十九時十分をお知らせいたします

遊んだゲームの感想なんかを書き残していこうかと思っています

「アルケミックダンジョンズDX」紹介

クラフト&ローグライク

 

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「アルケミックダンジョンズDX」とは、「ニンジャストライカー」や「ニンジャスマッシャー」、「ボーパルラビット」等で有名なQ-Cumber Factoryが制作、フライハイワークスが販売しているクラフト要素のあるローグライクゲームである。

3DS等で販売されていた無印版も遊んだんだけど、比べてみるとプレイヤーキャラクターが4人から9人に増え、99階ダンジョンも追加されてボリューム面が大幅に強化されている。またクラフトできるアイテムが増加してかなり楽しみがアップしているので今遊ぶなら圧倒的にDXがおすすめだ。あと地味に無印版では非常にイジワルでかなり構成の自由度を下げていたラスボスが弱体化しているので、クラフトを自由に楽しめるバランスになっているのも良い。それでいて99階ダンジョンの追加により歯ごたえもしっかりあってユーザーの需要に応えてくれた形になっている。

 

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非常にオーソドックスなローグライクなんだけど、最大の特徴はなんといってもクラフト要素。そこら中にある岩や木、ときにはモンスターからも素材を採集してアイテムをクラフトするのだ。武器も防具も薬も食料も自分で作っていくゲームである。

例えば敵を倒してもドロップするのは生肉なので空腹の回復量が少ないが、木の実からオイルをクラフトしてオイルと生肉で焼肉を作って食べるのが基本になる、という感じ。

一つのアイテムにいろんな使い方があるのが面白い要素で、さっき例えに出したオイルの場合だと肉を焼く以外にも敵に投げて焼き殺す、マナストーンとクラフトして全体攻撃の炎の魔石にする、魔石から杖を作る、武器に魔石をエンチャントして炎攻撃を追加する、といった具合になんでも使えるのでアイテムが無駄にならない。

ローグライクってままならない感じが良いんじゃん!」って意見もあるし実際そういう面もあるんだけど、必要なものが全くでないストレスがほぼなく、それでいてレア素材が出たときのテンション上がる感じはしっかりあるので、全体として非常にバランスの良いゲームに仕上がってる。レア素材が出たときに武器に錬成するか、防具に錬成するか、消耗品に加工するか、というこのゲーム独自の駆け引きがあるしローグライクとしての面白さをしっかり持ってる作品だ。

 

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あと女の子がかわいいしな!

無印版と比べるとキャラクターの差別化がしっかりなされた印象で、使うキャラによってプレイ感覚はかなり変わってくる。お気に入りのキャラを見つけよう!

バランス型の基本キャラのファイター、射った矢が一定確率で帰ってくるハンター、パワー型だけど不器用なドワーフ(ドワーフって普通逆に器用じゃない?)、魔法特化のウィッチ、の4人が無印からの続投キャラだけど、キャラごとの特殊能力が追加されているので触り心地がだいぶいい感じに差別化された印象。

DXからの追加キャラ、回避が強いヴァルキリー、最初から二回攻撃でクリティカルでニンジャシリーズからゲスト出演のニンジャ、同じくニンジャシリーズから投擲できるクナイが強く攻撃必中もあるクノイチ、クラフトが強いエルフ、の4人もそれぞれ個性的で面白い。

隠しキャラのよげんしゃは全能力強く画面全把握できる代わりにHP1。(ヌケニンかな?)こいつだけはちょっとクリアできなかったなぁ。しかし一味違った遊びを提供しているという点では非常に良いキャラだと思う。

 

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矢を回収できるチャンドラダヌス&ハンターを使うと戦闘後に矢が死ぬほど散乱する。

 

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独自の楽しさがあるローグライク。戦い方の自由度が高く、自分のスタイルを見つけていく面白さがある。一部「強すぎじゃない!?」ってアイテムもあるけど、それを見つけていく楽しみ方もあってまたよし。「アルケミックダンジョンズDX」、おすすめ。

 

800円、プレイ時間約150時間

プレイした日2019/02/14~2020/01/30

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「マヨナカ・ガラン」紹介

生者と死者と、マレビトの物語。

 

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「マヨナカ・ガラン」とは、西洋宗教の和風解釈的な土着信仰とコミカルなキャラクターを土台として、無二の世界観を持つ観るADVである。

 

