて現実で言うと、あらゆるゲームのベースがデスクリムゾンになってるので、コンバット越前と協力して、そのゲームに侵入しているデスビスノスを倒して元のゲームに戻そう、という流れ。どんな流れだよ。

 

ZZZ…

この会話シーンもゆるくて好きだ。寝るな。

 

あとマスコットキャラの黒ネコは唐突に美少女化したので僕はきれてる。許さんぞ。

 

てことで主役は「アカリ」「ヒカル」「スミレ」の3人(+隠し1)で、特殊能力や出来上がるマガジン(デッキのこと)の傾向などがちょっと異なる。

この三人からプレイヤーを選択してゲームを始めるわけだけど、それぞれ初回のみ強制出撃。

隠しの子はHPが低い代わりにこの三人の限定要素を全て内包するオールマイティキャラであり、個人的には正直一番楽しい。ただHPが低いことはもちろん、プールが広い故にデッキを組む難易度がやや高いという面もあるので、慣れてから使う前提のキャラだね。

 

ゲーム内ゲームが7つ存在し、それぞれの世界にダイヴして最深部のボスを倒せばクリア。つまりダンジョンが7つあるわけね。エンディング観るのに攻略必須なのは5つだけで、残りの2つはクリア後のおまけコースって感じ。

毎回そのダンジョンの所定の初期デッキを持たされてゲームスタート、HPが尽きて負けたら初期デッキでまたやり直しだ!

 

戦闘ゲームなのでガンガン敵とバトることになるわけだが、このゲームの戦闘の基本は「バレット」である。要はカードみたいなもので、手札として持ってるバレットを敵にぶつけて攻撃し、相手のHPを削り切れば勝ち。このバレットは、作中でバグったゲームの出身キャラクターたちが元になっている。

バレットのランクは星1から星3まであり、基本数字がデカいほど強くてレアだ。レアリティのあるゲームには往々にしてカスレアが存在するけど、このゲームにおいてはあんまりない印象。強さに差はあれど強いかクソクソクソ強いかみたいな感じである。

補助的な効果を持つバレットも多々あるが、全てのバレットには攻撃ダメージが設定されていて、あくまで殴りのついでの補助的効果として設定されている。

バレットを一回使うごとに「マガジン(山札)」からバレットが一枚補充され、しかもマガジンが切れた場合は捨て札から自動でマガジンが補充されるので、理論上は無限に殴り続けることができるんだが、実際には「相手が行動を始めるまでの時間」が設定されており、これが実質的なリミットとなる。

例えば相手の行動開始が「7」なら、使用バレットの合計値が6までの間は何もしてこないが、超過した時点で強制的に自分のターンが終了し、相手にターンが移る。

そのため「低コストバレット」「バレットのコストを下げる効果」「相手の行動開始を遅らせる効果」が異様に強く、ハマればボコり放題だし無限コンボにも移行できてしまう。この辺が要因で難易度易しめで爽快感寄りのバランスになってるね。

しかしコストが高いバレットに使い道がないかというとそうでもなく、むしろコストの分強力な効果でフィニッシュに有用な場合も多い。コストが超過して相手の行動が開始されるなら1超過だろうが100超過だろうが変わらないので、高コストバレットを最後に撃ってぼったくる動きができる。このコストを踏み倒す感覚はなかなか気持ちが良い。

 

手札が全部見えなくなる嫌がらせみたいな状態異常。許さんぞ。

バレットには状態異常、バフ、デバフといった補助的効果も多々あり、それらを活かしたテクニカルな戦法の構築をするのが楽しい。

基本的なものだとそのターン中のダメージを数値分無効化する「防御」、ターンを跨ぐ防御である「装甲」、状態異常を無効化する「耐性」。防御大事。「回復」効果を持つバレットも数多いので、HPで受ける判断も大事。

これら防御タイプのバレットがデッキにない状態だと殴られ放題なので入れときたいとこだが、この手のバレットは得てして攻撃性能に劣るので、下手に守って長期戦になるとかえってダメージが嵩むこともあるのが悩ましい。バランスは大事や。

また、キャラクターの出身によって、特殊なバフが付与されている場合がある。

例えば恋愛アドベンチャー「こいいろ」出身キャラは大抵「ココロボム」バフが設定されており、これが100になると相手の行動開始が遅くなり自分達のコストは半減、ラッシュが叩き込める。

リズムゲーム「アクアリズム」のキャラは「コンボ」バフが設定されていることが多く、これが10貯まるとランダムな敵対象にまとまったダメージが入る。

FPS「フェニックスの機銃」のキャラは「ドローン」生成能力を持ち、生成したドローンはターン終了時に自動効果を発動する。また、ドローンを破壊することで自己強化するバレットも存在する。

このように、ピックするバレットの出身ゲームによってデッキの色が全然違ってくるので、どういったデッキに寄せていくかという悩ましさがある。ある意味一番醍醐味。

なおこれら特殊効果は、超親切なことに戦闘中Rボタンでいつでも確認可能。なお僕は開始一時間くらいこのことに気付かず、「効果教えろや!!」ときれていました。本当に申し訳ありませんでした。

 

倒した敵はマガジンに加えることができる。(もちろん加えないこともできる。)

少女単体相手だと3択が全部同じキャラになったりするのはご愛敬だ。ヒトカゲしかいないオーキド研究所か?タケシ戦辛くない?

じゃあ何を基準に選べば良いのかというと、キャラクターを囲んでる枠「カート」である。全てのバレットにはある程度ランダムなカートが設定されており、それぞれに特殊能力が付与されている。バレットとカートで1セット、ということだ。

カートには「強化」と「パッシブ」があり、強化はそのバレットの使用時発動、パッシブは常時発動。強化はそのバレットを使えば何度でも発動するため、安いバレットと相性が良く、パッシブはバレットを使わなくても効果を発揮するため、高めのバレットや廃棄効果付きバレットと相性が良い。

また、レアリティとして「コモン」と「レジェンド」があり、基本的にはまあレジェンドが強いわけだが、デッキの構成次第ではどうやっても効果を発動できない死にレジェンドになってしまうことも少なくないので、安定した恩恵を得られるコモンにも利点は存在すると言える。

 

そしてなんといっても最高なのがバレット一つ一つに設定されているキャラ絵とプロフィール、そしてボイス!なんとキャラ絵が動く!(といってもLIVE2D的な感じだけど)

バレットがただの「技」じゃないんだよね。それぞれに人格があり設定があり、それが個性になってるし愛着が湧く!そうです!性能だけじゃなくて「なんかこの子かわいいな」で選んでも良いんです!

キャラクター毎に出身ゲームが設定されており、出身が同じキャラが面識あったりするのも面白い。勇者と魔王で敵対関係だったり、同じ学園の生徒だったり、同じアイドルユニットのメンバーだったり、アリスとハートの女王モチーフのキャラが仲悪かったりと、ゲーム内ゲームのキャラなのにちゃんと設定があるのが楽しい。

 

ただ、あくまでゲームの中の架空のゲームのキャラなので、一人一人のキャラクターの掘り下げはほぼないし台詞とかもめっちゃ少ない。存在しないゲームは遊びようがないので、好みのキャラを見つけてもそもそも供給がないんや!設定だけ作って満足して終わっちゃった創作物みたいになってる。

ただ、逆に言えば「もったいないだろ!」って思わせてくれるくらいにはキャラが多いしみんなかわいい。いやほんともったいない。

バレット中には同キャラクターのバージョン違いなんかも存在しており、闇堕ちして魔王になった村娘とか意味わからんキャラがいて面白い。公式四コマ漫画「バレブレ学園」から、バレブレ学園バージョンになったキャラが登場することも。数少ない公式の供給やぞ!読んどけ読んどけ。

 

bulletbreak.com

 

ちなみにこれらキャラクターの出身作品や所属チーム、性格などの要素は全て「属性」として括られており、バレットの効果やパッシブスキルのトリガーになり得る。

つまり特定作品に寄せたデッキが強いのはもちろん、性格で寄せていって「のんびり屋さんデッキ」だのヤンデレデッキ」だのを組むことが可能なのだ!

性格とか、「属性ってそういう意味の属性かよ!」って言いたくなりますね。

 

メインコンテンツであるところのダンジョンはこんな感じ。

ダンジョン内は基本的にエリア分けがされており、エリアの終わりには避けられないボスがいる。最終エリアの最終ボスを倒せばそのダンジョンはクリアだ。エリアをクリアしても体力は回復しないので、ギリギリボスを倒しても気は抜けない。

エリア数はまちまちだけど基本的に3エリアのダンジョンが多いね。

基本的には5ラインあって、左右真ん中の3択で進む道を選べる。どこへ進むかはマスの表示を参考にしていこう。

例えば基本であるピンクの「敵マス」は敵との戦闘!このゲームに逃走なんていう軟弱なコマンドはないので、殺るか殺られるかである。出現する敵の強さによって星1~星3の表示があるのが親切。

当然敵が強いほど報酬が多いので、戦力に余裕があれば星3を狙っていっても良いだろう。逆に死にそうなときは星1を踏んで、ヌルいバトルで安全にやり過ごすという戦略も取れる。

また、戦えばHPが消耗していくので適度に回復も挟みたい。「休憩マス」ではノーコストでの30%回復、有償だが50%の回復、そして回復はできなくなるもののカートの再抽選を行うことができる。再抽選されるカートはランダムなもののレジェンドであることが確定なので、余裕があるならガンガン再抽選していきたい。噛み合えばおいしいし、噛み合わなくても後々加入するキャラがトリガーになってくれることもある。

 

「イベントマス」では、そのゲームに応じた様々なイベントが発生。基本的に美少女が登場するのは確定で、突然クイズが始まる、物品をくれる或いはトレードする、バトルが始まり倒したら仲間になってくれる、などが多い。マイナスだけのイベントがほぼないのがいいね!このゲームの製作者はプレイヤーに優しい!

