十九時十分をお知らせいたします

遊んだゲームの感想なんかを書き残していこうかと思っています

「ファイアーエムブレム風花雪月」紹介

三つの国、三つの学級、そしてあなたの物語。

 

f:id:gogo7ji:20220130081552p:plain

ファイアーエムブレム風花雪月」とは、「ファイアーエムブレム」シリーズ最新作(2022年1月時点)、骨太SRPGである。

ハマりにハマって16周、面白すぎて狂ったように遊んでしまったのでそろそろ感想書いていいかなと思うので書く。(翠風→蒼月→紅花→銀雪の順でローテーション。引継ぎありハードで4周→引継ぎありルナティックで4周→引継ぎなしルナティックで4周→引継ぎなしルナティックで再度4周)

 

f:id:gogo7ji:20220130083152p:plain

遥か太古より在りし地、フォドラ。天上より女神の見守るといわれるその大地は、三つの勢力によって統治されていた。

千年以上の歴史を持ち、大陸の南半分を支配する「アドラステア帝国」。寒冷な北の大地を、王と騎士たちが治める「ファーガス神聖王国」。そして大陸の東側で、王を戴かず有力貴族による共同体を成す「レスター諸侯同盟」。

かつては戦乱の嵐が吹き荒れたフォドラも、今はこの三国の均衡により、平穏が保たれていた。

またフォドラの人々の多くは「セイロス正教会」の教えの下に暮らしており、三国の中心地にはセイロス教の総本山・「ガルグ=マク大修道院」が存在。大修道院には士官学校が併設され、出身国ごとに分けられる三つの学級が存在している。

そうです!このゲーム学園ものなんです!

 

f:id:gogo7ji:20220130085802p:plain

オープニングは二つの「夢」から始まる。戦争の夢…。

 

f:id:gogo7ji:20220130090013p:plain

そして少女の夢…。(スクショ下手すぎて半目になってる!ごめんな!)

ガルグ=マク大修道院にほど近いルミール村に身を寄せていた傭兵である主人公(男女選択可、声はあるけど無言系)とその父ジェラルトは、盗賊に襲われた三人の級長(エーデルガルトディミトリクロード)に助けを求められる。

盗賊を退けた主人公らはなんやかんやあって一緒に大修道院へ行くことに。元セイロス騎士団長である父ジェラルトは騎士団に復帰、主人公はアロイスさん(セイロス騎士団所属の楽しいおじさん)の推薦もあり士官学校の教師に任命される、とここまでが序章のお話。

 

f:id:gogo7ji:20220130091909p:plain

教師になることが決まった主人公は、

アドラステア帝国出身者が所属し、序列第一位の次期皇帝エーデルガルトが級長を務める黒鷲の学級(アドラーラッセ)

ファーガス神聖王国出身者が所属し、王子ディミトリが級長を務める青獅子の学級(ルーヴェンラッセ)

レスター諸侯同盟領出身者が所属し、盟主リーガン公の孫で次期盟主のクロードが級長を務める金鹿の学級(ヒルシュクラッセ)
の三つの学級からどれか一つを選択し、生徒たちを教え導くことになる。(ポケモンの最初の三匹みたいなもん)

この選択によって物語が分岐し、全然違う話になっていく。基本的にはこの3ルートですね。(正確には4ルートなんだけど割愛。)ということで俄然周回したくなるゲームになっている。でも1ルートだけ遊ぶというのも全然ありだと思う!その分選択の重みが増すので慎重に選ぼうな!

誰と手を取り合い生きるかはプレイヤーの自由!学級選択前に生徒の確認ができるのでお気に入りの子がいる学級を選ぶのが一番いいかなと思う!

おおまかな学級の個性としては、

黒鷲の学級は貴族が多めでアドラステアの珍獣ベルナデッタちゃんが所属している。魔道が得意な子が多く序盤からモリモリ魔法を使える。(僕的にはリンハルトとカスパルの親友コンビが好きかな。何もかも正反対だけどずっと仲良しの二人。千路七海旅行記早く刊行してくれー!)

青獅子の学級はシリアスな雰囲気で最初から互いに面識のある子たちが多い。物理が強い子が多いのでファイアーゴリラエムブレムができるぞ!(僕はシルヴァン、フェリクス、イングリットの幼馴染トリオが大好きです。こんなんラブコメじゃないですかやだー!)

金鹿の学級は平民出身者が多く明るい雰囲気。弓が得意な子が多くちょっと変わった陣容で楽しめる。(僕はクロードとローレンツの関係性が好きです。ある意味クロードという男を誰よりも理解している男ローレンツ。自分にはない、皆をまとめ上げる力をクロードから感じ取っていく男ローレンツ。そしてローレンツの信念の強さ、熱さを次第に理解していくクロード。非対称のライバル、素直じゃないけど互いに信頼しあっていく二人。最高。)

って感じ!てことでおすすめの学級とかはあえて言わない方針でいく!