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この村には秘密がある。

かつて迫害されたキリシタン達が作った村、大臼村。ここでは奇妙な土着の進行が根付いていた。村長の息子「寿安」とその親友の神父「黒洲」は村興しのため郷土史家であり牧師である「橘はももる」を招く。はももるは郷土史編纂に動き出すが、徐々に大臼村の信仰の奇妙さに気付き始める。そして村に謎の聖人が来訪する…。というストーリー。

 

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基本的にやることは行く場所を選ぶことだけ。あとはフルボイスのムービーを鑑賞するだけのムービーゲーである。ストーリーも一本道であり、避けられない結末に向かって転がり落ちていく作品といえる。

強烈な個性を放っているのがモブ村人の表現。顔は黒子のようで服はステンドグラスを透過させた切り絵のような不思議な表現になっている。

モブ村人達はみんなコミカルなキャラで一見善良な人々なんだけど強烈に胡散臭く奇妙な不気味さも持っている。

「寿安」と「黒洲」の二人も腹に一物ある模様で油断がならない。

謎の目的を持って動いている「赤」と「白」の少女。

そして「はももる」。

これらのキャラがそれぞれの目的でもって村内を蠢き、どこまでも奇妙で、不気味で、不条理な物語が展開される。

 

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一応主人公は案内人である村人A(あなた)であるみたいなんだけど、実質的には、はももるちゃんメインで話は進行していく。

このはももるがまた健気でかわいい。あとめちゃくちゃ食いしん坊で郷土料理を食いまくるのも面白い。

 

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聖人とは何なのか。この作品の不条理の根幹をなしている存在である。

 

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毒きのこ酒って何だよ。

きのこ大好き村人さんすき。

 

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召され系女子って何だよ。

 

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独特の世界観とローポリの不気味さでもって無二の体験を得られる本作。その在り方は滅びの美学と言えるかもしれない。

様々な登場人物たちの運命が取返しのつかないところまで縺れ絡まり、デウスエクスマキナの如く全ては壊れていき、爽やかですらあるラストに繋がっていく。

奇妙で不条理で、でもちょっと行ってみたくもある大臼村。読み終わるころには変な親近感というか、よくわからない郷愁に駆られることと思う。軽率におすすめしていきたい。

 

1222円、プレイ時間約4時間

プレイした日2020/08/28~2020/08/29

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「オレンジの乙女ゲーム」シリーズ紹介

乙女と化した神宮寺三郎

 

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今回は「神宮寺三郎」の開発でお馴染みオレンジの出してる乙女推理ゲー、一作目の「ゴシックマーダー -運命を変えるアドベンチャー-」と二作目の「少女首領の推理領域 -黄金島の密約-」の感想を書いていきたいと思う。

 

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一作目「ゴシックマーダー」の舞台は20世紀初頭の英国のとあるお屋敷。そこで働いてるメイドである主人公の「エリー」は他人の直近の死を予知夢として見ることができる。

若くして伯爵となった館の主「アーヴィング」の死を予知夢によって知ったエリーは運命を変えるべく行動していく…。というストーリー。

西洋浪漫、遺産の相続、胡散臭い霊媒師、信用できない親族、なんか曰くのある館…、と推理ADVとしては結構王道な舞台に乙女ゲー要素もプラスした一粒で二度おいしいゲームである。

 

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基本的にはオーソドックスな推理ADVでたまーに出る好感度選択肢でエンディングが分岐する。攻略対象は主であるアーヴィング様と謎の青年「ユーイン」の二人。アーヴィング様はなんかあるごとにすぐ死んじゃうので頑張って助けてあげよう。死に芸。

僕はアーヴィング様派です。幸薄いイケメンに弱いんよ…。

 

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証拠を集めて、何か隠し事をしている登場人物を推理バトルパートで論破して情報を吐かせるのが基本。レスバ最強メイド。

推理バトルが熱くて面白い。相手を言い負かすごとに相手のライフが削れていき、間違った証拠品を突き付けるなどするとこっちのライフが削れていく。全てを賭けて推理を相手にぶつけよう。難易度はそんなに高くないけど論戦の緊張感がきっちり演出されていて良い。

 

DLCの追加ストーリー「卵泥棒を探せ!」は本編終了後のちょっとした事件のお話。本編と比べてかなり平穏な話でこれはこれで良かった。

 