 

と思ってたけど、終盤のとあるダンジョンではバグってるキャラという設定でイベントがほぼほぼマイナスイベントになるとかいうくそ腹立つマスに化ける。前言撤回!このゲームの製作者は性格が捻くれてる!

別に踏まなきゃいいだけのことなんだけど、この手のゲームの基本は「リスクと報酬」であるわけで、リスクしかない行動は「やる意味がないだけ」だし「避けて別のとこ行くだけ」だから、プレイヤーの選択の幅をただ狭めるだけの要素だと思うなぁ。

「イベントがイジワルになる」というのは面白いけど、リスクに見合ったそれなりのリターンが欲しかったところだ。

 

そしてこの手のゲームで一番ワクワクするのが「お店」!バトルで役立つアイテムの購入やバレットのスカウト、バレットの削除が行える。また、お店のお姉さんを買うこともできる。

「アイテム」はだいたい消耗品だけど中には持ってるだけで効果を発揮するものもあり、お値段は高めだけどその分強力だし複数買えば掛け持ちもできる。ただし当然アイテム欄をだんだん圧迫してくるのでその点は注意が必要だ。

とりあえずのデッキ強化に手っ取り早いのが「スカウト」。購入やイベントで手に入るスカウトチケットを消費してバレットが一つ手に入る。

得られるバレットはランダムかつ強制加入なのでやや癖が強いものの、「属性」によるサーチ機能があり、加入バレットをある程度絞ることができる。ただし提示されるサーチの選択肢がそもそもランダム。

「作品」でサーチするのは鉄板で、あんまりカードプールを把握してなくてもとりあえず自分のデッキに寄せてく動きができる。しかしバレットを把握すればより効率的にサーチすることが可能で、慣れてくると例えば「性格」によるサーチで「あの作品のあの強いキャラは性格がヤンデレだったな…」といった感じにより正確なスカウトを行える。このゲームを理解すればするほど効果的に扱えるようになっていくという良いシステムだ。

そして超重要な機能が「バレットと別れる」!この作品はコンボゲーなのでデッキの巡りが直でデッキの強さに繋がる。つまりデッキを停滞させるような弱いカードをガシガシ削除すればそれがデッキの強さに直結するのだ!

「Slay The Spire」だと同様の機能は「使うとだんだん価格が上昇する」というリスクが存在したけど、この作品では「エリアを進むごとに価格が上昇する」程度に留まるので、削除することのリスクがほぼない。

また、スカウトチケットの購入が安価でかつお店ごとに一回だけ、で後お金を使えるのが消費アイテムか削除くらいなので、削除に回せるお金を余裕で捻出できるのも大きい。

とにかく削除が安価かつメリットがでかすぎるので、美少女とお別れしてるときが一番気持ちいいまである。

 

終戦績は7勝3敗!10時間くらいでサクッとクリアできたぞ!

でもバレット図鑑やカート図鑑という要素もあるので、それらを埋めるならもうちょっと長く楽しめるはず。

ただ、おまけのラストダンジョンも難易度的にはかなり易しいので、個人的にはあんまりモチベーションが湧かないかな。このゲームを極めても、それをぶつける先がないんだよね。良いゲームなだけに、それがかなり寂しいとこだ。

 

スマホのサ終作品の流用ということで「大丈夫か…?」って気持ちは正直あったんだけど、遊んでみればちゃんとデッキ構築型ローグライクとして丁寧に作られていることがわかる良い作品だった。

ソシャゲの魅力的なキャラ達はせっかく命が吹き込まれても、人々にどれほど愛されても、商業的な成功の可否によってその命運が決まってしまう、諸行無常の世界に生きている。

それは買い切り作品においても同じことかもしれないけど、サービス終了によってその作品に触れることすらできなくなってしまうなら、それはやっぱり悲しいことだ。

そんな残酷なゲーム業界で、確かに「バレットブレイク」が生きた痕跡はしっかりと残った。

この弾丸はまだ死んでない。あなたのハートに届くまで、きっと、まだ。

 

2800円、プレイ時間約10時間

プレイした日2022/08/26~2022/09/04

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「麻雀」紹介

3ヶ月くらいかけて麻雀を覚えた話。

 

今日は「麻雀」の紹介をするよ!!

…え?みんな知ってる…?紹介するまでもない…?

うるせー----!!知らねーー---!!僕は最近知ったんだよ!!紹介するったらするんだよ!!

ということで誰が何と言おうと今日は「麻雀」の紹介をします。半分日記みたいなもんです。

 

事の発端はと言いますと、僕が今年の5月に「東方幻想麻雀」を購入したところから始まります。

 

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「東方幻想麻雀」は、名前から分かるかもしれんが「東方project」の二次創作麻雀ゲームだ。最大の特徴はキャラクターごとに固有のイカサマ能力を使えるという「イカサマ」麻雀であることだ。原作で言うところの「程度の能力」の再現だね。

なんで麻雀知らんくせにイカサマ麻雀買ったんだよ、というご指摘については今回無視します。

DLCキャラに「ZUN(東方の原作者)」がいるのを見つけて買わずにはおれんかった…。美少女連中におじさんが混じって麻雀してる絵面が面白すぎるのが悪い。

僕は買ったゲームのタイトルと購入金額をDLCも含めて逐一メモるのが癖なんだけど、そのメモの中に「ZUN 330円」が混じってる絵面がやばい。人間買っちゃったよ…。しかも安いし。

 

酔生夢死!かっこいい!

ということで、そんなに麻雀詳しくないフレンド氏らを集めて、喜び勇んでイカサマ身内麻雀を決行!!ルールなんか負けたら血を抜かれることくらいしか知らねぇ!!本当にちんこでけぇ奴ぁルールブック読まねェ!!

開幕から4キャラ中2キャラが神主、美少女ゲーなのに画面の半分がおじさんで埋まるなどなかなかの盛り上がりを見せ、「UIが何言ってるのかわからない」、「イカサマの意味がよくわからない」、「なんか上がってるっぽいのに上がれない」、「数合わせのCPUくんが一番強い」、「麻雀齧ってるフレンドのお兄さんが乱入して無双」など、わからないなりになかなか麻雀を満喫できた。全員パルプンテかかってんのか?

とはいえ実践を通じて「麻雀は役を作るゲーム」、「一個取って一個捨てる」、「役を作ったら上がれる」、「鳴ける」など、様々なことが理解できた。ルールブックで言うと1ページ目の1行目くらいまでは理解できた。

しかしながら困ったことが起こった。開幕から困ってることしかないんだけどそれは置いといて困った。何がかと言えばまあ制限時間である。「東方幻想麻雀」は近年のネット麻雀の回転率、スピード感を前提に組まれているためか、選択時間が通常9秒、最長で15秒と異様に短いのだ。しかし僕の調べてみたところ、ネット麻雀の世界においてはこの数字はさして短すぎるというほどのものでもないらしく、みんなこれくらいのスピード感でバシバシ麻雀を打ってるらしいのだった。

要はまあ、麻雀慣れてない人間にはこの制限時間はちょっと厳しすぎたのだ。少し考えてる間に15秒なんて時間は刹那に消えていく。

よく考えたらそもそもイカサマがあるのもよくない。ルールを分かってない人間がイカサマの概要を理解できるはずもなかろうというものである。(ちなみに東方幻想麻雀はイカサマなしで遊ぶモードも搭載されており、普通に麻雀したい人も楽しめる。設定も細かくできるしキャラ絵もかわいい。東方好きの麻雀フリークにはかなりおすすめできる作品である。)

 

しかしここで天啓!!かの任天堂神ゲーにして初心者に優しいで有名な「アソビ大全」に「麻雀」も収録されていることを思い出したのだ。やはり全てはアソビ大全に収束する。アナログゲーム界のアカシックレコードだ。

 

何が良いって、フレンド戦だと制限時間がなくじっくり考えられるってはもちろんなんだけど、いつでも見れる「オススメの役」機能が便利すぎる!

この機能、人呼んでオススメくんをLボタンで呼び出せば、いつでも「この役とか…どうスか?(笑)」てな具合に今の状況から目指しやすい役を提示してくれるのだ!こんなに優しい麻雀ゲームが他にあろうか!一般に敷居が高いとされる麻雀が、この機能一つでこうも格段に遊びやすくなるのかと、ある種の感動を覚えずにはいられなかった。

そう、麻雀初心者に圧倒的におすすめのゲームこそ「アソビ大全」である。オススメくんも「アソビ大全とか…どうスか?(笑)」と言っておる!

しかしながらオススメくんとて万能ではない!基本的に手牌のみ見て判断しているらしく、場の状況は理解していないのだ。極端な例で言えば、パーツが切れてて成立不可なのに平気で国士無双をおすすめしてくることすらあるのだ!

つまりオススメくんが便利なのは間違いないんだが、いつか頼らなくても麻雀できる日が必ず来る。さながら自転車の補助輪、スペースシャトルの第一ロケット、ファイアーエムブレムジェイガンの如くである。オススメくんがいらなくなったら初心者卒業、ネット麻雀に関してはほぼ問題なく遊べる身体になっていると言えよう。

ついでに言えば、「アソビ大全」の麻雀には充実のチュートリアルモードも搭載。やはり収録タイトルの中では複雑であるためか、他の収録作にはそんなん一切付いてないので麻雀のみの例外的な措置と言える。

「アソビ」はそういった面でかなり「麻雀入門」に力が入ってる作品と言え、「51」においては3~4人で遊べる作品が少ないこともあって、複数人で遊ぶ場合麻雀に収束する率が極めて高い。任天堂的にも「どうせみんな最終的に麻雀ばっかやるんだろ」ってことかもしれない!実際そうなんだけどさ!やはりボリューム的に物足りなさは感じる部分である。

「アソビ」固有の問題点としては、麻雀なのに無駄にピアツーピアであることが挙げられる。別にアクション性もないゲームで意味もなく全プレイヤーを逐一同期させているわけだ。これによりラグい環境では捨て牌選択をミスるとかいった事案が発生するため注意を要する。これについては「51」のゲーム全般で見られる問題であり、アクションゲームも収録されていることとの兼ね合いと思われる。とりあえず一番安定なのは有線を引くこと。有線を引こう!麻雀のために!