 

f:id:gogo7ji:20220130085014p:plain

ほんとに困った教師だな!雇うやつもどうかしてるだろ!…というツッコミは置いといて、この作品では講義で生徒の技能を上げていく。育成の楽しさというのが非常にデカい作品である。自分好みにじっくり育てよう。

 

f:id:gogo7ji:20220130101412p:plain

基本的に初期職は貴族/平民からスタート。初級職の剣士や兵士などを経由して、レベル10の中級職でやっとペガサスナイトやアーチャーなどお馴染みの兵種になれる。

つまり最初から強い状態で加入してくれるキャラというのがあんまりいないということなんだけど、その分育成の自由度は非常に高く、自分の色を付けやすいということでもある。

ただし兵種変更には士官学校で毎週開催される試験の合格が必要で、例えばアーチャーなら弓術レベルCが必要になる。(盗賊とか山賊(ブリガンド)になるのにも試験の合格が必要。どういうことなの…。)

要件を満たしていれば100%合格だけど、満たしてなくても一応受験可能、弓術D+でもアーチャーの試験にはだいたい3分の2くらいの確率で合格はできる。ただ合格率が30%未満だとそもそも受験できないので注意な!

合格さえしてしまえばいつでもその兵種にチェンジできるようになる。そのためアーチャーとペガサスの資格を取ってステージごとに使い分けるといったことも可能。この辺も非常に自由度が高い。

 

f:id:gogo7ji:20220130104227p:plain

育て方次第では全っ然似合わない兵種に合格させることだって可能なのだ!(ハンネマン先生ごめんなさい…。)

 

f:id:gogo7ji:20220130104424p:plain

レベルアップボーナスは紋章みたいに決まってる値をプラスする方式ではなく、暗黒竜みたいに最低保証値まで上昇する方式。ただレベルは据え置きなのでなるべく早く合格したほうがお得。

兵種によって最低保証の傾向は違うので、魔法職の子にあえて物理職の資格を取らせて最低保証だけいただく、というのもアリな育成方針。逆も可。魔法職は力を使わないから一見意味なさげだけど、力があると装備の重さを軽減できるという仕様があるのでちょっとだけお得である。

 

f:id:gogo7ji:20220130103529p:plain

授業中に生徒のほうから育成方針の提案をしてくることもある。受けるかどうかはプレイヤーの自由。無視してもデメリットは特にないけど、方針に迷ってたら乗ってみるのも一興かな。

 

f:id:gogo7ji:20220130103931p:plain

生徒から質問が飛んでくることもあるので答えてあげよう。いい感じの回答ができれば生徒のやる気アップ。先生の指導レベルも上がるので一石二鳥だ。

また、主人公の技能の成長度合いによって他クラスの生徒を自クラスに編入させることもできる(スカウト)。お気に入りの子を招致するもよし、強い人に用心棒になってもらうもよし。

 

f:id:gogo7ji:20220130131853p:plain

僕のお気に入りはベルナデッタちゃん!FEでまさかの引き籠もりキャラが出るとは…。結構きっついトラウマ持ちだけど基本的にはギャグキャラです。なんかギャグキャラと敵対したときのほうが心のダメージがでかい現象ありませんか。

 

f:id:gogo7ji:20220130132024p:plain

ベルナデッタ(とラファエル)の支援会話はどんなキャラ相手でもギャグ時空に引きずり込まれるからずるい。

 

f:id:gogo7ji:20220130132135p:plain

引き籠もりの代名詞と化したベルナデッタ。

 

f:id:gogo7ji:20220130113029p:plain

授業だけじゃレベルは上がらない!出撃戦闘や月に一度の課題戦闘に取り組もう。SRPGパートね。(スクショが第二部なのはご愛敬。)

難易度的には、個人的にはルナティックと比べても紋章二部とか聖戦のほうが苦戦したかなぁ、って感じ。まあルナティックはある程度本作の仕様を理解した上で遊んだからなんともいえないか…。ノーマル・ハードは非常にやさしめ。

基本的に今作のバランスは弓射程インフレ&移動力デフレ。あと新武器の籠手が強い。移動力初期値4に対してアーチャーの弓射程が3だから結構な影響力がある。

新武器の籠手は軽くて命中安定二回攻撃の代わりに威力ほぼ0。筋力で殴れ!!って感じの武器。性質上魔法職を一方的にボコせる代わりにアーマーに攻撃を通しづらい。籠手→魔法→アーマー→籠手で新たな三竦みができた感じだ。

…なんだけど、二回攻撃のコスパが良すぎるし威力不足もキャラがムキムキになってくるとあんまり気にならなくなってくる。ルナティックでは敵が○○殺し系のスキルを携えて剣槍斧の三竦みを再現してくるんだけど、拳法殺しはないので籠手は比較的運用が安定する。やはり拳こそが最大の凶器!