全体的には推理8:乙女2くらいの比率であり乙女ゲー要素にそんなに興味なくてもライトな推理ゲーとして十分楽しめる作品だと思う。逆に言うと乙女要素を期待して買うとやや薄味に感じてしまうかもしれないなぁ。神宮寺三郎とか好きな人は問題なくいける。乙女の皮を被った神宮寺だよ。おすすめ。

 

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二作目「少女首領の推理領域」は00年代の架空の島々「グイムル諸島」が舞台。

大西洋に浮かぶグイムル諸島は4つのマフィア組織によって牛耳られていた。そのマフィア組織が一つ「ベッセル」の一人娘である主人公「リサ」はグイムルに帰省中、実の父が死亡する事件に巻き込まれる。父の死の謎を追うためボスの座を引き継いだリサは、部下の「ルイス」と共に島中を駆け巡る…。というストーリー。

 

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おそらく攻略対象ではないハゲが怪しい。

というのは半分冗談として、今回の攻略対象は前作から一人増えて三人。部下であるルイスさん(眼帯の人ね)と、「カットラス」のボス「ライアン」さん、「ダイアデム」のボス「クライド」さんを攻略できる。残念ながら「ロボ・カルテル」のボス「ダリル」さん(ハゲの人ね)は攻略できない。なんでダリルさん攻略できないんですか!

僕が一番好きなのはダリルさんかな。攻略させてください。

 

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システムは基本的には前作と同じ。証拠を集めて推理バトルで相手を打ち負かそう。

推理バトルは相変わらず熱いし、マフィアらしく非合法な捜査をガンガンやっていけるのが面白い。あと警察組織が権力よわよわすぎてマフィアにめちゃくちゃ情報を渡してくれるのも笑った。実質的に島内の治安を維持してるのがマフィア集団なんだよね。

ただやっぱり乙女ゲーとしては薄味に感じるなぁ。推理要素が好きな人向けって感じだ。

 

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ということで「ゴシックマーダー」、「少女首領の推理領域」の二作を紹介したけど、僕はどちらかというと二作目の「少女首領」派かな。シチュエーションが館や領地に限定されていた前作と比べて、島内を歩き回って情報を集める感じが好きだし、完全にイリーガルな捜査をみんな平気でやる感じとかマフィア感あって良かった。一作目の西洋浪漫っぽさも好きだけどね。

どちらも推理ゲームとして非常に完成度が高い作品のように思う。「神宮寺」とか「イヌワシ」を遊んだ後の次の選択肢として十二分にアリだ。おすすめ!

 

1200円、プレイ時間約5時間

プレイした日2020/03/13~2020/09/02

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1300円、プレイ時間約5時間

プレイした日2021/07/10~2021/08/01

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「スライムの野望」紹介

このゲームほんとにCERO:Aか??

 

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「スライムの野望」とは、アルタイルワークスが開発、フライハイワークスが販売している辛口SRPGである。最弱のスライム達が主人公となり人間達に逆襲する内容。

 

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オーソドックスなSRPGだけど最大の特徴は自ユニットが最弱のスライムしかいない点。ほんとに死ぬほど弱くてこのままじゃ勝負にならないんだけどこいつらの真価は特殊能力にある。

なんとこの作品のスライムは「人間の口から体内に入り身体を乗っ取る」ことができるのだ。えぐっ。

乗っ取った人間の身体を戦力に加えて他の人間を全滅させればクリア。つまり基本的に戦力は現地調達となるため常にギリギリの闘いが待っている。

しかも開始時点での人間との物量差は絶望的と言えるほどのものである。そこを乗っ取りとタクティクスで埋めていく快感、勝利のカタルシスは格別のものがある。

 

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フィールドには高さの概念があり、相手より上を取れば有利になれる。また属性三竦み(火<水<草。ポケモンと同じだからわかりやすいね!)が存在し、活用すれば有利に戦える。というかこれらを活用してかないと勝つのは難しい辛口難易度である。

 

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なんでやろなぁ…。

スライムの個性は様々で、狙われやすいメタルの他にもマップの好きなとこにワープし放題の「ワープスライム」、女子を乗っ取ると強くなる「スケベースライム」、分裂する「マゴノテ」、乗っ取りやすい「ノットラー」、仲間をテレポートさせられる「テレポーター」などいろんなスライムが存在する。殴り合いで弱いとはいえ普通のSRPGだったらチート級の性能を持ってるやつもちらほらいるので使ってて楽しい。それでいて難しいけどギリギリクリアできる絶妙なゲームバランスを実現しているんだからすごい作品だ。