 

ということで前置きが長くなったが麻雀というゲームの紹介をしていこう。前置きの段階を見て心配になってる人も多いかと思うが、僕はあの有様から3ヶ月くらいやり込んで、ルールの8割くらいは理解できてるので安心していただきたい。専門用語的なものもなるべくかみ砕いてわかりやすく説明していこうと思う!

麻雀、それはめちゃくちゃかみ砕いて言えば「役を作って誰より早く上がって点数を稼ぐゲーム」である。自分が点を稼いだだけ相手は点を失うという、所謂「ゼロサムゲーム」に類する遊戯である。その性質から、古くからギャンブルに用いられてきた歴史があり、麻雀漫画的なものも多数存在。余談だが僕は麻雀わからんのにアニメ版の「アカギ」観てた。ルールわからなくてもちゃんと面白いのがすごい。ルールわかった上で観るとアカギがめちゃくちゃなことやってるのがわかるのでさらに面白い。

麻雀はそのランダム性とデッキビルディング的な趣向が織りなす絶妙の中毒性があり、なんかだらだら遊んでしまう不思議な魅力がある遊びだ。

 

ルールを説明する前に、この遊びで使う牌、所謂「麻雀牌」を紹介しとこう。何も書いてないやつはハズレじゃないよ!でもハズレのときもあるよ!

麻雀牌は、漢数字の1~9からなる「萬子(マンズ)」9種、丸い模様の1~9からなる「筒子(ピンズ)」9種、竹の模様の1~9からなる「索子(ソーズ)」9種(ちなみに紛らわしいけど鳥さんが描かれてる牌は索子の1です。鳥さんは竹の仲間だよ!)、さらに「東(トン)」「南(ナン)」「西(シャー)」「北(ペー)」の方角4種、さらに何も書かれてない「白(ハク)」、緑の謎の漢字「發(ハツ)」、赤い「中(チュン)」、この34種で構成される。

個人的に一番嫌いな牌はイーピンです。なんか麻雀牌面してるからです。

この34種はそれぞれ同じ牌4つで一組。東なら東、中なら中で4牌ずつ入ってるわけである。つまり34種×4牌だから計136牌を使って麻雀は遊ぶ。

それとルールによっては「萬子の5」「筒子の5」「索子の5」「赤ドラ」と呼ばれる色違いの牌が一つずつだけ置き換えられて混ざってることがある。牌4つ中1つで4分の1だからポケモンの色違いよりは大分確率が高い。これらは、後で説明するけど「ドラ」と呼ばれるボーナスの一種で、持ってるだけで上がったときの点が高くなる。要はアタリの牌というわけ。

 

それで、その136の牌を使ってゲーム開始!4人のプレイヤーに牌を13個ずつ配り(計52)、70個を山牌としてみんなでドローしていく。引ききったらお流れね。余った14の牌は後で説明するドラの表示やカンしたときの補充に使われるけど、基本的にはゲームから除かれる。

4人のプレイヤーは順々(半時計周り)に1つ牌を山から取って、手牌から1つ選んで捨てる。つまり基本的に自分の牌の数は13→14→13と繰り返す。この牌を引いたタイミングで手牌が完成していたらそのまま上がれちゃう。所謂「ツモ」上がりね。

また、自分の当たり(上がれる牌)を相手が捨ててくれた場合必殺技の「ロン」をして上がれる。基本的に勝った人にあげる点数は負けた人みんなで折半なんだけど、「ロン」された場合は別で、ロンされた人が全額支払うはめになる。この直撃はなんとしても避けたいところだ。

この「ロン」を避けるためのヒントは「捨て牌」にある。というのもロンには制約があって、自分が捨てたことがある牌ではロンできないのだ。つまり「相手が捨てたことがある牌」は「相手がロンできない牌」であるため、その人からのロンは確実に回避できる、比較的捨てても安全な牌と言えるのだ。

逆に自分がロンを狙ってる場合は捨て牌に気をつけよう。待ち牌に捨てたことがある牌が含まれてると「フリテン」状態となり、ロンできず自力で引いてくるしかなくなる。

この手牌の並び、例外はあるけど基本は「3・3・3・3・2」を目指す。3つ組4つと、アタマと呼ばれる2つ組1つだ。その際の手牌は合計で14個。

3つ組の組み方は2つあって、「同じ牌3つ」or「同じグループの続き数字で階段」だ。前者は例えば「索子の5が3つ」とかで成立。後者なら「索子の5・6・7」とかで成立する。2つ組、所謂アタマは「同じ牌2つ」じゃないと成立しない。方角や白發中は数字じゃない性質上階段ができないので、国士無双とかいう例外でもなければ同じの3つ集めるか2つ集めてアタマにするかしかできない。

この辺の判定はかなり柔軟で、例えば「23456」とか待ってた場合「147」のどれかが来れば階段型二つが成立するし、「2223444」とか持ってたら「12345」のどれかが来たら3つ組2つとアタマ1つが成立する。言うまでもないかもしれないが要はこの「待ち」が広いほうが確率的には有利。

 

ちなみにこの黄ばんでるのが所謂「ドラ」でこれ持って上がれると点が上がっておいしい。ドラの決定方法はシンプルで、左上のドラ表示牌の次の順番の牌がドラになる。ついでに言うと「索子の5」が一つドラ表示に使われてるわけだから、このゲーム中では「索子の5」は3個までしか出現しないということもわかる。ドラで上がればおいしいし、捨てると相手に盗られるというリスクも生じてくるので扱いには注意を要する。なんか黄ばんでて汚いからってノーモーションで捨てるのはよくない。

麻雀は手牌の完成を目指してくゲームなわけだが、「いっこ取っていっこ捨てる」の繰り返しなわけだから実際には最短でも何手かかかる。その「あと一手で上がれる」という状態が「テンパイ」。基本的にはこのテンパイを目指してくことになる。そこで役に立つのが「シャンテン数」という数字で、これはテンパイまで最短何手かを表している。例えば「1シャンテン」ならテンパイまであと最短1手。つまりシャンテンは少ないほど都合が良いということである。開幕6シャンテンとかでも泣くな!

しかし、手牌が「3・3・3・3・2」の形で完成しても、必ずしも上がれるわけじゃない。「役」を作る必要があるのだ!2~8だけで作るタンヤオ、泣かずに階段とアタマだけで作る「平和(ピンフ)」などなど。その役が40種類くらいあるから初心者泣かせなわけだけど…。まあアソビ大全版はオススメくんがあるからね!いつでも役を確認できるからなんとなくでも打てる!いい時代になったもんだぜ!

余談だが個人的に、↓のニコ百の記事はわかりやすくて役を覚えるのに役立った。役ごとに個別ページがあって詳しい解説があるのも嬉しい。おすすめである。

 

dic.nicovideo.jp

 

とまあ役を覚えるのが大変なために敷居の高い麻雀。しかし、初心者でもわかる一番簡単な役がある!それは「リーチ」だ!やり方は簡単、「テンパイ」になったときに「リーチ宣言」するだけ!制約はあるものの、これさえすればどんな手牌でも「3・3・3・3・2」の形でさえあれば「リーチ」という役になるので上がれる!まずはこれからやってくのが良いかもしれん!

また、役は重複するので、既に他の役が付いてる場合でもリーチを付与すればその分点数が上がる!おいしい!さらに、リーチで上がればラッキーボーナスの「裏ドラ」をめくる権利が生まれる!ドラの爆発力にも期待できるというかなりおいしい役なのだ。

しかしこのリーチの制約っていうのが相応に重い。まず「宣言しないといけない」こと。いや、絶対警戒されますやんそんなことしたら。

手札非公開のゲームにおいて自分の状況を晒すという行為のリスクのなんと大きいことか。ある程度慣れてる人の中にはこれを嫌ってあえてリーチしないムーブダマテンをしてくる人もいる。リーチ分の点が入らないから基本的には損なわけであるが、所謂カンストダメージである「役満」が成立するならこの点はもはや関係ないのでその場合もダマテンしてくる。

警戒されるのはデメリットだが、逆に言えば宣言することで相手にプレッシャーがかかるため、相手が直撃を嫌って降りてくれることもある。弱めのリーチでも相手が胡散臭がってくれたら、ブラフとして機能することもあるのだ。

リーチの制約はまだまだある。次に「組み換えができない」こと。リーチ宣言した時点で手牌は固定されてしまうので、待ちを変えたりすることができない。

つまり引いた牌が当たりじゃなければドラだろうが相手の待ちだろうが問答無用で捨ててしまうので、当たれば強力な反面防御力は0。チャンスでありピンチでもあるのだ。また、リーチ宣言する者が二人以上出た場合、結構な確率でリーチ宣言した者同士の潰し合いが発生するので、リーチしてない人はきっちり降りればダメージを回避しやすい。またリーチ対決になった場合どうあがいても運ゲーになるので、後続は最悪逃げることもできるダマテンにしたほうがやや有利系になりやすいと言える。

そして「鳴けない」という制約。麻雀の「鳴き」といえば「ポン(相手が捨てた牌で同じ牌3つ組を作る)」「チー(自分の左隣の人が捨てた牌で階段組を作る)」「カン(相手が捨てた牌で4つ組(基本3つ組扱いになる)を作り1ドロー、あとドラも増える)」

鳴きは相手の捨てた牌を奪って自分が拾ったことにできる強力な選択肢であるが、これが使えない!「鳴いた」時点で「リーチできない」「リーチした」時点で「鳴けない」、という排他の関係にあるね。ちなみに正確に言えば、自前の4つ組から作るタイプの「カン」は鳴き扱いではなくリーチ中も普通にできる。

ねこねこソフトの麻雀も「ポンチーカンポンチーカン鳴きまくれ」と言っておる!これを縛らないとリーチできないのだから大変だ!