また今作では戦技という必殺技みたいなものを撃てる。威力や命中をプラスして強力な一発を放てる代わりに、基本的に追撃ができないし武器の耐久を多く消耗する。強いのは二回攻撃系とステータス加算系かなぁ。

今作では「紋章」を持つキャラクターというのがいて、通常攻撃時や戦技使用時など決まったタイミングで確率で紋章が発動し威力アップや相手の反撃無効化などの恩恵を得られる。また伝説の武器「英雄の遺産」の使い手になれる。聖戦の血統みたいな要素ね。

今作の独自要素として計略システムがある。キャラに騎士団を配備すると範囲攻撃の計略を1回か2回だけ放て、当たった奴は動揺状態になり能力デバフ&移動不能になるというくっそ強い効果。ただ命中率の計算が他の攻撃と違い、相手と魅力を比べて勝ってる分だけ命中アップというもの。魅力で殴り合うゲームだ!

この計略を相手も普通に使ってくるので一人で無双というのが難しいバランスになっている。また雰囲気的にも非常に貢献しているシステムで、集団で戦ってる感が増しているのが良い。

成長はお馴染みのランダム成長で一喜一憂することになる。成長率はキャラクター本人のものに兵種成長率をプラスしたものね。アーマーナイトは守備が伸びる、ペガサスナイトは速さが伸びるなど傾向は様々。キャラクターに合った兵種を考えるのも本作の楽しみといえる。

本作では最低2ピン保障というのが存在し、生徒キャラに関しては0ピン(ステータスが1つも上昇しないこと)や1ピン(上昇1つだけ)が発生しない。上述の合格時最低保証も併せて、キャラクターが極端にヘタれることがあんまりなくなった。ヘタレても「まあいっか!」って気持ちにさせてくれる良システムといえる。

本作ではジジイ生徒以外のキャラも結構成長率が良くて、意外と最後まで使えることが多い。生徒じゃないキャラは大抵最初からある程度強いので頼もしい。しかし2ピン保障がないのでヘタレる可能性もある…。といった形で生徒の優位性もしっかりある。過去作だとジェイガンに経験値が入るとドブに捨てたような気分になったものだけど、今作の大人組はちゃんと使えるからそういう気分にはあんまりならないなぁ。

 

f:id:gogo7ji:20220130114855p:plain

戦闘もいいけど散策も楽しい!キャラクターとお話したり、一緒に料理を食べたり、お歌を歌ったりしてキャラクターと交流できるぞ!散策パートのせいでSRPGとしてのテンポがやや犠牲になっているという面もあるんだけど、それを加味しても散策は風花雪月にとって欠くべからざる魅力の一つだと僕は思う。

 

f:id:gogo7ji:20220130115340p:plain

キャラクターとお茶会を楽しむこともできる。そのキャラの好みそうな茶葉を選んだり、好きそうな話題を振ってお茶会を盛り上げよう。パーフェクトティータイムになるとお茶会の相手を好きな角度から眺めまくれる。(不審。)

いい感じのお茶会ができると主人公と相手の魅力が上昇。主人公は必然的にお茶会に毎回参加することになるので魅力がアホみたいに上昇するぞ。ただし魅力の上昇は1キャラひと月に2までなので紅茶ガブ飲みさせる作戦には制限があるぞ。注意。

 

f:id:gogo7ji:20220130120044p:plain

DLCを導入していれば着せ替えして遊ぶこともできる。第一部メーチェ、メイド服似合いすぎ問題。アネットもかわいいなぁ。

 

f:id:gogo7ji:20220130114442p:plain

シナリオはシリアスの極み。

序盤から命の奪い合いを強いられる生徒達、不穏の者達、奪われていく日常、第一部終盤に向けて徐々にきな臭くなっていき、平和であったはずの大修道院に暗雲が垂れ込めていく。

 

f:id:gogo7ji:20220130120006p:plain

「紋章」に関わる愛憎、人間模様にも注目したい。

紋章は親から子へ遺伝する素質で、紋章を持つ者は魔道や武に優れ、「英雄の遺産」の使い手にもなれる。しかしそれ故に紋章主義社会が構築され、紋章を持ったがゆえに苦しむ者、持たぬがゆえに冷遇される者が現れる。

シナリオにおいても紋章にまつわる悲喜は重要なファクターであり、避けることのできない悲劇、地獄を形成している。

 

f:id:gogo7ji:20220130123443p:plain

第一部終盤では、世界の行く末を左右する重大な選択を迫られることもある。

そして…。

 

 

殺し尽くしてやる…!