ちなみにこのゲームにはアーマーナイト系など乗っ取りにくい敵ユニットも存在しており強敵として立ちはだかる。そんなときに役立つのが…。

 

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敵ユニットの服を溶かす「メルメル」系スライムである。服を溶かすと乗っ取りやすくなるので有効だ。ご丁寧に差分ドットがあるのがすごい。いやえっちすぎるでしょ!女の子を剥いでスケベースライムで乗っ取ると大パワーアップするというネタもあるぞ。CERO仕事しろ。一応水着という表記なんだけどどう見ても下着である。

ほぼ全人間ユニットに差分があるのもすごい。男も女も王様も平民もじじいもばばあも平等に服を剥げるゲームである。

スマホ版ではさらにパワーアップ版の「裸」があったみたいなんだけど流石にこれは再現されなかった。当たり前だろ!

ちなみに敵を動けなくする「ベタベタン」でも乗っ取りやすくできる。ベトベトンではない。服を溶かさない分、隙を晒さず即戦力にできるのでこちらも有用である。

また戦術的にも非常に楽しい要素であり、例えばボス格の敵を「ベタベタン」+「ノットラー」で奪って無双するといった戦略も取れる。決まるととても気持ちが良い。

 

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ドット絵がえっちすぎるゲームである。ほんとにCERO:Aか?

ちなみに3DS版ではレーティングに配慮してか女子キャラは全員タイツを装備しており、逆にタイツフェチ向けみたいな趣きがあったんだけど、switch版では堂々の無規制での参戦である。僕の一番は狙撃手ちゃんかなー制服っぽくてかわいい。

 

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全30ステージなんだけど全ステージに外伝があるので計60ステージとなかなかのボリューム。さらに本編は3つの難易度、外伝は5つの難易度があるので全て埋めようとすると計240ものステージをクリアする必要がある。全部やったわ!90時間くらいかかった。

さらにswitch版の追加要素として、人間側になってスライムと戦う追加ステージが存在する。人間の野望じゃん。これはこれで面白かったなぁ。

 

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えっちで辛口なSRPG。独特のルールでありながら常にギリギリのバトルを楽しめる優れたゲームバランスで最後まで楽しめる一品。

続編に「スライムタクティクス」がありこちらはRTS。やってみたけど個人的にはちょっと合わなかったなぁ。僕はやっぱり「スライムの野望」派だ。

難しいけど面白い、SRPGの変わり種。おすすめです。

 

500円、プレイ時間約90時間

プレイした日2017/12/28~2018/02/09

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「返校 -Detention-」紹介

善も悪もなく、ただ悲劇に向かって突き進んでいく人々を、僕は見ていることしかできなかった。

 

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「返校 -Detention-」とは1960年代、白色テロ下の台湾を舞台としたホラーアドベンチャーゲームである。グロ描写があるので注意。

冥銭、神杯占い、黒白無常等、台湾独特の文化、風習、宗教を感じられるタイトルであり、その辺も上手く演出に取り入れられている。

 

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「このゲームはフィクションです」の表記からしてもうわくわくもん。一貫して雰囲気作りの上手いゲームだ。

 

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高校生の「ウェイ」は誰もいない教室で目を覚ます。学校の中を彷徨うウェイは上級生の「レイ」を発見する。二人は帰宅しようと試みるが…。というストーリー。序盤はウェイ君が主人公だけどそれ以降はレイちゃんの視点で話が進む。前半においては舞台はほぼ夜の学校で統一されており、いやーな雰囲気の学校の中を彷徨い歩くことになる。

 

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オーソドックスな2Dアドベンチャーゲームであり、学校に点在する謎を解きながら進んでいく。霊に遭遇することもあり、息を止めてやり過ごす必要もある。

 

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ゲームにおける安息の地といえばセーブポイント…。なんだけど、こんなに落ち着かないセーブポイント初めてだよ!

