デスマッチみたいなラブコメ地獄の日々は、こうして始まったんだ――
「デスマッチラブコメ!」とは、ケムコの名作学園伝奇ラブコメADV「D.M.L.C-デスマッチラブコメ-」のリメイク作品である。何気に舞台化もされたことのある作品。
僕は「レイジングループ」履修済、リメイク前「D.M.L.C」未プレイという状態で遊んだけどかなり楽しめたね。ただRLと比べるとかなりギャグに寄ってる作品なので、RLを求めると「ちょっと違うな…。」ってなると思う。
今作と根本的なところで関わりの深い作品、「レイジングループ」も感想書いてるのでよかったらこちらもどうぞ。
デスマッチラブコメ、個人的にすごく好きな作品なんだけど、面白さを言語化しづらいというか、既存のジャンルを逆手に取ったような構造になっているというのか…。僕はギャグとして好きなんだけど、本質的にはすごく血と呪いとでもってドロドロしてる作品でもあり…。でもばいんばいんな下ネタ作品でもあり…。ラブコメありホラーあり、オカルトあり能力バトルありのごった煮ジャンル不明作品と言えばしっくりくるかもしれない。
告白されると…?
爆死!
美笹木高校の一年生、「矢木景(やぎけい)」は、同級生の「津野るみ子(つのるみこ)」&「白詰乙羽(しろつめおとば)」からW告白を受ける。その瞬間、謎の爆発が発生し矢木くんは爆死。ゲームオーバー!
…しかしそれは幻であった。ただし告白を受けると爆死するというのは本当で、全力で告白から逃げる矢木くんの日々が始まった。
夕方になると暴走する二人。逃げる矢木。告白爆死の呪いを解くべく併走する矢木くんらはやがて高校に代々伝わる呪いにたどり着く。
おバカ(ほんとは頭いいけど)な悪友「平木場亜須賀(ひらこばあすか)」や、冷静沈着毒舌眼鏡「有栖隆斗(ありすりゅうと)」、クラスの人気者「九段志乃歌(くだんしのか)」、おっとり巨乳「東護美弥(とうごみや)」らと共に矢木くんはカバディ同好会校史編集委員会を結成、呪いの解除という本来の目的を周囲からカバーしつつ学校の謎に迫っていく。
僕の好きなキャラは文芸部所属、矢木くんは受け派の東護美弥ちゃん!…いやでかいな。人体スイカ栽培者ですよ。属性モリモリのある意味万能キャラで厨二心が疼く!
ヤバイときはうんこ連呼して逃げろ!左下のラブメーターがMAXになると爆発するぞ!このメーターは矢木くんの腕にも搭載されており、ヤバさの確認から迫りくる女の子に対するレーダーまで何かと便利に活躍するぞ。
奇声を上げて逃げるのが必殺技の主人公って斬新すぎる。
そして謎のカバディ推しがされているタイトルである。カバディしようぜ!
カバディ死。
カバディで死ぬゲーム初めて見たよ。
BAD ENDに突入すると、保健室の先生「土呂鈴(とろすず)」、通称とろりんによる被害状況の解説と反省会がスタート。なんか被害規模がギャグの範疇を超えてるんですが!ギャグで殺される身にもなってみろよ!このギャグと真面目の境界線が曖昧なのもこの作品の好きなとこである。
話が進むにつれて爆発の規模がどんどんインフレしていくのも特徴で、最悪地球が終わる!ラブコメだと思ったら地球の存亡をかけた戦いだった!
とまあ終始ギャグで進む作品なんだけど、その内実は血と呪いとでもってドロドロした愛憎の物語である。主人公、矢木くんは日常を放棄しオカルトと病理の世界へと足を踏み入れることとなる。
もう日常には戻れない。
校史編集委員会の面々とて一枚岩ではなく、皆何がしかの秘密を抱えている。主人公である矢木くんですら例外ではなく、おばかでひょうきんな彼の在り方もある種のペルソナに過ぎない。
しかし矢木くんの(複雑な事情を抱えつつも)おばかでひょうきんな男の子であるという一面は、まごうことなく彼の強みである。オカルトにはギャグで立ち向かうんだよ!この作品は「文脈で戦う」という趣向が強く、矢木くんはある視点から見て無力でありながら、別の視点から見ると流れを変えるワイルドカードでもあるのだ。
貧者スレイバーをご存じなんですか!?
僕はモライモーンが好きです。
レイジングループのこのシーン、清之介さんの「オタクであることを誤魔化す仕草」がほんとにリアルでびっくりしたなぁ。僕もやったことある!
ギャグありサスペンスありオカルトありホラーあり能力バトルありの学園伝奇ラブコメ!なんだそりゃ!この作品を楽しめるかは、ぶっちゃけ後半戦のテンションについていけるか次第かな。なんとなーくだけど昔の同人ゲーぽくも感じる!
プレイヤーの期待に「沿ってくれる」タイトルでは間違いなくない!だって何物にも属していない無二性を持つ作品だもの。恐らくどの体験にも似ることはない。それはつまり独自の体験を与えてくれる作品ということであり代替物のないオンリーワンの一作と言える。
完結の仕方もギャグとシリアスが共存するこの作品ならではと思えるもので良かった。俺たちのラブコメはこれからも続いていく!
結構下ネタがきつい作品でもあるので、その辺が気にならない人にならおすすめしたいかな。形容しがたいスラップスティック・ラブコメディがあなたを待つ!
3000円、プレイ時間約20時間
プレイした日2020/06/25~2020/09/11