 

f:id:gogo7ji:20220130121427p:plain

誰と共に生き、誰と刃を交えるか。

仮初の平和は打ち壊され、二部構成の本作の第二部、戦争編が始まる。

帝国、王国、同盟。それぞれの存亡をかけた戦いは、敵が全て滅ぶまで終わらない。

第一部の5年後が舞台であり、戦乱の世で皆それぞれに成長した生徒たちと再会することができる。しかし第一部でスカウトできなかったキャラクターとは敵対することになる。再会するのは戦場であり、殺すしかない。敵となった相手も、それぞれの意思と覚悟を胸に戦い、または覚悟をする時間すら与えられず、そして死んでいく。

一番惨いパターンが親友の片割れだけスカウトに成功した場合で、最悪親友のその手にかけられるという事態も起こり得る。しかも専用会話が発生する。やめてくれ。なんでそんなことするんですか?

キャラクターの勝利台詞も戦争の悲惨を現したものになる。

「また生き延びられた!また殺した!」

「ま、地獄でまた会おうぜ」

「僕、まだ生きてますよね…?」

 

f:id:gogo7ji:20220130122324p:plain

ほんとにな!!

 

f:id:gogo7ji:20220130123615p:plain

第二部には4つの章がパラレルに存在している。

翠風の章」「紅花の章」「銀雪の章」「蒼月の章

それぞれから一文字ずつ取って「風花雪月」というわけですね!

ちなみに風花雪月という四字熟語には美しいけれど中身のないもの、という意味もあるそうな。仮初の平和が壊れ悲惨な戦争が始まるこの作品に相応しい言葉だと思う。

個人的な見どころとしては

翠風の章坊主野望の盟主クロードの知謀とルーツ。あとご先祖さん大バトル。

紅花の章、女帝エーデルガルトの覇道、血濡れの花道。

銀雪の章、明かされる主人公の出生の秘密とナバテアの決着。

蒼月の章、妄執の王子ディミトリとエーデルガルトの愛憎、その結末。

となっております。

マルチエンディングを最大限活用しており、一つのルートをクリアしただけでは全ての謎を解き明かすことはできないようになっている。

 

f:id:gogo7ji:20220130130904p:plain

そういうことだね!門番さんは癒し。

ただこのゲームで一番キツいのは、あるルートで手を取り合い共に生きたキャラクターと、別のルートでは敵対、最悪殺さないといけなくなるということ。やればやるほど心が苦しくなってくる。僕は翠風(クロードのルート)から遊んだのでクロードやヒルダちゃんと敵対するとメンタルをやられる現象に遭遇した。

しかしこの痛みもまた今作の魅力なのだと思う。何もかもが正しいルートなんて存在しない。手を取り合い、共につかみ取った未来を噛みしめて人々は生きていくのだ。

 

f:id:gogo7ji:20220130123657p:plain

この作品の中には、キャラクター達の青春と、決別の生々しい痛みが確かにそこにあって、きっと自分自身もそこに加わって存在している。痛みを、苦しみを、喜びを分かち合う仲間がいる。

戦争の悲惨と、その中で手を取り合い生きる人とを描いた傑作。かなりのボリュームがあり、メンタルに直接攻撃してくるので、心と時間に余裕のある方向け。だけど是非遊んでもらいたい作品だ。おすすめ。

僕が好きなキャラはベルナデッタと、アネットと、…リシテアもかわいいよね!病んでるときのディミトリも好き!ディミトリに対するドゥドゥーの忠誠も尊い。幼馴染トリオに、カスパルとリンハルトの親友コンビに、フェルディナント=フォン=エーギル!くんも真っ直ぐで好きだ。エーデルガルトとヒューベルトの主従コンビは敵対したときこそカッコよさが映える。ヒューフェル支援A+は最高だ。マリアンヌとヒルダの親友ペアエンドもすごく好きだ。イエリッツァ先生もクールでかっこよい。レオニーとアロイスさんと主人公の義兄弟ズも良い。みんな心根の優しさが見えてとても好きなんだ。なんでこんな地獄のような戦乱に巻き込まれてるんだ。助けてくれ。僕は全員好きなんだ。

 

7678円、プレイ時間約1750時間

プレイした日2020/05/21~2022/01/24

store-jp.nintendo.com