「MOTHER」紹介
「MOTHER」とは、任天堂と糸井重里が贈る愛とユーモアに溢れたRPGである。
GBAの1+2ぶりに遊んだけど楽しかった。現代アメリカを舞台としたジュブナイル的世界観と小粋なテキスト、それに作品の雰囲気がノスタルジーを想起させるからなのか、時折なんでもないようなところで泣きそうになるんだよなぁ。BGMもめちゃくちゃ良いし切なさのあるシナリオも最高だった。
戦闘バランスとしてはやや大味だし終盤のバランスはかなりやばかったがなんとか乗り切った!素朴なレベル上げの楽しさがある作品だ。
主人公と仲間達の名前、あと好きな献立は自由に決めることができる。僕はいくら丼が好きなので世界観ガン無視でいくら丼にします!!アメリカやぞ!!
MOTHERといくら丼には何の相関関係もないんだけど、毎回好きな献立をいくら丼にしてるからか毎度めちゃくちゃ食いたくなる。
マイホームで回復するときにお母さんが好物を作ってくれる、心を読めるマジカントの人が好物を当ててくる、偶然にも好物が同じ人がいる、などなど定期的に好きな献立を見ることになる。
「1900年代の初め、アメリカの田舎町に黒雲のような影が落ち、一組の夫婦が行方不明になりました。夫の名はジョージ。妻の名はマリア。
2年ほどしてジョージは家に戻りましたが、どこに行っていたのか何をしていたのかについて誰にも話すこともなく、不思議な研究に没頭するようになりました。
妻のマリアのほうはとうとう帰ってはきませんでした。」
1988年、マザーズデイの町外れ、主人公の少年の家でラップ現象が発生するところから物語は始まる。魔法の代わりにサイキックで戦う!少年少女の冒険のお話だね。
冒険には地図が欠かせない。ゲームの地図ってなんだかワクワクするよね!攻略の自由度はかなり高いほうで、序盤の道路封鎖を越えれば割と好きに世界を探検できるのが良いとこ。ネタの密度でいえば2だけど、体感する世界の広さは2よりも広く感じられる。
広大な一枚絵のようにシームレスに広がる世界にはワクワクが詰まってる。現代という設定を活かして乗り物に乗れるシーンが多いのも好き。
電車に乗ってもいいし、線路を伝って歩いていくのもまた楽しいなぁ。
入れ歯がなくて喋れなくなってる人発見!多分初代ポケモンのサファリパークのイベントの元ネタだよね。こういうときはテレパシーでの会話が有効だ。
初見時「広すぎ!」ってなったアドベント砂漠。遺跡あり、戦車あり、遊覧飛行ツアーありでわくわくが目白押しですよ。あと僕は今回初めて知ったんだけど、隠しイベントで地雷が一個だけ存在する。特に何かあるわけじゃないんだけど面白いなぁ。今でいうイースターエッグですね。
MOTHERの魅力といえばやっぱりテキスト。あまりにも濃密な2と比べるとやや薄味ではあるんだけど、クスリときて人間くさく、優しく、(それでいてちょっとオジサンくさい魅力もあり、)読んでるだけでべらぼうに面白いテキストのパワーは1でも健在。昔から大好きだったけど、最近感想ブログを書くようになって改めて「すげぇ!」と感じられた。人を惹きつけることばを紡げる人は本当にすごい。きっと僕の気付かないところでも世の中をより良く、優しくしてくれているのだと思う。
RPGとしての導線もしっかりと考えられていて、自由だけど突き放しすぎないという絶妙なバランスを実現している。言葉がとにかく印象に残るから、「そういえば何か言ってる人がいたな…。」とかするする思い出せるんだよね。
なお難点として風邪を引いているNPCがちょくちょくいて、話しかけると状態異常の風邪をうつしてくるのがめちゃくちゃ鬱陶しいんだよなぁ。しかしswitch版には神の機能「巻き戻し」がある!話しかけた事実からなかったことにすることが可能だ。めちゃくちゃ地味なタイムベント!
多くを語らないながらも切ないシナリオがまた良い。世界は愛に溢れているときっと信じられるような作品ですよ。
なおフライングマンは犠牲にしました。ごめんな!
2時間連続して遊んでいるとパパから休憩を促す電話がかかってくるのも面白いなぁ。こういうちょっとしたおせっかいが人間味を感じさせてくれるんだよね。
パパといえばちょっとどきりとするのがプレイヤー自身に話しかけてくるイベント。プレイヤーの名前を聞いてくるので入力するとエンドロールに反映されるという仕組み。ちょっとしたお遊びなんだけど、「プレイヤー」の存在を大事にしてくれるのはちょっぴりだけ嬉しい。
意味はないけど面白い、お遊び要素に溢れている楽しいゲームである。理科室でタイムマシン製造してるやべー先生だ。終盤はお金も余るので、いろいろ試してみるのも面白いだろう。
その最終兵器はまじの最終兵器ですよ!なお使っても意味はなし。こういうお遊びアイテムが多いんだよなー。
RPGとしてはやや大味で、終盤のバランスはマジで苛烈の一言。ホーリーローリーマウンテンは地獄ですよ…。手塩にかけて育てたパーティがグリズリーにボコボコにされるのは見てて辛かった。
なおバランス調整の為か、山の麓に無限に傷薬を供給してくれるおじさんが存在。あんたパーティに入ってくれねぇか!とはいえ傷薬程度でどうにかなるもんでもないんだけど…。
ホリロリ山の敵に関しては逃亡安定かな。どうせレベル上げてもラスボス戦だけだからなぁ…。成長要素のあるだいたいのゲームで言えると思うんだけど、終盤の大味なレベル上げよりも、序盤のコスいレベル上げのほうが楽しくないですか。
「キャラクターの永続的な強化」という単純かつ激烈な快楽を得られる一方で、なんだかんだ序盤のしょぼい武器でしょぼい敵をしばいてるときが一番楽しいという根本的な矛盾を孕んでいる気がする。
終盤のバランスに苦戦しつつもなんとかクリア!久々に遊べて良かったね。
GBA版に比べるとエンディングが薄味に感じるのは気になるなぁ。でも終盤のクイーンマリーのイベントはやっぱりグッときた。ロイドの再加入イベントも大好き。「君のなけなしの勇気を使うときがきたようだぞ」は個人的に名言だと思う。決して強くはないロイドが勇気を振り絞って戦うからこその味がある。
昔はRPGは獲得経験値をなるべく抑えてギリギリのバトルを楽しむのが好きだったんだけど、今は素朴なレベル上げがただただ楽しいなぁ。
大好きなRPG。今遊ぶのはちょっと大変かもだけど、それでもおすすめしたい。名作を保証しますよ。
無料(Nintendo Switch Online加入必要あり)、プレイ時間約17時間
プレイした日2022/02/11~2022/02/16