 

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つまりリーチを目指すなら自前でテンパイまで頑張って牌を集める必要があり、やや速度を犠牲にする面があるが雑な手でも上がれ、やや点数も高い。

逆に鳴いてテンパイを目指すなら、速度は上がるもののリーチ以外で何かしら役を作る必要性が生まれ、手牌を晒すこともあって待ちを相手に読まれやすいというデメリットがある。あとリーチできない分点数が安くなりがち。

つまりこの鳴くか鳴かないか、スピードかパワーか。速さが届くのか、十分なダメージを通せるかというところで場の状況を正確に読む力が試される。ここにさらに降りるか降りないか、撤退か制圧前進かという選択も必要になってくる。

さらに場の「同調圧力」も生じる。周りが降り傾向で自分だけ攻めた場合、自分だけが馬鹿を見る確率が上がる。逆にみんな攻めてるときに逃げちゃうと点数レースに負けて、ビリにはなりづらいが一着になる可能性も下がる。

つまるところ麻雀は、「リーチ」という強力な選択肢があるからこそ、「鳴き」や「ダマテン」といった裏の選択肢も機能し駆け引きが生まれているという絶妙なバランスの上で構築されているゲームなのである。

 

ドラが絡むと酷いことになるぞ!カンには気をつけよう!親番なのでさらに1.5倍!

親番が絡んだ駆け引きも好きなとこ。親が勝つと点数が上がる上に延長戦でターン継続、また親になれる!それ故相手の親番をカスみたいな手で潰したり、逆に自分の親番を弱い手でもしっかり上がって自分のターンを継続するなど、親番を軸にした小競り合いは実に楽しい。

 

役満打たれても泣くな!

セオリーはあれどそのランダム性の高さ故、何回打っても「完全な正解」がわからない瞬間があるのが魅力的だし、それ故にその人その人の性格や個性、ひいては生き様が打ち筋に現れる。

神のみぞ知る期待値の最大を探求するも、堅実に生きるも、ロマンを追い求めるも、勝ち負け度外視でただただスリルを楽しむも自由。本来何の意味も意思も存在しない「偶然」に、人の意志が介在するからこそ意味が、意思が生まれる。

人は常に自分にとっての理想郷を探し生きていると思っているけど、僕にとってのそこは麻雀の卓であったのかもしれない。自由で、無意味で、でも満たされている。遊びというコミュニケーションの一つの完成形であり、人間という存在の原風景がそこにあった。

なんとなく難しそうで敬遠してたけど、慣れてしまえばむしろカジュアルな触り心地の遊戯で、運だけでも実力だけでも勝てない絶妙のバランスが非常に心地良かった。

一から役を覚えるのは大変だけど、プレイしながら楽しく覚えていくのが一番良いかなと個人的には思う。むしろ同じくらいの理解度、強さで一緒に楽しめる人がいるかが一番大事かもしれん。麻雀知らん人同士でやるとギャグマンガ日和の麻雀回みたいになってむしろ面白いまである。

気付くと時間が溶けてるタイプのゲーム!おすすめです。

 

4378円、プレイ時間約200時間

プレイした日2021/08/05~2022/07/31

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無料アップデート!「藪の中」紹介

なぜ証言がくいちがう?

 

2022年7月7日、「レッツプレイ!オインクゲームズ」に待望の第二弾無料アップデートが到着!第6のゲーム「藪の中」が追加され、各種UIも改善された他、Steam版の配信も開始され、Switch版とのクロスプレイが実現。オインクワールドはまだまだ広がっていく!

ということで今回は新作の「藪の中」を紹介していく。既存の4作、及び第一弾の追加作品「この顔どの顔?」は以前紹介を書いたので良かったらそちらもどうぞ。

 

gogo7ji.hateblo.jp

 

gogo7ji.hateblo.jp

 

ということで「藪の中」を紹介していくぞ!

「藪の中」は芥川龍之介の同名小説を題材としたシンプルな推理&ブラフゲームだ。収録タイトルの中では簡単すぎず難しすぎずのちょうどよい手触り。しかしアナログゲーム全体で言うならかなり「カルめ」に位置するカジュアル寄りの作品である。

この町には、殺人事件も探偵も多すぎる!そんな町を舞台にプレイヤーは探偵となり、他の探偵を出し抜き一番の名探偵となることが目的だ。そんな町住みたくねえ!!

 

ルールは簡単!(ほんとに簡単。)

容疑者は三人、この中に犯人は必ずいる。限られた情報を頼りに、確率論、リスクヘッジ、人読み、そして直感を駆使して犯人を正義の庭に引きずり出すのだ!

要は三択クイズなんだけど、確率だけでは計りきれない人間の思惑、プレッシャーの押し付けやブラフ、心理戦情報戦が入り乱れて、シンプルな中に奥深い読み合いを実現させている。

ゲームに使うのは、2~8の数字が書かれた7枚の「人タイル」。参加人数によっては、加えて「X」の人タイルも混ざる。この「人タイル」の内、ランダムな3枚を容疑者として犯人当てゲームは始まる。

3人の容疑者の容疑者の内、2人の数字を確認して犯人を当てるのだ。

また、ゲームから除かれた無関係の「人タイル」の不在証明、所謂「アリバイ」を2人分だけ確認することができ、これも貴重な情報源の一つである。

そして殺害されたタイル、即ち被害者であるが、こいつの数字だけは誰も確認することができない。情報を墓場まで持っていけるのは死人の特権というわけである。この「不確定の一枚」がもたらす影響は案外大きい。

 

犯人の決定方法もこれまた簡単。「容疑者3人の内、一番数字の大きいタイルが犯人」である。シンプルすぎんだろ!

一番数字のデカい「8」がいたらだいたいこいつが犯人である。もうこいつ逮捕しろよ!一生シャバに出てくんな!

しかしながら、古今東西どのような事件を振り返ってみても、状況を引っ掻き回すトリックスターみたいなやつが往々にして存在するものである。このゲームにおいてそれは数字の「5」だ。こいつが容疑者に混ざっていると条件は大逆転、「容疑者3人の内、一番数字の小さいタイルが犯人」となる。

つまり未確認の容疑者が「5」であった場合プランが総崩れしてしまうわけだ。「5」は容疑者か?そうではないのか?「5」の居所の情報的価値は非常に高く、こいつのアリバイを掴めたら儲けモン。逆に「5」が被害者であったなら誰もこいつの所在を知る術はなく、最後まで「5」の影に怯え続けることになる。

ちなみに参加する探偵が多い場合に追加されるタイルである「X」さんは、「絶対に犯人にならない」という特性を持っている。めちゃくちゃ犯人っぽい名前なのにね!不思議だね!

「X」は容疑者として確認できた場合、単純に選択肢を減らせるのでちょっとだけありがたい存在だが、確率的に濃いはずの未確認容疑者がこいつだったりすると、かなり脱力させてくれる。お茶目さんである。

 

とまあこのゲームの基本は「犯人当て」なんだけど、実は本質はそこではない。

探偵の最大の敵、それは犯人ではない。同業者だ。

そう、このゲームはPvP。他プレイヤーこそが最大の敵対的存在なのだ。この作品は犯人当てゲームの皮を被っちゃいるが、その実、「他の探偵をハメるゲーム」なのである。

これは探偵としてのプライドを賭けた、(あとヒゲも賭けた、)探偵たちの仁義なき戦いなのだ。ヒゲは命より重い…!

 

まずこのゲームのより正確な勝利・終了条件を説明しよう。「犯人当てたら勝ち」はまあ正解っちゃ正解なんだけど、それだけではやや不足だ。

終了条件は正確には、「7ラウンド(7つの事件)終了、またはしくじりポイントが5以上の人が出る」であり、勝利条件は「しくじりポイントが一番少ない」である。

7回も連続して殺人事件が起こるような町に住めるか!と言いたくなるが問題はそこじゃない。いやそこも問題だけどさ!

一番重要なのは勝利条件。「ポイントが一番少ない人の勝ち」なのである。この「しくじりポイント」というのは、推理をミスった人に課せられるペナルティのようなもので、早い話がこのゲーム、加点方式ではなく減点方式なのだ。

減点方式であることが、「名探偵は推理を当てて当たり前、外したら今まで得てきた信頼が一瞬にして崩れる」という嫌な方向のリアルさの演出に貢献しており、一度沈むと逆転一位は絶望的。プレイヤーはこの嫌なプレッシャーと常に戦っていかねばならないのだ。

前述の要素から「逆転性がない」というのが今作の数少ない難点の一つではあるんだけど、このバランスであるからこその深い読み、選択の重み、そして他者を陥れたときの大きな快感が確かに存在するため、一概に悪い要素ではないかなと思った。

とはいえやはり一度沈んだ人が逆転一位になるのは難しいゲーム性なので、競技性を期待するよりはどちらかというと「死なないように立ち回る」「読みやブラフを通して気持ちよくなる」といった趣旨のゲームに思う。”勝つ”ゲームではなく”負けない”ゲーム、この発想の転換がこの作品を楽しむカギかもしれない。

 

運命を握る「しくじりポイント」、この分配は至って不公平で、欲と犯罪に塗れたこの町の縮図のようだ。

というのも、「しくじりポイント」はミスってる推理に追従した人が丸々受け持つことになるのだ。しかもダメージは人数分であり、例えば三人が同じ推理をしてミスった場合、最後に追従した人が3ダメージを丸々受け持つハメになる。

後攻の場合その選択はかなりリスキーであり、確率的に有利でも大事を取って、薄くてもダメージの少ないほうを選択したほうがいい場合もあるのだ。極端な話、無罪確定のXさんを選ぶのがリスクヘッジ的な考え方をすると一番丸い、なんてこともあり得る。あれ、探偵って何だっけ…?

