「送り犬」紹介
振り返ってはならない。
振り返ると、食べられてしまうからだ。
「送り犬」とは「学校であった怖い話」で知られる「飯島多紀哉」氏が手掛けたホラーノベルゲームの一作である。
一応「送り犬」と呼ばれる妖怪の話がベースなんだけど、選択肢の分岐次第で全然違う話になる懐かしいノリが特徴。分岐するとパラレル展開でキャラクターの設定から何から根本から覆してくる自由な作りが楽しめる。主人公は普通の女子大生なんだけど、分岐によってはサイコさんになっちゃうぞ。
個人的にはメインシナリオの妖怪話よりは、怪異が出ない人怖系話のほうが面白かったかなぁ。この辺は純粋にホラーやってて良かった。これギャグの文脈でしょ!ってシナリオも多いんですよ今作…。
最初は児童文学ぽくていいなぁと思ってたんだけど、主人公が男と寝る描写とかも普通にあって別にそんなことはなかったぜ。
選択肢によって変わるシナリオの長さにムラがありすぎるのはちょっと気になるかなぁ。一番やばいのは最初の選択肢で合コンから逃げるとパチプロになって終わるENDね。ある意味ホラーだけども!
俺たちのパチプロアイドル伝説はこれからだ!
また分岐によっては主人公が変わる場合もあってこれも面白い。一番好きなのは警備員のおじさんが大学構内で見かけた女の子とお話しする話かなぁ。この話だけスケールがおかしい。
逆にこれはちょっと…ってなったのが犬が主役の話ね。全体的にノリがおかしいし、必殺技を正しく選択しないと強制BADになる場面とか意味わからんかった。同じ電波系でもこれはやばいでしょ!飯島先生これ書いたとき酔ってらした…?
35種類あるエンディングを全部見るのが目標になるかな。一個一個は短いのでボリュームはそんなにないね。
全体的に、シナリオの深みよりもその場の面白さを優先する構成で、しかしこれはこれで面白いなぁと思えた。なんだか気楽に読めていいんだよね。
たまには肩の力を抜いて、楽しいホラーノベルを読んでみるのはいかがでしょうか。おすすめですよ。
「どっこいしょ。一休みでございます」、なんて。
990円、プレイ時間約5時間
プレイした日2020/02/27~2020/03/01