小さな従業員をプログラミングしてパズルを解こう!
目指すは誇り高き社畜……もとい社員!
「ヒューマン・リソース・マシーン」とは、プログラミング×パズルゲームの傑作である。今回は続編の「セブン・ビリオン・ヒューマンズ」も一緒に紹介。
シリーズ通して、ブラックユーモア溢れる世界観と、程よく悩みながらも最後は気持ちよく解ける爽快なパズルの作りが特徴。
舞台はとある企業であり、新入社員である「ぷろぐらまー」くんはなんだかよくわからない業務(パズル)をこなしていく。
問題番号は「○○年目」表記であり、だいたい40問くらいあるので還暦まで頑張ることになります。ちなみに問題を進めるごとに主人公もきっちり老いていく。嫌なリアリティ!
問題選択画面はエレベーターのボタンのようになっており、ビルの上層を目指していく形になる。昇進してどんどん上の階で仕事するようになるわけだね。ゲームを進めれば進めるほど世界がやばいことになってくけど、このメーカーのゲームは全部そうなので気にしないでいいよ。
パズルの基本は「入力」と「演算」と「出力」。
まず左のレーンから文字や数字が流れてくる(入力)。
入力されたデータを使って足し算したり引き算したりする(演算)。
結果を右のレーンに流す(出力)。
ステージごとに異なるお題の通りに出力ができればステージクリアである。
基本的なコツとしては、まあいろいろあるんだけど最初に覚えておきたいのは、主人公は一度に一つしか物事を記憶できないということ。
これで何が困るかというと、例えば「数字の入れ替え」を行うときに「上書き先」の数字を覚えておけなかったりするのである。ああ困った困った。
じゃあどうするのかというと、代わりに記憶をどこかの番地に置いておけば良いのだ。
例えば記憶を、まあどこでもいいんだけど「24番」の番地に置いておけば、後々その記憶が必要なときは「24番」を参照すれば良いわけね。
先の例えで言えば数字を上書きされる前にどこかの番地に保持してから上書き、そして上書き元の数字をその番地の数字で上書きすれば「数字の入れ替え」は完了というわけである。
ステージごとに「サイズ目標」と「スピード目標」があり、これの達成がやり込み要素になっている。ちなみにこの二つは同時に達成しなくても良い。
「サイズ目標」は単純にプログラムの行数。これを削るのは簡単なようでなかなか難しく、かなり達成感がある。同じような工程はうまくループに組み込むなどして極限まで無駄を削るのだ。プログラムの短さとは芸術性である。
「スピード目標」はクリアまでのステップの長さ。こちらは逆にループを噛ませるとむしろ長くなったりするので、ループを解体してダダ長いプログラムを書くのがコツ。そういうゴリ押しが通用してしまうのでパズルとしてはあんまり楽しめない目標かもしれないね。しかし大抵、綺麗な解法を用意できれば無理なく達成できるくらいの目標には設定されているので、プログラムの綺麗さの一つの指標にはなるかも。
ということで、目標の達成を目指すならかなり歯応えがあるけど、クリアだけなら頑張ればみんな解けるという絶妙のバランスの作品となっている。
おめでとう、キミたちは全員採用だ。
次は続編の「セブン・ビリオン・ヒューマンズ」を紹介していこう。前作の要素に加え「並列処理」の概念を加えた発展形という印象であり、総じて難易度は前作より高め。前作をクリアして「まだまだ物足りねーぜ!」って人向けかな。
ストーリーは前作よりかなりブラック。舞台はロボット技術が発展し、人間がこなしていた全ての仕事をロボットが奪ってしまった未来。人類総無職時代の到来である。仕事を求める70億の人類。そこでロボットは人類に「仕事」を与えることにした。…というもの。いやブラックすぎるだろ!
主人公は…、まあ人類全員だね。前作の「ぷろぐらまー」くんがいっぱいいるのを想像するとわかりやすい。
全員が並列的にプログラムを実行するので、条件分岐を利用した場合分けというのがより重要になっている。
ステージには「穴」が存在し、仕事を終えて不要になった人間をダイブさせる必要のある面もちょくちょくある。大丈夫だ、人類はまだまだ沢山いるからね。
ステップが長すぎると上司に怒られるの、工程が複雑化している今作では頻繁に見ることになる。すまんて…。
難易度はかなり高く、工程が複雑化しコードがスパゲッティ化しやすいのに加えての並列処理なので脳がパンクすること請け合い。パンクしました。
しかしその分解決時の達成感、解放感はかなりのもので、「前作では物足りなかった人向けの2」という点で今作の完成度はかなり高い。
「命令の自由度の高さ」という点でも大きくパワーアップしている作品なので、思考の発展性、実現性という点でも優れている。まあそのせいで難易度上がってる面もありますが…。
まあ良くも悪くも「前作クリア者向け」かな。「ヒューマン・リソース・マシーン」から遊ぶのを僕はおすすめする!
「数学的な問いに対するアルゴリズムによる実現」というのは何か根源的なところで楽しさが眠っている。数学もプログラミングも根本には「パズルを解くように」楽しめる部分が確かに存在しているのだ。このシリーズはその楽しさ、気持ち良さに特化したもののように思う。
合理を極め極限まで単純化された美しく純度の高いパズルゲーム。クリア目標の達成を目指さなければ誰でも十分楽しめるようになっている(はず)。ロジカルなあなたに、おすすめ!
1000円、プレイ時間約15時間
プレイした日2017/08/13~2017/11/02
1500円、プレイ時間約15時間
プレイした日2018/10/25~2018/11/09