逆に先攻の人は、後ろの人が自分の推理を支持して追従してくれさえすれば、外してもノーダメ―ジなのでかなり低リスク。もっと言えば「自分が選択した容疑者は、確定で次の番の人の未確認容疑者になる」という地味に超重要なルールがあるので、逆転が発生する容疑者「5」の情報を握りつぶすとかいった方法で後ろの人をハメることすら可能。というか、後ろの人が追従してくれそうな気配なら、わざと間違ったほうが相手のダメージが増えておいしい、なんて状況も起こり得る。あれ、探偵って何だっけ…??

一応「先手は情報が少ないがローリスク、後手は情報が多いがハイリスク」といった設計とも受け取れ、実際後攻の人は先攻の人の選択を参考にしつつ選択できるので嘘ではないんだけど、先攻はリスクが少ない分マック行くくらいの気軽さでブラフかましてくるため参考にしすぎるのも危ない。

そんなとき役立つのがみんな大好き確率論。容疑者2人とアリバイ持ち2人を確認できるので、当然だが未確認容疑者は確認してないタイルの内のどれかということになる。それぞれのタイルは確率にして「1/(全体数-4)」を持ってることになり、確率計算自体はかなり容易な作りになっている。ここから導き出した確率の濃い薄いにダメージの重さを係数として乗っければ一応は理論上の最適解を導き出せるというわけだ。

しかしながら、このゲームの敵は確率ではなく人間である。そもそもダメージの濃淡は先手側の行動から決定されているし、未確認容疑者にしたって一つ前の人が意図的に情報を握りつぶしてる場合もあるわけで、後手にお出しされた段階の情報はもはやフラットとは言えないのだ。大事な考え方なのは間違いないが、確率だけに頼っていると先手の人間の意のままに操られかねない。そんなゲームである。

そういった幾人もの思惑が絡み合った情報を紐解いて、地雷原の如きハイリスクの事件現場で、究極の選択を迫られる緊張感、そしてそれを乗り越えた達成感というのが後手にはある。不利を背負ってこそいるが、ある意味後手こそがこのゲームの神髄を見ることのできるある意味オイシイ立ち位置なのかもしれない。

逆に先手側は、自分の選択を後ろの人たちがどう受け止めるか、如何にして誤った方向へ誘導するか、といった方向で、後手側とは別の意味で考えることが多い。さながら名探偵と相対するフィクサーの如く、である。先手側も探偵のはずなのにね!不思議だね!

ということで先手も後手もしっかり楽しさが得られる作りにはなってるんだけど、点数レース的には明らかに先手側有利の作りになってるね。しかし、その歪みこそが独自の駆け引きを生んでいるわけだから、多分狙ってやってるんだろうなぁ。

 

とまあめっちゃ面白いゲームなんだけど、一番の難点は「順番にムラがある」という点。順番の重要性は先に述べた通り。

一応、一番ダメージ喰らってる人が一番前になるといった配慮はあるんだけど、それ以外の人の順番はランダムっぽく、何度も後手に回って点数レースで不利になる人が出たり、一位の人が割と前のほうの番になって蹴落とせなかったりとかいったことが頻繁に起こる。

この辺は公平性を重視してじゅんぐりにするか、完全に順位順(負けてる人から前になる)とか、あるいはそういった設定をプレイヤーが出来るようにするとかしてほしかったところだなぁ。というか元になってる紙版においてはプレイヤーが柔軟にその辺調整できたわけで、明確にアナログ版に水をあけられてるポイントだと個人的には思う。

その辺に関しては次のアプデなりで対応してくれると個人的には非常に嬉しいわけなんだけど、元々競技性を期待するようなゲームでもないので、現行ルールでも十分に心理戦の楽しさは味わえるだろうと思う。

特に楽しいのはやはり舌戦で、相手を説得して自分の読みに乗ってもらうとか、逆に相手の説得に乗るか降りるか、また最下位が死ぬとゲームが終わるため、確率的に薄くてもあえて最下位に追従する、あるいは見捨てるなどのダメージコントロールの交渉・駆け引きが生じる。

「推理」ゲームに見せかけて本質的には「政治」ゲームであるとも言える。相手の心理を理解して不利な読み合いを仕掛ける、あるいは自分の推理に追従してもらいリスクを消すといった相手との利害を加味した読み合いが本当に楽しい。一回ブラフに引っ掛けると次から信じてくれなくなるといった愉快なコミュニケーションも楽しめる。

そういう複雑な心理関係のゲームにあって選択はシンプルな三択という明快さもやはり見事。誰でも遊んだら一発で理解できるわかりやすいルールに、奥深い推理要素をプラスした秀逸なデザインは安心と信頼のオインクゲームズブランドならでは。

今回も非常に面白いゲームだった!僕の中では「スタータップス」並みにお気に入りの作品である。おすすめ!

 

2500円、プレイ時間約60時間

プレイした日2021/12/17~2022/07/10

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「マルコと銀河竜 ~MARCO&GALAXY DRAGON~」紹介

キラキラしたものは、ぜんぶ私たちのもの!
わがままで身勝手、それが私たちの友情だ。

 

パンドラの箱に最後に残ったのは希望でさ、愛じゃないんだよ。

でも愛はそれを憎んでる。

 

「マルコと銀河竜 ~MARCO&GALAXY DRAGON~」とは、希望と友情の美少女ADVである。「ノラと皇女と野良猫ハート」の製作陣による作品で、あっちはエロゲだけどこちらは全年齢向け作品ね。

 

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まずOPを観てくれ!!

ぶっちゃけOP観てびびっときたならもう買っちゃって良いと思う。紹介文いらねぇ!

 

※急にベルスクとか格ゲーになったりはしないので安心してください。

 

ルドヴィコ療法じゃねーか!

やはり最大の特徴はハイクオリティのカートゥーンアニメーション。普段は普通の美少女絵なんだけど、アニメパートになるとみんなカートゥーンタッチになってバリバリ動いてくれるので最高。

 

(アルコチビ竜形態、えっちじゃないですか…?)

またADVパートも膨大なCG量(スチル1000枚級!!)を誇り、地の文を極力減らしてキャラのセリフとCGで成立させてるのでもはやほぼアニメみたいなもんである。当然フルボイス。

選択肢は中盤に一つだけ、かつ選んでも同じお話に収束するので実質一本道のお話を眺めるゲームである。ゲームという媒体を使って本気でアニメ作品作ったらこうなる、って感じの作品。

 

ボリューム的には10時間くらいで尺としてはそんなに長くないんだけど、キャラクターみんな個性が強くて楽しいしギャグはキレキレ。ストーリーもグッとくるし、最後はすっきりきっちり〆てくれる。あとめちゃくちゃコロッケ食いたくなる。

 

軽くあらすじ紹介していくぞ!

主人公「マルコ(右の子)」は地球人だけど幼少時に異星人に攫われ、奴隷になったりなんだり紆余曲折あったのち、相棒の銀河竜「アルコ(左の子だけど、おなかがすくとちっちゃな竜になっちゃうよ)」と共に銀河一のトレジャーハンターとして活躍している。

 

一仕事終え、親代わりの銀河マフィア「ドスゴロ」から強引に休暇を取ったマルコは、古い写真を宝の地図に、顔も憶えていない自分の母親を探すべく故郷の惑星、地球へと帰省する。

 

女二人旅いいよね。

微かな情報を頼りに日本のとある都市「金紐(ゴールドコード)市」にたどり着いた二人は、母親の手がかりを探したり、とある惑星で盗んだ宝「トカゲ石」の買い手を探したり、蕎麦食ったり、コロッケ食ったり、なんかいろいろ食ったりする。食ってばっかやんけ。

 

蕎麦屋の看板娘「瑠璃」ちゃん。アホの子で好き。

 

しかし時を同じくして、「トカゲ石」をマルコが盗んだという情報は、銀河征服を目論む男「アスタロト」も知るところとなっていた。

銀河の運命を握るキーアイテムであるトカゲ石を奪取せんとアスタロトも行動を開始する。

 

アスタロトは手始めに実の娘「ハクア」と部下の「エル・スケルトン」を地球に送り込む。

エル・スケルトンはトカゲ石の情報を得るため、現地でおでん屋を経営することを決意。おでんの味の追求、フランチャイズ展開をはじめとした経営拡大、さらには出前など、サービスを充実させていく意欲を見せる。アホの子かな??さては手段が目的になっちゃうタイプの人だね??

 

ハクアちゃんもたまに大ボケかますことはあるものの、悪の帝王の娘だけあって基本的には口数少ないシリアスキャラ。かわいい。彼女の葛藤と成長は見どころの一つだね。

ちなみに必殺技名は「イジメ・オーバードライブ」。言語センスおかしくない??

 

さらにはアスタロトに故郷の惑星を滅ぼされた復讐者「ガルグイユ」も地球へ。故郷に伝わる宝剣シーラカンスを手に、復讐を完遂すべく動き出す。言語センスおかしくない??

