秋が香る百合推理ノベル。
「神田アリスも推理スル。」とは、女子高を舞台にした百合系ショートミステリである。
キャラクターデザインは「じんるいのみなさまへ」などの「春夏冬(あきなし)ゆう」氏。(秋のゲームなのにあきなしとはこれ如何に)
主人公、「神田アリス」は親友「穂高明」のことで悩んでいた。明は弓道部の優勝カップを壊したと皆に言われているが、アリスにはどうしてもそれが信じられないのだ。
そんな折、アリスはクラスメイトから「茶道部の占い師」の噂を耳にする。茶道部に足を運んだアリスを、黒髪の美少女「佐和良義宝珠」が迎える。
アリスと宝珠の出会いから、秋の香る小さなミステリが始まる。
舞台となる女子高ではいくつかの事件が起こり、章の最後には推理パートが発生する。だけど、そんなに難しいところはなかったかな。(個人的にはTRUE ENDに行くためのフラグのほうが苦労したなぁ…。)作中の描写を考えていけばしっかり解ける上質なものに仕上がっていると思う。
特色としてはやはり繊細な「百合」描写。終わりゆく秋の気配の中で、少しずつ変化していく人間関係。そこで花開く小さな百合を爽やかに描いてくれる作品である。
僕の好きなキャラはやっぱり宝珠先輩かなぁ。心根の優しさと高い推理力、頼りになるけどちょっと天然な感じが好き。穏やかな時間が流れる茶道部での描写も良いなぁ。
ショートな作品でボリュームはそんなにないけど、その中で詩的に、繊細に、「秋」と「百合」と「ミステリ」をしっかり描いている一作。これは…尊い!百合好きに、おすすめ。
1500円、プレイ時間約5時間
プレイした日2021/04/28~2021/05/02