 

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前半は湿った雰囲気を纏いつつもまだよくあるホラーで済ませられるが、この作品はある場面を境にホラーであることを止める。「レイ」の心の在り方、人と人との関係性に描写がシフトしていく。この描写がどこまでも濃密で、精神的なグロテスクさを孕んでいる。「怖さ」よりもただひたすらに悲しく救われない物語が待っている。

 

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ホラー作品というのは人間の根源的な感情としての恐怖を煽るものであって、そういう意味では返校は、特に後半は現実と地続きにあって、失われてしまった青春や過去にずっと囚われてしまった人の心へ描写がシフトしていくから、厳密に言えばホラーではないのかもしれない。プレイしていて、怖いというよりはただひたすらに悲しみが心を支配していた。ホラーという形式を借りて、人と人との関係性、すれ違いから起こる悲劇、そして残される虚しさ、侘しさを描いた物語であったように思う。

なんか怖いのが出てギャー!という作品ではないので、そういうのを求めると「なんか違うな…。」ってなると思うけど、遊んだ人の心になんか生々しい傷を残していく作品だと思うし、暗く重く鮮烈に感情を揺さぶってくる作品だと感じる。

 

僕はこのブログを見てくれる人が好きだ。だからこの作品をおすすめしたい。

好きな人を打ちひしがれさせたいという暗い心理、好奇心があるからだ。

地獄の底を覗き込んでみたい人は是非。人の心の在り方にこそ地獄は潜んでいる。

 

1296円、プレイ時間約5時間

プレイした日2018/05/12~2018/05/19

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「Downwell」紹介

どこまでも落ちていこう。

 

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Downwellとは、井戸の底目指して落ち続ける、ローグライク要素のあるアクションシューティングゲームである。とにかく浮遊感が心地よく中毒性が高い、センスの塊のようなゲームだった。

 

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プレイヤーはとにかく下へ下へと落ちていく。井戸の底を目指すのだ。ステージは自動生成であり毎回形状が変わる。

左右移動とジャンプの3ボタンで完結している操作体系が見事で、シンプルさと良好な操作性を両立している。

ジャンプ中にさらにジャンプボタンでショットが撃てる。ショットは単純に敵への攻撃に使える他、滞空時間を延ばすのにも使える。一つの行動に複数の使い道を持たせている機能美というのが個人的にはツボ。

たまーに武器が落ちていることがありショットの性能を変更できる。押しっぱなしで連射できるマシンガンや弾数は少ないが貫通するレーザーなど性能は様々。武器は取るだけで回復やショットの最大値強化を得られるので基本的にはガンガンチェンジしていったほうが得。一つの武器にこだわるよりかはいろんな武器を使いこなしていったほうが良いわけね。

着地しないまま敵を倒し続けるとコンボになる。敵を踏むとショットが回復するので滞空しながらまた次の敵を踏むという感じ。25コンボで回復ボーナスが付くのでそれを目標にしてみよう。

白い敵は踏める、赤い敵は踏めない、と見た目で判りやすくなってるのも良い。ショットは効かないけど踏むと倒せるカメや踏まないと上から落ちてくるイカなど敵の個性がちゃんとついてるのも楽しい。

 

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たまーに出るお地蔵さんのショップでは体力を回復できるおにぎりやショットの最大値を強化できる電池などを購入できる。井戸の中で食べるおにぎりは最高だぜ!

ちなみに体力最大状態で体力を回復すると、体力ゲージ下のメモリが一つ貯まる。メモリ四つで体力が1増加するという仕組みになっている。回復が無駄にならない良いシステムだし、コンボができるようになってくると25コンボの回復で体力を増やしていけるようになるので、頑張ればクリアできるようになってる。

 

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一つの面をクリアするとアップグレードを一つ貰える。三択なんだけど何が候補に出るのかはランダムなので毎回違った冒険になるぞ。全部で12面+ラスボスなので計12回アップグレードできる。最終的にはめちゃくちゃ強くなるぞ。個人的にはジェム回収+ジェムでショット回復で滞空時間を増やすのが好きかな。やっぱり滞空時間が増えるとコンボを稼ぎやすい。

 

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クリアしてもまだ終わりじゃない!ハードモードもあります。

ノーマルでもそこそこ難しいゲームだからハードともなるとめちゃくちゃ難しい。

敵の特性や配置、ステージのルールなど全く違う構成になっており、ただ単に難易度を上げただけ、では終わらない、ちゃんと作りこんだモードになっている。

 

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トロコンまで遊び尽くしたのに、不思議とまたやりたくなるというか、だらだら遊びたくなるゲームだ。井戸に吸い寄せられてる。タイムアタックが熱いゲームなんだけど、個人的にはふとやりたくなったときにのんびり遊びたくなるタイプの作品。

難しいと感じたら、落下速度が遅くなる「フワフワスタイル」で遊ぶのがおすすめかなぁ。ただしタイムアタックを目指すと足かせになってしまうという絶妙なバランス調整である。

浮遊感が癖になる、何度でも遊びたくなるアクションゲーム「Downwell」、試しに井戸の底までひと下りしてみませんか。おすすめです。

 

500円、プレイ時間約15時間

プレイした日2019/05/30~2021/12/07

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「イヌワシ~うらぶれ探偵とお嬢様刑事の池袋事件ファイル~」紹介

新宿に神宮寺あれば池袋にイヌワシあり!