 

とまあ設定だけ見ればこの子もシリアスキャラなんだけど、その実かなりの天然ちゃんであり作中屈指のアホの子。バトルシーンはもとよりギャグシーンでも大活躍してくれる。あと故郷が砂漠の星だったので水が大好きだ。み…水…。

 

さらにさらに、「金紐市」を守る自治組織「生徒会」の面々も行動を開始し、トカゲ石争奪戦は混沌を極める。

生徒会長であるアホの子「テラ・イセザキ」は地球外のテクノロジーや生命体が大好きで、トカゲ石を得るべくマルコに対して大金を積み上げる。この作品アホの子多すぎない…?妹のラッカちゃんはしっかりしてるのに…。

 

テラの妹で天才トレーダーの「ラッカ」ちゃんや、女執事の「黒崎」さん、ヤンキーだけど常識人の「桜子」先輩など、生徒会メンバーはしっかり者が多い中よりによって会長のテラがアホの子である。というか生徒会組のアホ担当である。というか下手にみんなしっかりしてるせいでテラにアホ要素が集約されてるまである。でも乳はでかいよ。

 

とまあ、この作品の(表面上の)ストーリーの軸はマクガフィンであるところの「トカゲ石」なのだ。「マルコ&アルコ」の主人公コンビ、敵対勢力の「アスタロト」率いる軍団、復讐者「ガルグイユ」、自治組織「生徒会」、によるトカゲ石争奪戦は作品の見どころの一つといえる。

また銀河の命運をかけたスケールでかい話でありながら基本的には地球の一都市が主な舞台になってるのも大きな特徴だね。登場人物もそう多くない作品の規模から考えて妥当だし、一都市に限定してるが故の独特の箱庭感、ローカル感も醸し出しており、作品の雰囲気作りに一役買っている。マルコの「帰郷」の物語なわけだからね。「金紐市」こそが箱庭であり、作品を包み込む風呂敷であり、故郷を演出する特別のエッセンスだ。

 

しかしながら、このお話の最重要これだけでも覚えて帰ってくださいねポイントは「マルコとアルコの関係性」にこそあると僕は思う。というかもうあまりにも特化しすぎている。良すぎる。女二人の、「相棒」とも、「親友」とも、「契約」とも、そして「母と娘」とも、何かに形容できそうでしかしそれをすると壊れてしまいそうな、脆く繊細でありつつも確かに強固な結びつきがそこにあった。

それは愛とか恋とか情とか絆とかいって体系化されるものに一部当てはまってしかしやはりどこか違う。きっともっと原始的で、直球の、名前の付けることのできない「好意」の始祖であり、パンドラの箱の底の希望だ。

 

古くからある「人と人外」の類型であるが、二人はあまりにも違いすぎる。姿かたちや寿命から生物としての在り方までまるで違う。

しかしある観点から言えば二人は非常に似ている。それは孤独だ。あらゆる生物は常に「足りない何か」を埋めようとしているわけだが、この二人にとってそれは「自分に似ている誰か」であったのかもしれない。

 

「マルコとアルコ」はある意味では疑似親子的関係ともいえるわけだが、最初のほうで言ったようにマルコの目的は実の母に再開することだ。アルコの立ち位置というのは実の母親がいたはずのところにすっぽり収まってしまっているような歪さが存在し…。つまり「マルコが目的を達成する」というのは、「アルコがマルコを手放す」ということでもあって…。

この場合何が正解かというのはもはやわからない。アルコは「友として」マルコの背中を押すのが正道か?それとも「母として」これからもマルコと共に過ごすべきか?正解はない時限爆弾だ。

プレイヤーに選択肢はない。ただ微笑ましくもほろ苦い二人の関係性を見守って、行く末を見届ける。そんなゲームである。

 

この作品が「キャラクター二人の関係性」を極限まで煮詰めた大傑作であることは疑うべくもないがやはりと言うべきか犠牲にしているものもある。魅力的なサブキャラクターたちの掘り下げである。いやほんとに尺が全然ないのよ。テラ・ラッカ姉妹のエピソードなど面白いサブキャラ話もあっただけに残念である。

10時間くらいの尺の中にこれ以上詰め込むのは無謀だしこの高クオリティでこれ以上尺を増やすのも無茶というもの。ちゃんと畳んだからこそのこの完成度、という面もあるので言っても仕方ないんだけど、あまりにも勿体ない。サブキャラも含めてみんなかわいいんですよこのゲーム。エルスケルトン様もな!

RPGの終盤でゲームを終わらせたくなくなる現象あるけど、あれが発生した。世界がこれ以上続いていないことに対する絶望感がやばい。マルコと銀河竜ロスですよ。

切実に続編作ったほうがいいよこのゲーム。いや、すごくいい終わり方するんだけど、それでも続きが欲しい。気長に待ってますよTOKYO TOONさん…。

 

おまけ

ほぼ選択肢のないゲームだけど、中盤に一つだけ存在する選択肢。…こんなん両方観るしかないやろ!両方観たうえでアドバイスすると、銭湯のほうがちょっとだけサービスシーンが多いよ♡

 

日めくりカレンダーのサービスシーンもあります。いらねぇ!

 

ちなみに一番えっちなのはチビ竜形態アルコだと思います。

 

えっちだ…。

 

マルコと銀河竜、オススメですよ。

 

2480円、プレイ時間約10時間

プレイした日2022/04/28~2022/06/02

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「Slay the Spire」紹介

カードに宿る力が運命を握る
デッキ構築×ローグライクの新感覚カードゲーム!

 

「Slay the Spire(Switch版)」は出ているか?(出てる)

「Slay the Spire」とは、ローグライク要素を内包したデッキ構築型一人用カードゲームである。

個人的に人生の中で死ぬほどはまったゲームランキングでも上位に入る作品で、全キャラ心臓とアセンション(登塔)20まではクリアし、流石にそろそろ紹介文書いてもいいかなと思ったので今回書くことにした。

 

目的はシンプル!プレイヤーは謎のクジラ「ネオー」の傀儡として、毎回形状がランダムに変化する「塔」に何度も挑み、最深部に待つ「心臓」を目指すのだ!

キャラによって決まっているカードの束「スターターデッキ」と特殊な効果を発動する「スターターレリック」、それとなけなしのお金を持ってゲーム開始だ。

基本的には敵を倒してカードをゲットし、デッキを強化してさらに強い敵を倒すということの繰り返し。ローグライクなので死んだら当然強さは保持されず初期状態で最初から。同じ状況の再現はできないので毎回チャンスは一回きりの緊張感ある戦いである。(厳密に言えばシード値の入力で状況の再現はできるけど、これを使うとクリア扱いにならない。検証や練習には使えるかも)

 

まずは層の一番下からスタート。地図をざっと眺めてルート取りを考えよう。踏むマスによって発生するイベントは様々なのでそれを考慮するのが大切だ。

 

一番踏むことになるであろうマスが「敵マス」。ここでは敵キャラクターとの戦闘が発生する。逃走も可能だけど手段が非常に限られてるので、基本的にはぶち殺すかぶち殺されるかしないとバトルは終わらない。諸行無常

戦闘中のプレイヤーの行動は全て「カード」によって行う。毎ターン最初に山札からカードが5枚ドローされ、それをやりくりして戦うのだ。ちなみに山札がなくなっても負けにはならず、シャッフルが発生して捨て札にあるカードが山札になる。

攻撃するなら「アタック」カード、防御やドローなら「スキル」カード、といった具合。その戦闘中だけ永続的に作用する「パワー」カードなんていう分類も存在する。

カードの使用にはエナジーをリソースとして使用する。カードによって要求エナジーはまちまちで、当然要求額がでかいカードほど効果もでかい。

重いカードは一枚で複数枚分の働きをするので費用対効果以上に強いが、取り回しが悪い。軽いカード、特に0コストカードはエナジーが切れてても使えるので取り回しが良いが、カードパワーは相応に低い。要はバランスが大事である。

闘ってく上で重要なのが「ブロック」の概念。要は防御であり、積んだブロックの数値の分だけそのターン中のダメージを無効化できる。このゲームにおける回復手段は非常に限られており、ダメージは後のバトルに引きずる形となるため、敵の攻撃はきっちりブロックしていくことが大切である。敵の行動予測は常に表示されているので、必要な点数分だけきっちりブロックしていこう。

ただしバトルは一対多が多い。いじめか?また放っておくと際限なく自己強化を続ける敵も多いため、敵戦力の迅速な処理を迫られる。時には守りを捨てて敵をさっさと殴り殺したほうがトータルのダメージは少なかったということもありうる。攻撃だけでは、防御だけでは、このゲームでは勝てないのだ。

この作品におけるアタック、ブロックの計算は基本足し算で乱数も絡まないから容易にダメージ計算、戦闘予測が可能。デバフによる倍率変化が発生することもあるけど、計算後の実際に出力される値が常に表示されるから安心だ。

タイムアタック実績狙いでもなければ時間に迫られることもないのでじっくり考えていこう。

 

敵を倒すと報酬として「カード」「お金」、が確定、戦闘中に飲んで有利な効果を得られるポーションもGETできる場合がある。より強力な敵が出現する「エリートマス」の報酬は通常より豪華な上、持ってるだけで戦闘内外で様々な効果を及ぼす「レリック」も確定で一個ドロップするため、戦力に余裕があれば積極的にエリート狩りを狙っていきたい。

やはり最重要報酬は「カード」。初期状態である「スターターデッキ」は非常に弱く、そのままだと勝ち抜くのはまず不可能である。三択からどれか選ぶ形になるため非常に悩ましいところではあるが、スターターより弱いカードというのはまずないので、デッキの方向性を決めていく上でも序盤はガンガンピックしていったほうが安定する。

一方で、無用なピックによってデッキが膨れると、ドローが詰まって事故ったりキーカードを引けなくなったりするリスクが高まる。デッキの完成度が十分高まっているならばカード報酬をスキップする選択も重要である。

ちなみにカードやレリックのレアリティは「コモン」アンコモン「レア」の三種が存在し、基本的にレアなほうがより強力で出現しにくい傾向にある。

 

「?マス」では主に特殊イベントが発生。選んだ選択肢によって得られるもの、そして失うものが変化する。「選んだらどうなるのか」は基本的に選ぶ前に確認できる親切設計。

イベントは単純にメリットのみを得られる優良なものからリスクを伴うものまで様々。しかしプレイヤーに一切メリットのない完全にマイナスのイベントや選択はほぼなく、基本的には「安全策を取るか、リスクを飲んで大きなリターンを得るか」といった形でプレイヤーに悩ましい選択を迫ってくる。リスクかリターンか、この葛藤こそが「StS」のゲーム性の根幹でありこの作品を傑作足らしめている要因である。

特殊イベントには強力なものも多いため「?マス」は余裕があればガンガン踏んでいきたいマスであるが、低確率ではあるものの「敵マス」に化けて普通に戦闘が始まる場合もするのであんまり安定感のないマスである。稀にお買い物ができる「商人マス」レリックが落ちてる「宝箱マス」に化けることもある。結果を読みづらいという点でなかなか食えないマスである。

 

通常の宝箱などでは手に入らない特殊イベント限定のレリックなんてのもある。イベントが来るかがそもそも運だし、何種類かある限定レリックの候補の中からどれか一つを得られるというイベントも存在するため、レリック図鑑を完成させるのはなかなか骨が折れる。

 

クソの役にも立たない限定レリックもあるぞ!うんこ!

