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遊んだゲームの感想なんかを書き残していこうかと思っています

「マヨナカ・ガラン」紹介

生者と死者と、マレビトの物語。

 

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「マヨナカ・ガラン」とは、西洋宗教の和風解釈的な土着信仰とコミカルなキャラクターを土台として、無二の世界観を持つ観るADVである。

 

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この村には秘密がある。

かつて迫害されたキリシタン達が作った村、大臼村。ここでは奇妙な土着の進行が根付いていた。村長の息子「寿安」とその親友の神父「黒洲」は村興しのため郷土史家であり牧師である「橘はももる」を招く。はももるは郷土史編纂に動き出すが、徐々に大臼村の信仰の奇妙さに気付き始める。そして村に謎の聖人が来訪する…。というストーリー。

 

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基本的にやることは行く場所を選ぶことだけ。あとはフルボイスのムービーを鑑賞するだけのムービーゲーである。ストーリーも一本道であり、避けられない結末に向かって転がり落ちていく作品といえる。

強烈な個性を放っているのがモブ村人の表現。顔は黒子のようで服はステンドグラスを透過させた切り絵のような不思議な表現になっている。

モブ村人達はみんなコミカルなキャラで一見善良な人々なんだけど強烈に胡散臭く奇妙な不気味さも持っている。

「寿安」と「黒洲」の二人も腹に一物ある模様で油断がならない。

謎の目的を持って動いている「赤」と「白」の少女。

そして「はももる」。

これらのキャラがそれぞれの目的でもって村内を蠢き、どこまでも奇妙で、不気味で、不条理な物語が展開される。

 

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一応主人公は案内人である村人A(あなた)であるみたいなんだけど、実質的には、はももるちゃんメインで話は進行していく。

このはももるがまた健気でかわいい。あとめちゃくちゃ食いしん坊で郷土料理を食いまくるのも面白い。

 

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聖人とは何なのか。この作品の不条理の根幹をなしている存在である。

 

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毒きのこ酒って何だよ。

きのこ大好き村人さんすき。

 

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召され系女子って何だよ。

 

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独特の世界観とローポリの不気味さでもって無二の体験を得られる本作。その在り方は滅びの美学と言えるかもしれない。

様々な登場人物たちの運命が取返しのつかないところまで縺れ絡まり、デウスエクスマキナの如く全ては壊れていき、爽やかですらあるラストに繋がっていく。

奇妙で不条理で、でもちょっと行ってみたくもある大臼村。読み終わるころには変な親近感というか、よくわからない郷愁に駆られることと思う。軽率におすすめしていきたい。

 

1222円、プレイ時間約4時間

プレイした日2020/08/28~2020/08/29

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