武田信玄の策略により忍者集団に誘拐されてしまった織田信長は、魔改造の末「ローション侍」にされてしまった!
織田信長はフリー素材。
「ローション侍」とは、織田信長となって迫りくる敵をバッタバッタと斬り伏せる爽快アクションゲームである。嘘はついてない。
ただしローションまみれでな!
忍者軍団に捕らえられた織田信長は、全身からローションが吹き出す「ローション侍」に改造されてしまう。もう一生相撲できないねぇ…。
ローションのせいで足が滑り歩行もままならない信長。しかしその滑りに活路を見出した彼は、壁を蹴り、敵を斬り伏せて忍者城からの脱出を目指すのだった。
…これ脱出できたところでまともに日常生活送れなくないですか…?まあいっか!
とストーリーの時点でイロモノ、一発ネタ感満載の本作だが、正直なところアクションゲームとしては、はちゃめちゃに出来がいい。ちゃんと面白いのがなんか腹立つという不思議な感覚を覚える。
まず操作体系が「方向指定とキック」のみとシンプルながら完成度が高い。攻撃は自動で行ってくれるので、プレイヤーはローションの滑りに集中できるというわけだ。
特異な操作性故に最初は移動もままならないが、コツを掴んで壁を上手く蹴れるようになれば信長は超スピードで突進し敵を叩きのめす。気持ちいい…。いや変な意味でなく。
慣れないローションに順応していく信長とプレイヤーの心が完全にシンクロしている。気分はローション侍だぜ!嫌だな!
全24ステージに散りばめられたギミックはなかなかバラエティ豊かで飽きが来ない。
割とよくあるトゲや鍵から、水中戦やトリモチ、プラズマ化や果ては肛門から射出される鉄球などなど、何をしたら死後にここまで尊厳破壊されるのかと疑問に思えてくるくらいには豊富だ。
全体的にタイムアタックを前提としたゲームデザインとなっており、壁を壊せるショートカットルートがあったり、鍵が複数あってコース取りが悩ましいステージがあったりと、最速の侍を目指すのもまた一興。多数のギミックを散りばめながらも一個一個のステージは1分もかからんハイスピード展開。ミニマルな中に濃密な体験が得られる。
タイムアタックゲー故に乱数が絡まずパターン化しやすいという点は、なんだかんだ死にゲーなので普通にプレイする分にも遊びやすさに一役買っている。もちろん爆速リトライ。
電波極まるシナリオも魅力。誕生!火縄銃!じゃないのよ。別のものが火を噴いてるのよ。
何発発射しても痛くなることはない、とフォローが入ってはいるけど一発一発放つ度に信長の心は泣いているんだよ。
でわからんのよ。サイズ感が。鉄球の。「野球ボールくらいの~」ならわかるけど「信長の肛門に丁度良く収まるくらいの~」は秀吉しかわからんのよ。うーん…野球ボールくらいかな…。
このノリが24面ずっと続くので頭痛くなってくるぜ!最高!一番好きなシーンはローションをまき散らす信長が妖怪だと思われて襲われるシーンですね。妖怪だろ。
最初はおもちゃにされてる信長が可哀想に思えたけど、その後に登場する偉人の悉くが尊厳破壊を受けているのでだんだんどうでもよくなってきますね!武田信玄は脱いだほうが強いということがわかる。ローション隠すならローションの中だよ。それはもうただのローションだろ。
今にして思えば、古今東西の創作物において登場している織田信長は、だいたい着衣していた気がする。多分だけど、ローションも出てなかった気がする。物理的な意味で信長の体温を一番感じられる作品となると割とまじでこれになるかもしれない。これより上を目指すと多分エロゲになる。
このゲームを遊ぶと「後世に名を残したくないな」という気持ちが俄然強まってきますね!名を残すとローション侍になるからね。
しかし、イレギュラーな状況にも動じず逆に利用するその姿勢に何か「憧れ」の感情を抱いてしまったのもまた事実である。人ならざる…異人となりながらも、偉人であり続けたその様は、正しくヒーローであると言わざるを得ない。
あ、「織田信長はローションで闘った人」と書くとテスト0点なので気をつけましょう。
398円、プレイ時間約1時間
プレイした日2023/05/12