 

特殊イベントの選択によっては「呪い」と呼ばれるお邪魔カードが強制的にデッキに混ぜられることがある。強力な選択肢を選んだ代償として設定されている場合が多い。「呪い」の効果は使用できずドロー阻害するだけの比較的軽いものから状態異常付与やダメージ発生が生じる重いものまで様々。総じて戦闘への悪影響は小さいとは言い難いため「商人マス」を利用するなりして速やかに削除したいところである。

また「呪い」に似たお邪魔カードとして「状態異常」という分類が存在し、こちらは戦闘中に敵が山札や捨て札に混ぜてくる。呪いより頻繁に見ることになるが、こちらはその戦闘中限定のカードであり戦闘後は消滅する。

 

「商人マス」はお楽しみ。お金を使ってカードやレリック、ポーションを購入できる。性質上手持ちのお金の多さとメリットのでかさがだいたい比例する。お金は使わないと戦力として換算できないので、商人マスへのアクセス距離と入った際に想定されるおおよその持ち金は意識しておこう。

カードの削除を行うこともでき、厄介な「呪い」の除去はもちろん、よわよわカードであるスターターを削除することでデッキの質を上げるのにも一役買う。また、所持カードやレリックによってはデッキ枚数を極端に減らすことで「無限コンボ」を成立させることも可能であり、戦術によっては最重要コマンドと化す。

焚火のマーク、「休憩マス」もルート選びの上での重要度はかなり高い。休憩マスに止まると、体力を割合回復する「休憩」とカードを一枚「アップグレード(強化)」できる「鍛冶」のどちらかを選択して実行することができる。

基本的には永続的にカードの質を上げられる「鍛冶」のほうが将来性の面で有用であるが、死んでしまっては元も子もないため、強敵との戦闘が予想される場合には安定を取って「休憩」でしっかり回復しておく選択肢も重要。やはりここでも「リスクかリターンか」という「StS」における不文律が存在している。

 

かわいいボス。

「塔」には大きく分けて3つ(+1つ)の階層が存在し、階層の最後には毎回ボスが待ち構えている。ボスの種類は1つの階層ごとに3種類ずつ存在しており、どいつが出てくるかはランダム。どのボスが出てくるかはその階層に入った時点から地図で確認できるため、出てくるボスに合わせた対策をしっかり用意しておきたいところである。

ボスは皆順当に手強いものの戦闘報酬も相応に豪華で、カード報酬はレアカードが確定で出現し、さらにボス部屋の後の宝箱部屋では強力な「ボスレリック(ボスレリ)」を三択で獲得できる。

ボスレリの種類的には、デメリットを負う代わりに毎ターンの初期エナジーを1増やす通称エナジーレリック(エナレリ)」が半分くらいを占める。エナレリは強力な反面デメリットが相応に重く、ポーション獲得不可」「ゴールド獲得不可」「休憩不可」「鍛冶不可」などなど取った時点で過酷な縛りプレイが開始される。これまた「StS」のお約束、リスクとリターン、報酬と代償である。

何をするにもエナジーが不可欠なゲームであるためエナレリは喉から手が出るほど欲しいレリックなんだけど、状況との噛み合い次第では取らないほうがマシといった事態まで発生し得るのがまた秀逸なバランスである。デメリットはないもののメリットが小さすぎるよわよわボスレリ「小さな家」ですら選択肢としてちゃんと機能しているんだよね。

 

一応第三階層のボスがラスボスになるんだけど、とある条件を満たすと真ボス「心臓」のいる第四の階層に進むことができる。一応こいつを倒すのが最終的な目標かな。

また、一度クリアすると高難易度やりこみモードアセンション(登塔)」が解禁される。これが難易度1から20まであり、プレイヤーに厳しい条件が徐々に追加されていく。アセンション20ともなると血反吐を吐くほど難しいし運もかなり絡むんだけど、マゾヒスト腕に自身のある人はトライしてみよう。

一応全部遊んだ上で個人的にお気に入りの遊び方は「あえて低難易度で遊んで何連勝できるかチャレンジ」。明確な終わりがない分延々だらだらやっちゃうな。

アセ20とかで負け続けてるとだんだんプレイが雑になってくるし、それでも何回もトライしてたらいつかは上振れてクリアできちゃうんだよね。なので勝率をしっかり考えたりだとか下振れたときの対応だとかをきっちりこなして一回一回を全力で生き抗おうという遊び方はなかなか楽しい。慣れてきたら高アセで連勝チャレンジするのも良いね!

 

(条件を満たすと通常イラストをベータアートに切り替えられる。ゆるくてかわいいものから英語ダジャレ、パロネタなどなど面白ネタの宝庫なので是非確認してみよう。)

 

磁性マン!磁性マンじゃないか!

StS」は常に孤独な戦いだけど、磁性マンだけは一緒に肩を並べて戦ってくれてるんだと信じてる。

 

使用できるキャラクターは全部で4体いて、最初はアイアンクラッドしか使えないけど、プレイしてるうち他キャラも順次使えるようになっていく。

キャラクターによって「スターターデッキ」「スターターレリック」「登場カード」「一部登場レリック」が異なり、プレイ感覚はキャラによって全く違う。みんなそれぞれそのキャラ固有の悪さができて楽しいから、いろんなキャラを触ってみてお気に入りを探してみるのもいいかもしれないね。てことでプレイアブル4キャラを軽く紹介してみることにする。気になったやつがいたら相棒にしてもいいかもね。

 

1人目は悪魔に魂を売り渡した男アイアンクラッド。かっこいい。イメージカラーは。テーマは「アタック」「筋力」「弱体化」「廃棄」「HPリソース」

回復手段が限られてる「StS」において最初から回復レリックを持ってるとかいう初期キャラの癖して異端児。相手のHPを吸い取る全体アタック「死神」や、止めを刺すとマックスHPが上昇する単体アタック「捕食」の存在もあり、「HPで受けて全エナジーを攻撃に回す」などのゴリ押しプレイングも可能という生粋のゴリラである。また「HPを消費する代わりに効果が強力なカード」が豊富であり、HPをある種のリソースとして運用していくことが可能なキャラクターである。被ダメを回復でき、動きも単純であるという点から初心者にも扱いやすい。

全体的にアタックカードが強力かつ、被ダメージが上昇する状態異常「弱体化」を相手に付与できるものも多いため、アタックで火力を稼ぐのが非常に得意。攻撃バフである「筋力」上昇系カードや筋力を倍々に増やすカード「リミットブレイク」を活用することにより攻撃力を青天井式に増加させていくことが可能で、極まると狂った火力を叩き出す。

なら防御はどうなのかというと別に弱くはなく、むしろ単発カードで雑にブロックを稼ぐのは得意だったりする。単発で大量ブロックを稼ぐ「不動」、ブロックを倍々ゲームで増やす塹壕、ブロックをバリケードで次ターン以降に保持までできると鉄壁で、ブロック分のダメージを与える「ボディスラム」まであると火力も文句ないレベル。コモンながらブロック値も悪くなくドロー効果付きの「受け流し」もあるので安定感がすごい。

また、「廃棄(カードをその戦闘中だけゲームから除外すること)」を能動的に行えるカードが多く、状態異常や呪いを廃棄できることから高い耐性を持ち、戦闘中にデッキを削りこんで最適化することにも長けている。自分で自分のデッキを破壊するやつがいるか。コンボパーツ以外全部廃棄して無限コンボに突入したりもできるため、無限コンボ適正もかなり高い。

しかしながら、初期キャラ故かキャラパワー自体は他キャラと比べるとあまり高くなく、比較的ぶん回らないほう。高アセンションともなると回復程度では誤魔化しが効かなくなってくるので、一転して初心者にあんまり優しくないキャラになってしまう。良くも悪くも一番真面目に「StS」やってるというか、ゲームを壊すのに飽きちゃった人が一周して帰ってくる初心者向け兼上級者向けキャラといった具合である。渋くて良いキャラだと思うよ、アイアンクラッド

 

 

2人目は異国の女ハンター(アサシン?)サイレント。かわいい。イメージカラーは。テーマは「スキル」「敏捷性」「脱力」「捨てる」「毒」アイアンクラッドで一回プレイすると解禁。

防御面に秀でた長期戦向きキャラクター。雑にブロックを積むアイクラさんとは対照的に素のブロック値は大したことなく、防御値バフである「敏捷性」の増強やターンを跨ぐブロック付与、火力が割合減少する状態異常「脱力」付与などによって総合的に見て非常に堅い、というややテクニカルなタイプである。

ドロースキルが全体的に豊富かつ優秀であり、デッキが死ぬほどぶん回る気持ち良さを存分に味わえるキャラである。反面「捨てる(カードを捨て札に送ること)」効果が付随しているカードが多く手札使いはやや粗い。しかしこれを活用して邪魔な状態異常や呪いを捨て札に送ったり、「捨てる」がトリガーになっているカードやレリックを起動させたり等、一概にデメリットばかりではない。

主なダメージソースは、サイレント専用デバフ「毒」による継続的なダメージか、0コスアタック「ナイフ」召喚による手数攻め、あるいはその複合型である。

大きく火力を稼げるようなカードはあんまりなく、大抵の場合において地道な削りを強いられる。特に序盤は所要ターンの長さからダメージが嵩みがち。しかし毒の値を倍化させる「触媒」の複数積みや「悪夢」による増殖ができれば一転して爆発力が高まる。良くも悪くも触媒に火力を依存しているキャラといえる。

ナイフ軸は毒と比べるといまいち頼りなかったんだけど、近年のアプデでナイフ生成スキル「剣の舞」や0コス強化レリック「リストブレード」が強化されなかなか楽しい戦法になってきた。手数でステータス強化できる「手裏剣」系レリックとの相性も良くて揃うとゴキゲンになれる。

初手手札を増やすスターターレリックの効果もあり、仕上がった際の安定感は他の追随を許さないが、反面序盤においては火力のなさが響いていまいち頼りにならない。特に第一階層のエリートに対しては軒並み相性が良くないこともあって苦戦を強いられる。サイレントは序盤が一番山場だよ!