 

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イヌワシとは、「神宮寺三郎」を手掛けたスタッフによる完全新作推理ADVである。

神宮寺はハードボイルドな作風だけどこっちは痛快バディものって感じでテイストは全然違うね。

 

www.youtube.com

PVも良き。

 

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狗神エイジと鷲宮ツカサ、かつて「イヌワシ」と呼ばれた伝説の刑事コンビは鷲宮ツカサの死によって解散。刑事をやめた狗神エイジはすっかりうらぶれて、探偵として仕事をこなしながらも自堕落な生活を送っていた。

そんな狗神探偵事務所に現れたのはツカサの妹、鷲宮ヒナ。刑事となったヒナはかつての兄のように活躍することを望むが、警視総監の令嬢である彼女は「お嬢様刑事」と呼ばれて腫物のように扱われ、なかなか実戦経験を積ませてもらえない。

そんな「うらぶれ探偵・狗神エイジ」と「お嬢様刑事・鷲宮ヒナ」、凸凹コンビの二人が新生「イヌワシ」を結成し活躍する痛快バディ推理ノベルADVが本作である。

本編7話+サブストーリー7話+おまけ3話+DLC1話の計18話構成。全部で18の事件が池袋で巻き起こる。クリスマスも正月もバレンタインもずっと事件が起こってるから作中の池袋の治安最悪だな!ってなりました。

中国マフィアやカラーギャング、そして謎の組織ウロボロスが跋扈する池袋で、新生イヌワシとその仲間たちが事件に挑む。そして彼らは鷲宮ツカサの死の謎に迫れるか!というストーリー。

 

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狗神はかつて刑事であった頃のコネクションが最大の武器であり、友人達の強力なサポートを得られる。精神科医龍谷寺アキヒコや鑑識の鮎川レイコ、元チーマーで執事の美馬ハルカ、高校生ハッカーの狐塚チヒロくんなど、強キャラ揃い。刑事の猿渡さんとは文字通り犬猿の仲だけど、協力してくれる回は非常に熱かった。

狗神本人も喧嘩は結構強いし、非合法の捜査をガンガン行っていくダーティな強みがあるね。この辺は正規の手段を踏もうとするヒナとは対極。

 

f:id:gogo7ji:20211206231832p:plain鷲宮ヒナの強みは触れた人の思念を読み取る「サイコレゾナンス」と呼ばれる超能力であり、読み取った思念が捜査の大きなヒントとなる。また、モノに残った思念も読み取ることができ強力。推理ものだと流石に強すぎる能力だが、使いすぎると身体への負担がでかいのである程度バランスは取れてる。

また現職の刑事であるため警察手帳パワーを存分に利用することができるのも長所。

 

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僕が好きなのは美馬ハルカと狐塚チヒロのコンビ。

美馬は元チーマーで喧嘩最強、執事喫茶の執事で情報通という属性もりもりキャラであり、コネクションを使って足で犯人を追い詰めるプロ。お前もう刑事になれよ!

対するチヒロくんは孤高の天才高校生ハッカーであり、ネット関係で右に出る者はいない。しかしまだまだ子供っぽいところもあって美馬をライバル視している。

組んだら最強、最高のコンビにしてライバルという二人。こいつらがサポートに回ってくれたらもう負けないだろという謎の安心感がある。

 

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チヒロくんほんますき。

 

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最後までグングン読み進ませるパワーのある作品で、綺麗に完結してくれるのも魅力。それでいて続編も出していけそうな感じの終わり方だ。イヌワシと仲間たちの続編が見たい!出してくれー。

純粋なADVとして見るとアクションパートとかいう謎の目押し要素があるのが難だけど、全体的な出来は非常に良い作品。痛快バディものADVをお求めの方は、是非!

 

1500円、プレイ時間約15時間

プレイした日2020/03/26~2020/12/01

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