ただただ、燃やすだけ。
ただひたすら燃やすためだけに。
奇妙で、すこし暖かい。
「リトルインフェルノ」とは、ひたすらものを燃やし続ける狂気のゲームである。
あくまで虚無的に、しかし虚無的であるからこそ静かに心を満たしてくれるゲームだ。
ゲームを始めたら、まずは「カタログ」でものを購入してみよう。何のためって、そりゃあ燃やすためですよ。カタログは説明文の時点でなんだかシニカルなものが多く、読んでるだけでもなかなかに楽しい。
注文したアイテムが届いたら、暖炉で火をつけて遊んでみよう。ものによって燃やしたときの反応は異なるから、楽しいぞぉ。
この暖炉は魔法の暖炉で、燃やしたものはお金になって帰ってくる。そうして得たお金でまた何かを買って燃やし、またお金を得て、買ってまた燃やす。このゲームに明確な終わりなんてない。満足のいくまで燃やし続ければそれで良いのだ。
一緒に燃やすものの組み合わせによっては「コンボ」が発生することがあり、組み合わせを探すことがある意味パズル的な要素になっている。だから何ということはないんですけどね。Switch版は周回ごとに選出されるコンボがランダムなので何周でも楽しめますよ。
そうしてコンボを見つけていくと、新しいカタログが届いたりする。そうやっていろいろなものを燃やして楽しむのがこの作品である。また、お便りや怪文書が届いたりもする。当然燃やせる。
ものが燃えて、朽ちていくさまをただ眺め続ける。それだけのゲームなのに何故だか心が満たされる不思議な作品だ。
「火」には何か無性に人を惹きつける魅力がある。暖炉に火が灯る様はどうも安心であったり豊かさであったりを象徴しているように思う。
ゲームが進むと外の世界がどんどんやばいことになっていくんだけど、それでもプレイヤーの目に映るのは暖炉と、そこに灯る火だけである。その構成がなんだか、火に魅せられたプレイヤー自身の心とシンクロしているようでもあり、今作の奇妙だけど暖かくもある不思議な世界観を際立たせている。
冬に遊ぶのが一番雰囲気出て楽しいと思うな。(じゃあ冬に紹介しろよって話なんですが…。)ともあれおすすめです。よかったら買ってみてください。
1000円、プレイ時間約10時間
プレイした日2017/08/13~2017/09/15