総評としてはカッチリ守り切ってから相手が毒で死ぬの見てほくそ笑みたい人向け。堅さといやらしさではナンバー1だ!最初のうちは強さや楽しさを実感しづらいんだけど使ってるとだんだん気持ちよくなってくるスルメキャラである。

 

3人目ディフェクトはオーブを操る戦闘用ロボット。かわいい。イメージカラーは。テーマは「オーブ」「パワー」「集中力」。サイレント解禁の次のプレイで解禁。

最大の特徴は戦闘中に展開でき自動で攻撃や防御などを行ってくれる4種類の「オーブ」の生成。オーブは基本3つまで保持ができ、溢れた分は「解放」され、消える前に強めの攻撃や防御を行ってくれる。ディフェクト専用バフ「集中力」でオーブ強化もできるので、極まると攻撃も防御も全部オーブで行いディフェクト本体はひたすらオーブ生成、みたいな戦い方もできる。

その戦闘中だけ永続的な強化を得られる「パワー」カードが強力で、仕上がったときの強さならだれにも負けない。パワーを無限に生成するパワー「クリエイティブAI」の存在により、試合が続く限り無限に強くなれるロマンの塊である。宇宙が見える。

立ち上がりが遅いのが弱点であり、パワーの展開を行う間は隙を晒しがち。これをどう補うかが課題となる。自動防御オーブフロストを生成できれば隙を補いやすい。フロスト生成&ブロックの「氷河」や0点フロストの「寒気」があると安定感抜群。

優秀な0コスカードが多いのも特徴で、弱体付与の「ビームセル」や脱力付与の「目潰し」で細かい手数攻めを展開しつつデバフを積んでいける。さらに0コス回収アタック「オールフォーワン」があれば捨て札の0コスを回収してまたぶん回せるのでひたすら気持ちが良い。

強力なサーチカード「検索」「ホログラム」を擁し、自由度の高い立ち回りを実現できるゲームメーカー。エナジー供給系カードもひたすら優秀であり、ドロー手段さえしっかり用意できればずっと俺のターンができ脳内麻薬がどばどば。一度ディフェクトの味を覚えるともう戻れなくなるかもしれない魅力があるキャラである。

完成すれば最強のキャラ。ていうか無限に強くなるから完成しない。しかしながら立ち上がりが遅くて使いやすくはないし、デッキ構築の難易度も高めで上級者向けの感は否めない。しかしながら中毒性の高さでは他の追随を許さない面白キャラだ。ディフェクト使った後に他キャラ使うと「あれ、オーブないの…?オールフォーワンは…?なんで…?」てなる。ある程度ゲームに慣れてきてから使うのがおすすめのキャラかな。

 

最新の追加キャラクター、4人目ウォッチャーは盲目の苦行僧。かわいい。イメージカラーは。テーマは「スタンス」「占術」「保留」「カード生成」。解禁は一番遅く、他キャラでゲームを一回クリアする必要がある。

最大の特徴は戦闘中の「スタンス」変更。カードの効果によって憤怒」「平静」「神聖の3つのスタンスを使い分けて戦うのだ。

基本は憤怒平静憤怒は発動中与ダメージも被ダメージも倍になるという超絶大味な効果でありハイリスクハイリターン。これによりウォッチャーはアイクラさんをも越えるゴリラと化す。平静は単体では何の効果もないが、解除時に2エナジーを得られる。平静憤怒のスタンス移行でダメージ倍化&2エナジー獲得、全力でぶん殴って試合を終わらせるというのが基本戦法となる。殴られる前に殴り殺せばノーダメ!守るターン、殴るターンのメリハリの強さがウォッチャーの特徴であり魅力である。

憤怒移行時に2ドローできるパワー「猪突猛進」があるとちょっと狂った強さになり、平静解除のエナジー供給も合わせると、スタンスをパカパカ変更するだけで相手が死ぬまで殴り続ける怪物が誕生する。その性質上無限ループが非常に組みやすく、ウォッチャーの攻撃性の高さを象徴している。

神聖は1ターンで解除されるちょっと特殊なスタンスで、専用バフ「マントラ」を10貯めると自動移行する。移行に時間がかかる分非常に強力で、与ダメージ3倍かつデメリットなし、しかも移行時に3エナジー獲得するという必殺のスタンスである。大味すぎんだろ!発動条件は厳しいけど決まると雑に気持ちよくなれるぞ。

それと「スタンスなし」も一つのスタンスとして扱われており、これを活用していくことも大切。平静「スタンスなし」なら2エナジー回収できるし、憤怒「スタンスなし」ならダメージ2倍化のデメリットを解除できる。「スタンスなし」に移行する「無の型」シリーズのカードは是非とも入手しておきたい。

手札操作・維持も非常に得意。

山札確認&任意捨て効果「占術」によるデッキ操作が可能で、ドローカードをある程度操作できる。特に占術付きコモンアタック「運命の切り開き」は強力で、占術実行で山札を操作してからドローするとかいうイカサマみたいな挙動をする。

カードを次ターンに持ち越す効果「保留」を持つカードも複数存在し、次ターンの手数増加や事故防止に大活躍する。特に「護身」などの保留付きブロックカードの安定感は半端ではなく、ブロックがいらないターンに引いても腐らず、必要なときに確実に使えるため強力。保留中は捨て札に行かないため2周目以降のドローがダブつきにくいのも地味に強い。

「カード生成」効果を持つカードも多く、手数攻めに少なからず貢献する。生成されるカードはだいたい保留ついてるのも強い。生成先の一つである高性能アタック「スマイト」も保留付きであり、憤怒神聖に合わせて吐くことで安定した火力の出力先として活躍する。

キャラパワーで言えば全キャラぶっちぎりのウォッチャーだけど、弱点は防御面の薄さと事故のリスク。

防御面についてはスタンスパカパカでブロックを積めるパワー「不動心」や付与した敵を殴るとブロックを積めるようになる永続デバフ付与アタック「拒絶の掌」があると殴るついでにバカみたいにブロック詰めてむしろくそ強いんだけど、逆に言えば防御面はこの2枚にかなり依存しておりこれらが引けないと守りに割くエナジーが増え、憤怒にチェンジするタイミングを逸してジリ貧に陥りがち。

またこれらのブロック付与手段はどちらもアタックのついでみたいな効果なので、持ってたとしても結局攻撃全振りのガン攻めキャラみたいな戦法になるのも攻撃偏重という印象に拍車をかける。

そしてウォッチャー使う上で一番怖いのがやっぱり手札事故。どれだけスタンス変更カードを積んでてもドローできないときはできないので、憤怒状態でターンエンドせざるを得なくなって致命傷ということもままある。ウォッチャーのドローや手札補強は後から効いてくるタイプが多いのもあって、引けないときはとことん引けないのだ。

4キャラの中で一番新参ということもあり、長期に渡ってバランス調整されてきた他キャラクターと比べると流石にちょっとキャラパワー高すぎだろ!と言わざるを得ない女ゴリラである。同じゴリラ枠のアイクラさんをちょっと食ってんじゃない?と言いたくなるくらいにはゴリラである。しかしながら超火力かつデッキがぶん回るというのはそれだけでハチャメチャに楽しく、ムチャクチャに爽快である。火力が高い分慣れると1プレイも比較的短くサクッと遊べるので、なんだかんだ僕の一番使ってる好きなキャラかもしれない。大味だけど大味なりの良さがあるキャラである。

 

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なお一番かわいいのはサイレントちゃんです!!「フットワーク」はじめ足技系カードでおみ足が拝めるぞ!!

 

「Slay the Spire」、個人的にハマりにハマった作品であり、ちょっと離れててもまた不意にやりたくなってくる。ゲームする元気がない日でもなんかだらだら遊んで脳を溶かしてしまう、おかゆみたいな作品だと思っている。ゲーミングおかゆ

休みの日とかにやりたいことあったのにこのゲームだらだら遊んでたら一日が終わるとかよくある。寿命を削りにきてる。このゲームを世界的に普及させることで人類の生産性はだいぶ下がると思う。

めちゃくちゃ面白いのは確かなんだけど、確実に時間と脳髄が溶ける作品なので軽率におすすめしていいのかどうかは正直よくわからない。しかし僕の場合一時期めちゃくちゃ病んでたことがあって、そのときは調子悪くても遊べるこのゲームに逃避して乗り切らせてもらったりもしたので、すごく存在に感謝してる作品でもある。
心と時間の隙間を埋め、脳髄と時間を溶かし、魂と時間を焼却する。限りなく虚無的であって、しかし限りなく豊かに、僕の精神の安寧を担保してくれる作品。一人遊びの一つの到達点だと思う。

きっと誰かの心に寄り添って。「Slay the Spire」はいつもそこにある。

 

2570円、プレイ時間約880時間

プレイした日2019/09/26~2022/06/06

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